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中小企業と銀行との関係

現在行われている通常国会には、金融円滑化法期限延長の法案が出されました。世界同時不況以降の資金繰り対策は、中小企業の実態に即した面も多かったですが、来年度に向け、セーフティネット保証(現在名称「景気対応緊急保証」)の要件変更が予定されるなど、環境は変わってきつつあります。

 

銀行とのつきあいをよくするためも、油断なく経営者自身の取組をしていきたいものです。何年も前のことですが、ある経営者の方がおっしゃっていたことを今でも覚えています。『人を動かす要因には、3段階ある』と。

 

それは、、、

 

1.強い関係を築く
2.正しいことを説得する
3.やりがい、楽しみを共有する

 

の3つ。これは、主として従業員にいかに働いてもらうか、貢献してもらうか、についておっしゃっていたこと(従業員に対して、1.強いリーダーシップをもって引っ張る、2.正当なルールをつくり、従ってもらう、3.仕事の意義を理解してもらい、行動を促進する)なのですが、中小企業経営者と銀行との関係にもあてはまる、と痛感します。いいかえれば、経営者の方が銀行に対して、、、

 

1.弱い立場だと、動かざるをえない(言うことをきかなくてはならない)
2.正しいと信じてしまうと、動かざるをえない(従ってしまう)
3.意義を互いに分かり合えなければ、動きたくとも動けない

 

といえるのではないか、ということです。これらの状況にあてはまる経営者の方は、ほぼ銀行に対して苦手意識を持つことになり、せっかくの事業の成長のための思いやプランの実現可能性が低くなってしまいます。上述の3点をもう少し、掘り下げると、

1.銀行には弱い立場である

兆候

  • 銀行に行くと気が弱くなってしまう
  • 銀行員には人間関係上、強く言えない
  • あらゆる要望に応えることが仕事になっている(悪い意味での下請体質)
  • できれば担当者には会いたくないくらいだ

 

銀行側が一方的に強い関係は、当然ながら銀行の都合により振り回されるリスクが高まります。銀行が歩み寄ってくる情勢のときは協力関係、そうでないときは疎遠になる、むかしから「借りたいときには、貸してくれない」などと言われますが、まさに銀行主導。もともと金を借りる立場は弱いものです。

 

意識的にせよ無意識的にせよ、こうした関係ができあがりやすい間柄ですので、要注意です。

2.銀行は正しいと信じて疑わない

兆候

  • 会社の数字に弱い。だから人任せ。
  • 銀行の話や要望は、理解が難しいと感じている
  • 銀行は自社に悪いことはしないという思いがある
  • だから、言われるがままに

 

「ルールですから」「それは、無理です」等々、自信を持った表情で説得されると、誰しも正しいと信じ、従ってしまうことがあるかと思います。もちろん、銀行がだましているとは言いません。ただ、銀行のよって立つ「正しい」自体が不変のものではありません。

 

むしろ、冒頭にも触れましたが政策や金融庁の方針転換、支店長や担当者の変更によっても頻繁に影響を受けると考えておきたいものです。企業は何十年と続くものです。ルールの適正さや金融環境は常に一定であるわけがありません。経営者自身でも正しいのかどうかの判断基準を持つ、あるいは少なくとも経営者目線でサポートできる財務責任者や専門家を持ちたいものです。

3.銀行とは分かり合えない

兆候

  • 自社の事業分野は特殊だ、高度に専門的だと考えている
  • 銀行側の担当者の理解能力では難しい、と感じている。
  • 何度も同じ説明を求められる
  • 伝えていっても無駄だ

 

たしかに、業務合理化による人手不足なのか、事業構造自体が複雑化したのか、銀行員の事業理解力が不十分と感じることは多いかもしれません。しかし一方で、銀行員のある調査結果によれば、「金融機関に強化を求める事項」としてあげられる上位の回答は以下の通りでした。

金融機関側が考える事項

  1. 必要時の迅速な貸出(36.6%)
  2. 事業将来性を評価した貸出(17.1%)
  3. 経営方針・事業計画の作成サポート(13.3%)

中小企業側が求めている事項

  1. 必要時の迅速な貸出(23.0%)
  2. 金利・手数料の引下げ(21.6%)
  3. 長期資金の貸出(15.9%)

 

(中小企業庁委託「中小企業の資金調達に関する調査」2009年11月みずほ総研(株))

 

両者とも最も多い回答が、「貸出」に関することなのは、金融機関の役割として当然ですが、金融機関側の回答の2番目、3番目の回答に着目してみてください。金融機関が考える事項2番目の「事業将来性を評価した貸出」は中小企業側では重要度が低く上位3位までには入っていません。

 

さらに3番目の「経営方針・事業計画の作成サポート」は、中小企業側ではわずか3.0%の回答しかなく、認識に10ポイントもの大きな開きがあることがみてとれます。つまり、銀行側としては、将来に向けての評価を、経営計画を対象に行っていきたいが、それは企業側に存在しない、あるいは不十分、ということです。

 

以前から経営計画の重要性は唱えられていたものの、実際、銀行とのやり取りの中で経営計画への踏み込んだ言及は、昨今増加している実感が現場でもあります。その中で、銀行は事業の理解は無理だとあきらめることは、銀行からの歩み寄りの機会を逸することになります。弱い立場を嘆いていても仕方ありません。正しいだけではその時凌ぎの対応なのかもしれません。銀行と事業の将来の意義について共有し、行動を促しませんか。

【参考】経営計画には何を盛り込む?

先の調査では「経営計画の取組内容」として、金融機関が求めるものと、中小企業における策定実態についても触れられています。やはり、両者にギャップが大きい項目が多くあげられます。

 

  • 「売上・利益の計画」
  • 「資金繰りの計画」
  • 「経営理念、戦略・目標の明確化」
  • 「計画のフォロー・随時修正の実施」

 

歩み寄りは、ここからです。

 

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