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銀行はBS重視からPL重視に変わるのか?

融資の本質からいえば、BSを軽視することは不可能、あり得ません。

経営者はBSよりもPLを気にしています。一方、銀行はBSの分析を大事にしています。銀行が融資を出すときは、特に資産が一定以上(あればあるほど)あることを良しとします。

 

ここで、銀行がBSを無視できない理由を、融資と投資との比較で考えてみます。以下は、投資と融資において、投資(融資)を行った側にとって、その後どうなるのかを簡記したものです。

投資の場合

投資対象が成功する ⇒ 大きな配当を受け取る、元本も回収可能
     失敗する ⇒ 投資金額を失う、つまり元本は失われる

融資の場合

融資対象が成功する ⇒ 金利を受け取る、元本も回収可能
失敗する ⇒ 金利を受け取る、元本は「融資対象からでなくても可能な限り回収する」

 

投資と異なり、融資の場合には「成功しても利息しかもらわない代わりに、失敗したら利息以外に元本を回収するために、融資対象物でないものからでも回収する」ことができます。

 

これが投資の場合は「成功したら大きな配当を受け取る代わりに、失敗したら元本を失うことが当然」となります。

 

有担保の借入で、不動産を中心に抵当権をつけるのは、この表れです。もし貸金を返済してくれない場合は、抵当権をつけた不動産を競売という形で売却しお金は回収することができるからです。

 

「銀行にとっては、貸したお金の回収を追及する限り、何かあった時に回収できる拠り所(=売却可能な資産)はあればあるほどよい」⇒「貸借対照表の資産項目の規模・時価・将来性の評価を考えないなんてありえない」となります。

 

では、なぜ、改めて「PLを重視する」ことが問われているのか?

なぜPLを重視しようとしているのか

会社にとってPLを改善することが、財務や銀行格付けにとってどのような影響を与えるのか?

 

PLが改善し、利益が増加することはBSの改善につながります。

 

会社にとって、PL上の最終利益は純資産に積み上がりますが、それによって悪化する財務指標はほとんどありません。銀行にとっても、債務者格付を上げることができます。

 

⇒借入の返済は利益(+減価償却)範囲でしかできません。

 

遊休資産の売却や、そもそも利益からの返済が不要な借入(今回はこの説明は省略します)を除いた場合、理論上、借入の返済はキャッシュフロー、つまりは利益+減価償却の範囲内からしかできません。銀行にとっても、貸したお金をより返してもらうためにはこの金額が確保されている方がよいです。

 

どんなに不要資産を売却するなどしてBSをスリム化、適正化しても資金が尽きてしまえば会社は存続できません。中長期的に会社の現預金を支えるのは、資金計画によって裏付けられた利益です。結局、利益が出ない会社は再生のしようがありません。

PL重視の本質は「経営者の姿勢」

銀行はこの20年間で融資実務の担当者を3分の1にまで減少させています。業種別・企業別に様々な個性や特徴をもつ中小企業に対して、個社別に売上・利益を向上させる指導を行うことは困難です。

 

銀行員によっては、判で押したように「役員報酬・人件費を減らして下さい」としか言えない方もいます。

 

金融庁や銀行本部では、中小企業の売上と利益の改善を求めて「それができれば、我々だって損はしないだろう?」と指示を出しているものの、現場は繁忙で対応しきれていない、それを見た金融庁・銀行本部が重ねて指示を出す。。。このようなことが、繰り返しで起こっているのが、実情です。

 

この現状を、あなたはどのように感じますか?

 

私は、ある意味チャンスだと思っています。

 

PLを改善できること、それがどのように取組むものなのか進行中の改善計画がどのように進捗していくのか上手くいっているものは、これからも上手くいくのか思うようにいかないものは、他に対応があるのか

どのように今後経営していくのか

まとめとして、どのように今後経営していくのか

 

…これらを、自ら銀行に発信し、アピールできる企業がより評価される状況が、より強まっているからです。

 

実際、私の知る企業様でも

 

  • リスケジュール中でも新規の融資を受けることができた
  • 一旦断られた融資を、最終的に実行することができた
  • 打診された担保物件の売却を、撤回してもらうことができた

 

という方がいらっしゃいます。これらができた経営者には共通して取り組まれていたことは「経営者自らが、銀行に対して自社の取組みを考え、伝え、実行していく。」です。

 

従って、銀行がBSよりPLを重視しようとするのは、経営者が自分の企業の現状と将来をどのように捉え、目指していくのか、伝えられるか、実行できるかどうかをみようとしている、ということ。

 

つまり「経営者の姿勢」が問われています。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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