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銀行の融資以外での活かし方

2014年4月10日号

ほとんどの銀行で不良債権処理が落ち着いている現在、どこの銀行も、
貸出量の増加に向け激しい競争を行っています。

銀行が融資を出せる企業に対しては、銀行はこまめに訪問し、融資を売り
込んでいます。その競争により、貸出金利は低下傾向にあります。

一方で銀行が融資を出せない企業へは、経営改善のために、銀行はコンサル
ティング機能を発揮しようと動いています。

この中で銀行は、ビジネスマッチングということを意識して取り組んで
います。
ビジネスマッチングとは、銀行が、その融資先企業などに対し、企業の経営
強化のために、銀行の取引先同士を紹介することです。

例えば、次のことをビジネスマッチングで行います。

・仕入先と販売先、外注先などの紹介。

・不動産の売買情報や賃貸情報の紹介。

・M&Aの相手の紹介。

・税理士など専門家の紹介。
では、一つ一つを見てみましょう。

仕入先と販売先、外注先などの紹介

多くの銀行では、銀行内に独自のデータベースを持ち、取引相手の紹介を
行っています。

また商談会を独自で開催したり、いくつかの金融機関で共同で開催したり
して、取引候補を見つける場の提供を行っています。

なお取引先同士のマッチングだけでなく、銀行にとって重要な融資先企業で
は、そこの銀行員全員に対し、商品やサービスを勧めることを銀行が許可
することもあります。

銀行内では毎日、通達が回覧されますが、その中である支店の融資先企業が
このような商品を扱っているから買いませんか、という情報もあります。

健康器具を販売したり、旅館の割引チケットを配布したりなど、銀行の
融資先企業の商品やサービスがそこでは宣伝されます。

地方銀行では社員が数千名います。銀行にとって重要な融資先とされて
いる企業では、多くの人に対し、商品やサービスを宣伝する機会を作ること
もできるのです。

不動産の売買情報や賃貸情報の紹介

銀行は企業との取引の中で、不動産を買いたい、売りたい、という情報を
手に入れることができます。

厳しい状況の企業においては、負債の圧縮による財務の改善のために銀行が
不動産の売却を指導し、その買い先までも銀行が探してあげることがあり
ます。

そのような不動産の売り情報を、工場用地を探したり、自社ビルや店舗を
建てたかったりする企業に対し、提供します。

銀行としては、不動産の購入は、融資を行うチャンスとなりますので、自ら
融資を行う機会を作るべく、不動産情報を集め、提供していきたいものです。

また売買だけでなく、賃貸の情報も同じです。借り手の企業に対し、工場
建築資金や機械購入資金、店舗出店資金などを行う機会となります。

ある外食フランチャイズの企業は、その拡大のために、たくさんの取引先を
集めて説明会を開き、不動産の賃貸情報をその会社に流してくれるよう
要望していました。銀行員としてその企業の担当であった私も説明会に
呼ばれました。銀行には、自分の不動産を貸したい、一方で借りたい、と
いう情報が集まってくるものです。

不動産情報も、多くの銀行でそのデータベースを作っています。銀行内で
その情報が閲覧できるようになっていて、銀行員は、自分の担当企業にその
情報を提供できないか、探すことができます。

M&Aの相手の紹介

会社を売却したい、購入したい、という情報が銀行に集められ、銀行内で
データベース化され、銀行員はその紹介を行うことができます。

ただしM&A専門の仲介会社に比べれば、そのような情報は少ないです。
銀行はM&Aの仲介を行いたい、と思っているものですが、地方銀行でも
その成約数は、年に数件程度です。

