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第二会社方式による再生は本当に可能か

2014年2月17日号

第二会社方式、と呼ばれる再生手法があります。
過去の負債や赤字の負担が重い(旧)企業が、
会社分割や事業譲渡によって別の会社(第二会社・新会社)へ
収益力のある事業や資産を移すという手順です。
新会社は良好な企業として存続、旧会社は概ね整理を行う
ことになります。

法制度上、事業譲渡自体は債権者の了解や通知を行う
必要がないため、
「収益力のある事業や資産を新会社へ移す」
ことは、やろうと思えばどの企業でも可能です。

コンサルタントの手引や、焦った取組みで会社が倒れる

弊社もコンサルティング会社であることは間違いなく、
言葉には気をつけないといけませんが…、
ここ数年、無理な第二会社方式の運用によって
再生どころか、むしろ会社を倒産させてしまう企業が
続発しています。
コンサルタントがわざわざ主導していることも多く、

大体、手口は

1.別に新会社をつくらせる、または既存の別会社を用意する
  代表者は必ず、旧会社代表者と別人にする

2.事業性取引の取引先口座を新会社へ移行する

3.金融機関へは報告義務がない、として無視する
  あるいは、後で通知だけする

4.借金だけ残った旧会社は放置する

5.きれいな新会社だけで経営を続行する

というシナリオになります。

もし、金融機関からクレームが入った場合には
(金融機関に対しては)新会社と旧会社との間には
何ら関係がない、とした上で

「その会社は部下(新会社社長)が勝手に独立して
 お客さんも持っていってしまったもの。
 こちらも被害者。どうしようもない」

と主張、批判をかわすと指導することになります。
当然、実際には関係はあるわけですが、そこは目をつむって。

しかし、この手口で最終的に無事再生できたと
本当に断言できる企業様というのは、私は見たことがありません。
こんなこと「だけ」しか言えないコンサルタントには
重々ご注意下さい。ただの騙し、詐欺行為です。

さて、金融機関から法の追及をかわせたとして、
金融機関はどう対応していくのかというと、
金融機関は仮に法律上の追及ができなくとも
重大な問題(悪意のある資産隠し)が発生したと考え
その履歴は社内で半永久的に記録されます。

※いわゆる、詐害行為を行ったと認定されます

例え外部ネットワークとしての信用情報にはのらなくとも、
自社内でずっと残ります。
新規の融資は完全拒否がずっと、続きます。
旧会社だけでなく、新会社に対しても全く同じことです。

新会社が新たな金融機関に対して新規の申込をしても
過去経緯の説明に嘘をつくことになりますし、
審査担当者が決算書の勘定科目明細を見ていけば
第二会社方式を使用して、かつての金融機関を切り捨てた
ことは概ね見当がつきます。

金融機関からみると、悪意をもって返済から一度逃げ出した企業は、
また都合が悪くなれば、同じことをするのだろう
と考えるものです。そんな相手に融資をする訳がありません。

従って、どんなに妥協したところでこのやり方は
新旧両会社どちらもが二度と融資を得ないで経営する前提で
旧会社の社長のみならず、
新会社の社長も保証の犠牲になる覚悟をもつことが
最低条件です。

ここまで犠牲にできるくらいなら、
他の方法を使った方が余程ましではないでしょうか。

第二会社方式の正しい考え方

とはいえ、私は第二会社方式そのものを否定している
わけでもありません。やり方の問題です。

現在の法制度で過去の負債を清算、事業を残すという意味で
第二会社方式は合理的なもので、
中小企業庁も既に支援制度を創設しています。
(概略は下記リンクより、中小企業庁H.P.をご参照下さい)

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/h22/gb060.html

必要とされる財務要件は

1.計画申請時点での
  有利子負債 / キャッシュフロー >  20

2.計画終了時点で
  有利子負債 / キャッシュフロー >= 10
  経常収支  >=  0

3.新会社への承継完了後、旧会社を清算すること

4.公正な債権者調整プロセスを経ていること
  (再生支援協議会等の公的な第三者機関を入れているか
  私的整理ガイドライン等の公的な手続きを経ていること)

5.第二会社の事業実施における資金調達計画が
  適切に作成されていること

6.第二会社の営業に許認可が必要になる場合、
  許認可を取得している、又は取得見込みがあること
  (特例で、許認可が第二会社へ移行できる場合もあります)

7.承継される事業に係る従業員の概ね8割以上の雇用を
  確保(承継時点)

8.従業員との適切な調整が図られていること
  (労働条件の切り下げ等が発生していないこと等)

9.取引先企業への配慮
  (旧会社の売掛債権を毀損させないこと)

と規定されています。
本制度に基づく場合には、税制上の優遇措置や
融資の優遇制度もあります。

さらに、現在進行形で検討中のものですが、
本制度をより発展的に利用できるように
今後金融庁が動いていくとされており
(経済産業局の方に直接伺った際に聞きました、
 かなり本気です)
制度の拡張や、利用に対する金融機関への指示・指導が
見込まれることから、詳細の続報を待ちたいところです。

私はお会いするお客さまには
「第二会社方式を検討するのだとしたら、待てるのならば
もう少し待つべき」
としています。

中小企業の再生案件は、借入のある企業である限りは
どんな手法であっても、金融機関にとって
「このまま倒産されるよりはよい」
と信じられるかどうかがポイントであり、原則です。
法律上の義務はなくとも、自ら案と計画を考え
金融機関に告知し、了解を得ようとすることが
長続きする真の再生への道筋です。

簡単に「これだけ」で再生できるような手法があったら
とうに皆やっていますから。

「2014年2月17日号」執筆:今野洋之

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