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どうして数値目標をつくっても現実味がないのか?

今回は、「いったん作成した経営計画について、その数値目標をどのようにして実現化するか」多くの中小企業経営者にとって悩みどころであろう、この点についてお伝えします。

経費のうち固定的なものについて

経費については、特に固定費とされるものについては、変動要因がなければ特段変わるものではありませんので、かなり予測はしやすいものと言えます。

 

それこそ、事務所の移転をしなければ家賃は特に変わりませんし、光熱費は事務所等の使用時間や手法が変わらなければ、そうそう増えません。従って、最も計算しやすいといえます。

経費のうち変動的なものについて

経費といっても、変動的要素のあるものも存在します。例えば、旅費交通費や通信費等は顧客の数や従業員(特に営業担当の)数に対して比例的になり得ますし、業務委託費はある意味、売上から逆に予測ができる構造である場合が大半です。

 

広告宣伝費は、むしろ会社の広告戦略という、自らの意思によって変動するものでしょう。しかし大半の場合は、他の項目(顧客数・従業員数であることがが多い)との連動により数値化が可能です。

仕入(原価)について

考え方の出発点は上記の変動的な経費と同様で、売上から考えることができることが大半でしょう。売上と粗利率をどのように設定するかにより、必然的に定められるものです。

 

…ここまでで、もう答えはでています。

 

顧客の数から売上の予測ができて、その売上を出すに見合う従業員の数の予測をすることができれば、多くの他の項目は連動させて数値目標化させていくことができるのです。

 

これは、大半の業種で運用可能な考え方で、実際行っている方も多いと思います。となれば、今度はそれを、いかにして現実化することを考えるのか。まず、なぜ一度つくった数値目標が実行力を持たず、実現できないのかといえば、それは「数値が数値のままだから」です。

 

「行動目標」(もしくは行動計画、行動リストなど)に変換されることが、大半の場合、なされていないのです。それでは、数値の行動への変換について、お伝えしていきたいと思います。

数値目標はどうすれば行動目標に置き換わる?

まず、前号にて述べた、売上の構造の一例を、もう一度挙げます。

 

◎潜在客数×見込顧客化率×来店率×購入率×購入単価
=将来の新規売上

 

この将来の新規売上に、リピート客からの売上を足したものが、将来の売上になります。

 

ここで考えるべきは、この項目の大半が、「顧客の状況や行動」によって構成されている、という点です。これが一つ目のステップそのものであり、

まず、売上の数値を、それを構成する顧客の数や、質に変換する

売上は通常、単価×数と考えられ、これは当然外してはならない基本であります。

 

最初のフェーズの客が、それぞれの比率によって最終的に購入顧客になり、購入単価によって売上になる構造ですから、逆にある売上を実現するために必要な客の数や単価に変換することができる、ということです。

その顧客数を取り扱うために、必要な業務プロセスと人員数を考える

定義された顧客の数から、それに対応するための業務プロセス(仕事の取組手法)や人員の数を考えます。

 

例えば、これまで100の購入顧客数を想定していたものを120にするとなれば、業務の効率化を行うなり人員を増員するなりの対応が必要ですし、例えば「来店率」の増加で20の顧客増加を目指そうと思えば、広告宣伝方法について対応することが必要になります。

 

単純にそれを行った場合(例えばシステムの導入や人員の追加、広告回数の増加)にはコストが発生しますので、利益として極大化されるように調整を行わなければなりませんが、重要なことは

 

「それだけの効果が得られなければならない」ことが明確になるということです。

 

また、「顧客を月に○○人対応し、売上を△△円上げられるような人でなければ、採用してはいけない」という、明快な採用の目標にもなるのです。

 

また、業務プロセスというと難しいイメージになりますが、こちらはまずは「スケジュール」と考えていただきたいと思います。

 

「一月に○○人の対応をしなければならないが、他に□□の業務もある」と予測された場合に、無理に全部何とかしようとすることはお勧めできません。

 

社長自身であればなおさらのこと、無理は長く続きません。体が健康であればこそですから。とはいえ、誰しも一日は24時間しかありません。となれば、当然

 

・より簡単にすること

・他の社員や外注先に任せられるものは任せること

・より「自分自身で行うべき」仕事に注力すること

 

が必要であり、これを考えることが中小企業にとっての業務プロセス改善の根幹になります。

人の活動目標としての行動計画に整理する

ここまで行うと、必然的に「行動計画」にまとめることができるようになります。必要となった要員数に対して、「それぞれが、どのように動けば必要な顧客数に到達できるか」を行動に置き換えるのです。

 

例:売上の構造をアポ入れ客×面会率×提案率×成約率×購入単価=将来の売上とした場合、

 

面会率が20%(アポイントを申し入れたうち、面会できた率)
提案率が40%(面会したうち、提案できた率)
成約率が25%(提案したうち、成約出来た率)

 

とすると、1件の成約を得るために必要なアポイントの申出が1÷0.25÷0.4÷0.20=50件となります。

 

従って、必要な顧客数が5件であれば250件のアポイントを得るための行動が必要となり、今ある未開拓顧客リストが150件ならば、不足分の100件をどのように増やすのか、例えば紹介依頼をもう一度行えないか、それはいつまでに何件できるのか、というように、今目標達成のために行うべき行動に変換することが可能になります。

 

一方、250件ものアポイントを入れる時間が物理的に不可能と判断されるのであれば、「面会率」他の数値を向上させて対応する決断を行い、よりその項目の実施が得意な社員に対応を集中させることや、やり方を変える等の改善を考えることで、必要なアポイント数の方を削減させます。

 

上記の例で言えば、例えば面会率が25%になれば

 

1÷0.25÷0.4÷0.25=40

 

となり、5件の成約に必要なアポイント数は200に減少します。

 

当然、面会率を向上させるわけですから、これまでよりも確実に面会できる、例えば紹介を頂くことにより注力することが必要である、と判断できます。

 

そうなれば、行動目標は、「まずはこれから2か月で紹介元を50件確保する」。そのために何をするか、というところまで具体化することができます。

 

こうして練られた行動計画は、銀行に対する説得力はもちろんのこと、何よりも自らが「何をすればよいのか」理解できる上に、「これができれば目標数値が達成できる」→「会社がここまで再生できる」

 

行動と数字が連動した素晴らしい計画になります。ぜひ、一度ご自分の会社でも目標数値→必要な顧客数に置き換え→必要な業務プロセスと人員に置き換えすることで、行動計画に落とし込むことをお勧めいたします。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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