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あなたの会社に来る得意先係は融資審査を通したいのですよ。

銀行の支店には、3つの係があります。預金係、融資係、得意先係、です。

 

預金係とは、窓口のテラーや、預入・払出の事務、振込事務など、預金に関する事務を行う行員のことを言います。

 

融資係とは、融資案件がきたら、その稟議書の起票や、審査をする行員のことを言います。

 

得意先係とは、銀行の取引先をまわり、融資や預金等の営業を行う行員のことを言います。

 

企業が銀行に融資の申込みをしたい場合、得意先係の担当者がついている企業であればその得意先係に、そうでなければ融資係に、融資の申込みを行うのが通常でしょう。ちなみに、私は銀行員生活7年半のうち、6年半で、得意先係の仕事を行っていました。

 

3店舗を経験しましたが、1店舗目は名古屋市緑区の支店でした。緑区は名古屋市でも外れの方の、住宅が中心の地域でした。人口は名古屋市内で最大の区です。住宅ローンの営業を行ったり、年商10億円以下の中小企業から個人事業主までを担当したりしていました。

 

2店舗目は名古屋市西区の支店。名古屋駅から徒歩15分のところにあり、名古屋市でも中心の方でしたので、担当する企業の規模が大きくなり、年商5億円〜100億円の中小・中堅企業を担当していました。また名古屋市西区は菓子、特に飴菓子の製造や、菓子の卸会社が多い地域であり、そのような中小企業も多く担当していました。

 

3店舗目は大阪市中央区。淀屋橋駅の近くで、大阪のオフィス街にある支店でした。私の勤めていた銀行は岐阜県の地方銀行なので、大阪支店は1店舗しか出していません。大阪で融資を集めるのが大阪支店の大きな役割でしたので、大阪の上場企業から中堅企業まで、担当していました。

 

また、担当企業の規模が大きくなってくると、銀行の外回り行員にありがちな集金業務、つまり企業に貯まった現金を集めてくる業務、を行うことが少なくなるので、私には結構時間がありました。そこで、新規開拓、つまり新しく融資できる企業を開拓してまわりました。

会社四季報を見て大阪本社の企業にとびこんでいったり、新しく上場する企業で大阪の企業にとびこんでいったり、帝国データバンクで年商20億円以上の企業にとびこんでいったりしました。

 

話を戻しますが、得意先係の行員は、融資を売り込んでいくことが仕事です。

 

融資案件を企業からいただくと、まずは支店内で案件を通すため、支店内協議書といい、稟議書の前段階のようなものを、融資案件を受け付けた得意先係の行員は書きます。

 

それが、得意先係→得意先係の長→融資係→融資係の長→次長→支店長と回覧され、支店長の承認が得られると、稟議書を書きます。

 

稟議書は、銀行の本部の審査部まで回覧される書類です。稟議書は、支店内協議書より、気合いを入れて書かれます。融資係の行員が支店内協議書を書くのが普通ですが、融資係の人が忙しいと、得意先係の行員が書いていました。

 

(ここで、融資係と得意先係の反発が生まれてくるのです。得意先係としては「なんで融資係の仕事をおれたちがやらなければならないんだ。」融資係としては「得意先係のやつらは外をまわっていればいいんだから楽だな。」という思いから、反発が生まれていました。逆に得意先係内、融資係内では妙な連帯感がありました。)

 

稟議書は、支店長を通過後、本部の審査部にまわって決裁されます。

 

また支店長決裁の案件、つまり銀行で決められている、例えばここの支店の支店長は正常先へのプロパー5千万円以下であれば融資決裁ができる、というように、支店長決裁で融資ができる案件であれば、支店内協議書のプロセスを省いて支店内で稟議書がまわって決裁されます。

 

ここで、行員がどういうところで、人事評価をされるか、見てみます。得意先係の行員の仕事は、案件を多くとってきて、数字を上げることが仕事です。つまり、いかに多くの融資を実行できるようにしたか、いかに新規融資先を増やしたかが、得意先係の行員の評価です。

だから、得意先係の行員は、融資を通したいのです。

 

一方、融資係の行員の仕事は、いかに融資審査をきっちり行って、貸し倒れを防ぐことができるかで、評価されます。つまり、融資先係の行員は、少しでも疑念のある融資案件は通したくないんです。

 

このように、得意先係の行員は融資を通したい、融資係の行員は融資を通したくないと、対立の構図にあります。

 

ここから考えると、融資を通しやすくするには、融資を通したい心理がある得意先係の行員に、いかに融資を通しやすいアピール材料を提供するか、ということになります。

 

また、得意先係が担当している企業の場合、多くの場合は融資係が前面に出ることはない、つまり融資係としゃべったこともない、経営者が多いのではないでしょうか。

 

逆に融資係の行員も、この融資案件の企業の経営者はどんな人なのか、知らないことが多いです。

 

ということは、得意先係の担当者がいる企業でも、得意先係が来てくれるから銀行に行かなくてもよいということではなく、積極的に銀行に行ってみて、融資係の行員とも顔なじみになっておくと、融資係の行員としても、話したことのない経営者より話したことのある経営者の企業の方が、理解しやすいし、多少の情も働く、というものです。

 

支店長まではなかなか会えなくても、融資係の行員や係長なら、企業側が会おうと思えば、そんなにハードルは高くないでしょう。このように、銀行の支店内の構造や係ごとの考え方を頭に入れておくと、銀行とつきあいやすくなるでしょう。

 

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