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いつも当期利益が数十万円の決算書の2パターンの理由

「経理関係はすべて顧問税理士に任せていて、自分は何も分からない。」というタイプの経営者の方が多くいます。こういうタイプの経営者がやっかいなのは、実際に自分の会社が、利益が出ているのか、それとも赤字なのか、それさえも分からない、という方が多いことです。

 

自社がどれぐらい利益が出ているかということも分からないで、どうやって経営ができるのか。経営以前の問題です。例えば、よく見かけるパターンの決算書に、次のようなものがあります。

 

平成17年12月期 売上高314,287,198円 当期利益145,980円
平成18年12月期 売上高289,086,287円 当期利益283,901円
平成19年12月期 売上高309,119,283円 当期利益164,092円

 

このように、当期利益がいつも決まって、少し黒字程度の企業は、私が銀行員時代もよく見かけましたし、現在の資金繰り相談を受けていてもよく見かけます。売上高が数億円なのに、当期利益が決まって少し黒字に落ち着く、これは考えてみると不自然ですよね。

 

このような場合、なんらかの操作がなされていると考える方が自然です。銀行員時代は顧客である経営者に遠慮してそこはつっこみませんでしたが、現在行っている資金繰り相談においては、容赦なく、経営者につっこんでそこを聞いてみます。

 

パターンは次の2つです。

 

  1. 本当はもっと黒字であるが、税金を少なくするために黒字額を抑えた。
  2. 本当は赤字であるが、赤字を出すと融資が受けられなくなるので粉飾して黒字にした。

 

現在資金繰り相談を受けていて、ほとんど全ては2のパターンです。ただ、冒頭でお話したような全て税理士任せの経営者は、私たちのそんな質問にも明確に答えることはできません。「税理士に任せていて分からない。」という答えをいただくのみです。

 

ただ、銀行で融資を受ける場面においては、仮に銀行員から「なぜ当期利益はいつも少しの黒字なんですか?」と聞かれて経営者は「税理士に任せてあるから分からない。」と答えようなものなら、銀行員は当然、その経営者、その企業を警戒します。その場合のベストな答えは「本当はもっと利益があるが、税金対策でいつも少しの黒字に抑えてある。」です。(粉飾で黒字にした2のパターンが実情でも、そう答えると粉飾決算がバレてしまいます。)

 

また、銀行に対してではなく資金繰り相談を行っている私たちに対しては、そこは隠しても仕方なく、経営者に、正直に答えていただいています。

 

そこで「税理士に任せてあるから分からない。」と答える経営者の企業は、まずはそこが問題点となります。経営者が、自社が黒字か赤字かも把握できていなければ、損益の改善も無理です。利益を圧迫している原因も分からないわけですから。まずは実際の利益がどうであるか、分かる体制作りが必要となります。

 

また「実際は赤字であるが粉飾している。」と答える経営者の企業は、当然ですが赤字の黒字化がポイントとなります。赤字でもそれを黒字に粉飾して、通常であれば受けられない融資を受けているのですから、それで得た資金は赤字補てんにまわってしまいます。融資が赤字補てんにまわると、絶対にその企業の融資総額はふくらんでいくことになります。

 

またやっかいなことに、本当は赤字なのに粉飾して融資を受けると、経営者はそれで安心してしまい、赤字の黒字化対策を怠ってしまいます。そして融資総額がどんどんふくらんでしまいます。

 

融資は永遠に受け続けることはできません。年商が3億円の企業が、融資総額は3億円→5億円→10億円とふくらませていくことはできますか?

 

粉飾決算を行って、通常では受けられない融資を受け、それで安心してしまい「赤字が融資で解消できた!」と勘違いを続け、融資を受けて赤字補てんを繰り返していると、融資総額はどんどんふくらんでいくことになります。そして限界がきて、途方もない融資金額が後に残されてしまうことになります。

 

話は戻りますが、われわれは、いつも利益が数十万円といった、そんな現象からも、粉飾決算を見抜くことができます。なぜ相談にこられた企業に丸裸になっていただくかというと、会社の実体はどうであるかを直視するところから、会社再生は始まるからです。

 

私は身長175cm、体重77kgですが、標準体重より10kgオーバーしていて、太りぎみ(太りすぎではないが)と言われます。そこから、生活の改善が始まるのです。それを「私は体重67kgです。」と粉飾していて、生活の改善ができるでしょうか。自社の利益がどうであるかを直視し、そこから改善をスタートすることが重要です。

 

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