税理士など専門家の紹介

税理士のところには、多くの銀行員が訪問します。税理士の関与先の中で、
融資ができる企業を紹介してくれないか、ということを期待してです。

一方で、銀行の融資先企業には、決算書の内容が不明瞭の企業が多くあり
ます。銀行から見て明らかにあやしい決算書、つまり粉飾決算の疑いがある
企業です。

このような企業に対し、銀行は今の税理士に辞めてもらって、新しい税理士
を入れるよう、勧めます。

多くの銀行では、税理士に新しい関与先を紹介して恩を売り、その後の
融資先紹介に期待するものです。もしあなたの会社が税理士を変更したい
場合、銀行に依頼すれば紹介してくれることが多いです。

銀行をビジネスマッチングで活用する

以上のように、どの銀行もビジネスマッチングに力を入れています。

2002年に金融庁から出された金融再生プログラムにおいて出された
リレーションシップバンキングの考え方に基づき、銀行の動きが活発に
なりました。

ちなみにリレーションシップバンキングとは、銀行が企業との長期継続する
関係の中から、借り手企業の経営者の資質や事業の将来性等についての情報
を得て、融資を実行するビジネスモデルのことを言います。この中で銀行は、
融資先企業に対する経営支援も行うよう、金融庁から求められました。

また銀行は、仕入先・販売先や、不動産などの情報提供を企業に行うことに
より、自分の銀行に、企業が融資を多く申し込んでくれることを期待して
います。

銀行は情報提供により、企業から「この銀行とつきあうと得だなあ」と
思われて、それが取引強化につながることを期待しているのです。

また、例えば不動産を購入した企業が、その購入資金の融資を、情報を
持ってきた銀行とは別の銀行から受けることはなかなかありません。この
ように銀行は、融資機会を作ることも、ビジネスマッチングに期待している
のです。

企業としては、銀行を、融資を受けるだけではなく、経営強化のための情報
入手先として活用することができます。

また銀行の持っている情報は、世間ではまわっていないことが多いです。
そのような情報の入手先として銀行は重宝します。

意識のある銀行員、意識のない銀行員

ただ問題は、銀行員それぞれの意識の差が大きいことにあります。

ビジネスマッチングの情報は、それ自体は銀行自身の取引に結びつく情報で
ないことが多いです。

例えば仕入先を紹介し、紹介先同士で取引開始したところで、銀行としては
手数料が入ってくるものではありません(手数料を設定している銀行も少数
あります)。

そのため、ビジネスマッチングは、銀行員によってはその意識の差が激しい
のです。

多くの銀行では、ビジネスマッチングのデータベースを銀行内に作って
いますが、自分の担当先に話をできるよう頻繁にそれを見ている銀行員も
いれば、そのデータベースを見たことのない銀行員もいます。

もしあなたの会社を担当する銀行員が、ビジネスマッチングに意識のない
銀行員であったら、あなたから積極的に、銀行員に相談を持ち掛けていく
しかありません。

銀行員と会うごとに「このような取引先を探しているんだけど…」という
話をしていくのです。

なおどこの銀行でも、ビジネスマッチングは、本部の経営支援の部署でその
取りまとめを行い各支店に情報を流す、という体制をとっております。

また本部の経営支援部署の銀行員は、支店からビジネスマッチングの情報が
上がってきたら、支店の担当者と同行して情報を求めている企業に訪問する
ことがあります。それであなたの会社が本部の銀行員と知り合うことが
できたら、今後の相談はとても行いやすくなります。支店の銀行員が本部の
人を連れてきてくれるよう、自分の会社は情報を積極的に求めていると
アピールしていきたいところです。

なお融資が主業務である銀行にとって、ビジネスマッチングはまだまだ
一般的な業務ではありません。そのため、ビジネスマッチングを成功させる
ことは、担当の銀行員としては銀行内で誇らしいことになりますし、その
支店でも、支店長は本部や他の支店に、ビジネスマッチングの成功を
アピールできます。

あなたの会社が銀行から情報を得たい場合、何度も担当の銀行員に

「こういう情報を持ってきてくれ」

と言い続け、銀行員を意識づけることが大事です。

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