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売上・仕入・生産の動向について銀行から聞かれること

銀行が企業から融資を申し込まれたら、審査のために稟議書を書きます。

 

その企業に対し融資を出すかどうか、出すなら金額はいくらとするか、返済期間、金利、担保はどうするか、といったことが稟議書に書かれ、それが銀行内で回覧され、最後は支店長もしくは本部にて決裁されることになります。

 

そして稟議書は、融資の申込みを受け付けた得意先係、もしくは融資係の銀行員が書きます。融資の申込みを受け付けた銀行員は、融資審査を通したいと思って稟議書を書くのが通常です。融資審査は、第一にこの企業が最後まで返済できるか、という返済能力の観点から行われます。いかにこの企業は返済能力が高い企業か、と稟議書を読む人全員に納得させるか、が融資審査を通すポイントとなります。

 

企業の返済能力を高く見せるには、その根拠をいかに書くか、が大事となります。その根拠を集めるために、銀行員は融資を申し込んだ企業に対し、経営のいろいろなことを深く聞いてきます。企業側はそのような銀行員に対し、いかに自分の会社の返済能力の高さを納得させるか、その材料の提供が大事となります。

 

また銀行とつきあっていくにあたって、融資を申込む場合でなくても、日頃から自分の会社の経営について銀行員に伝えておくことが、銀行員に自分の会社を理解させ、受けたい時に円滑に融資を受けられることにつながります。では銀行員は、どのようなことを企業から知りたいと考えているのでしょうか。売上・仕入・生産面で知りたいことを見てみます。

売上について

1.売上の増減の理由

まず、以前に比べて売上が上がっているのか下がっているのかを銀行員は見てきます。決算書を3~5期分、時系列で並べて、売上の増減を見ます。売上が増加した場合、減少した場合、それぞれの理由を整理しておきましょう。例えば減少した場合、次のようにです。

 

(例:小売業や飲食業などの場合)前期は赤字の3店舗閉店したため、その分の売上が3店舗合計9,000万円減少した。

 

(例:製造業や卸売業などの場合)取引先のA社への販売が、A社自体の売上の減少により自分の会社にしわ寄せが来て、A社への売上が5,000万円から前期は2,000万円減少して3,000万円となった。

このように、店舗、事業所、取引先、商品ごとに売上の増減を分析し、数字で銀行員に答えられるようにしてください。

2.主力商品・サービスの売れ行きや将来性

次に、企業の主力商品・サービスの売れ行きや将来性を銀行は見てきます。

 

主力商品・サービスが、市場でどのような需要なのか、競合他社との競争状況はどうなのか、将来は伸びそうなのか、などを銀行員は知りたがっています。整理しておきましょう。

 

(例)自分の会社の○○という製品は、○○機械の部品の一つとして、競合他社は3社あるが、自社は独自の○○という技術を持っている。○○機械の需要はこれから伸びていくことが予想され、それに合わせて自社の○○という製品の需要も伸びていくことを予想している。

3.営業体制や販売網

いくら良い商品やサービスを提供していても、それを顧客に販売していく活動が行われなければ、結局、売上は上がらないことになります。

 

自分の会社は商品やサービスをどのように販売しているのか、その体制を銀行員に伝えることによって、銀行はあなたの会社の今後の売上の伸びを想像しやすくなることでしょう。

 

(例)15名の社員のうち5名は営業である。5名で、月に5日、新規開拓のために地図でマッピングしてローラーを行っている。この3ヶ月間では、新規15件と取引を開始、現時点での取引先は180件となっている。また営業は営業部長が管理し、毎日日報を提出させて営業の指導を行っている。

仕入・生産について

1.仕入先の変化の理由

売上ほどではないですが、仕入・生産についても、あなたの会社はどのように行っているか、銀行員は知りたがっているものです。

 

仕入先に変化があれば、なぜなのか。あなたが仕入先の変化を銀行員に伝えなくても、銀行員は決算書の買掛先などから仕入先の情報を得ているため、気づくものです。

 

仕入先との関係が悪化した理由があったのか、それとも価格が低い仕入先に変更したのか、そもそも取り扱う商品を変更したからなのかなど、銀行員は仕入先の変化の理由を探ろうとします。その理由を銀行員に聞かれなくても整理しておき、伝えておきたいものです。

 

(例)商品○○の仕入先について、B社との取引を最近解消し、C社へ移行した。なぜならB社よりもC社の方が5~10%程度価格が低く、自社としては原価の低減により利益の向上を図りたいからである。

2.生産体制の変化

また製造業などでは、生産体制について銀行員は知りたいと思っています。工場の稼働状況はどうなのか、外注が増えた、減った理由はなんなのか、などを答えられるようにしておきたいものです。

 

(例)製品○○の受注が、取引先○○の販売拡大により求められている。そのためD工場の機械配置を見直し、工員3名の増員を図った。それでも足りない分は外注先E社に協力してもらえるよう話はできている。

銀行員に自社の状況を伝えられるよう情報を整理しておく

以上、銀行員があなたの会社のどういったことを知りたいのか、売上・仕入・生産といった観点から見てみました。

 

重要なのは、まず第一に、あなた自身が自社の売上・仕入・生産の状況について深く分析しておくことです。

銀行員に「社長、前の期に比べ、今回の決算書では売上が約2割落ち込んでいますが、それはなぜでしょうか。」と聞かれ、「景気が悪かったから仕方がない。」としか経営者が答えられない、そんな企業に、銀行は融資を行うのが不安になります。

 

企業の変化、数字の変化について、銀行員は誰も、研修で学びます。それをもとに融資先の企業を深く知ろうとします。

 

また銀行員が聞いてきたから答えるより前に、企業側から、自分の会社の状況について分析したことを文章で伝えておく方が、銀行からは、しっかりした企業、優秀な経営者、という見方をされるようになります。

 

そして、あなたが銀行員に伝えた自社の状況が、銀行では企業ごとのファイルに記録され、そして融資審査の稟議書に書かれることになります。

 

稟議書での審査は、人間の目による審査です。そこに何が書いてあるかで、融資審査の判断は大きく変わることになります。そして稟議書に記載されることは、あなたが担当の銀行員にどのように伝えるか、で大きく変わることになります。

 

特に融資が出るかどうか、当落線上にいる会社は、後で悔やむことないよう、自分の会社の経営状況について、しっかりと伝えておきたいところです。

 

そしてあなたが言いたいことを100%伝えるには、口頭ではなく文章で伝えたいものです。その文章で伝えたことは、融資先企業のファイルに保管され、稟議書に添付されることになり、融資審査の材料の一つとされます。

融資を通したいなら、上記で述べたことの重要性を知り、そして実行していってください。

 

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