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廃業を考える No.2

2016年3月8日号「銀行とのつきあい方」

 

前回から「廃業を考える」というテーマでお話をさせて頂きます。
今回は具体的な廃業の方法、手順や気をつけるところに
ついてお話をさせていただきます。

 

廃業にあたってネックになることは会社様ごとで
状況は全て違うのでしょうが、非上場の中小企業の
ほとんどの会社に当てはまる状況を中心にお話いたします。
より具体的な話、細かい話については、
専門家もしくは弊社にご相談いただければとおもいます。

一番大きな課題であろう「負債の処理」

 

廃業、解散するにあたって一番問題になるのは負債の問題です。負債については、主に

 

  1. 事業上の未払い(仕入代金、経費未払、未払給与など)
  2. 金融機関借入(および連帯保証)

 

がネックになってきます。
まず第一に、すべての負債を支払い完了できれば、
これらの項目は無問題となります。
全ての支払いを完了できない。ということであれば、
完済できない負債について、対応策を考える必要があります。

 

ひとつは、破産の手続きを行う。
もうひとつは話し合って先方の了解を取った上で、
負債の棚上げ、もしくは分割払いを行う方法です。

 

破産については弁護士さんにお願いするだけですが、
気をつけて頂きたいのが、

 

「破産後、どうやって生活していくか?、」

 

また

 

「保証人になっていただいた方等に迷惑をかけてしまうことに
 なりますが、保証人等の方にどのようなダメージがあって、
 それは何らかのケアができるのか?」

 

は弁護士さんに相談行く前にある程度把握が必要です。
破産の手続きに入った以後の話ついてはここでは割愛します。

 

破産はせず、長期の分割払いを希望する。その1(銀行交渉)

 

破産せずに分割払い等の方法により返済を継続したい。
ということであれば、相手方との交渉が必要です。

 

金融機関が交渉相手ということであれば、
弁済未済額をその後どうやって返済していくか?
についての説明を、返済原資となる収入、
バックボーンの事業等での収支を説明した上で、
分割弁済の交渉をしてください。

 

よく質問を頂くことの中に、
「銀行交渉はまったく不可能で、破産をしないとダメか?」
といったことを聞かれますが、
法律的な破産の手続きをするかどうか、
と金融機関が条件変更を飲む・飲まないの判断を
するかどうか、はまったくの関係性がありません。

 

たまに分割交渉をしている中で、銀行担当者が

 

「それでは破産するしかないですね。」

 

といった旨の発言があることがありますが、
これを真に受ける必要はありません。

 

交渉において、一般的に金融機関側としては、
「期限の利益」を喪失させてくると思いますので、
担保となっている不動産等は競売等に掛かるリスクが
高くなることは覚悟をしてください。
担保に入っている収益物件などはまずほとんど手放す
覚悟が必要です。

 

金融機関によっては、今なお、高圧的、威圧的な交渉を
してくることが散見されますので、複数金融機関等と
交渉が必要な状況でしたら、対応が紳士的な銀行に
先行して話をまとめる必要があります。

 

ただし交渉のスタートは債権が多い先へ、
合意を取れなくても先に話をする必要があります。
このあたり、スムースに話し合いを行っていくための
交渉テクニックが若干ありますので、詳しい弁護士さんもしくは
弊社へのご相談をいただければと思います。

 

破産はせず、長期の分割払いを希望する。その2(一般債権者)

 

取引先など一般の債権者については、返済の分割交渉を
するのはいろんなことに注意をする必要があります。

 

一般の債権者との交渉は金融機関と違い、交渉がまとまりにくくなる
傾向があり、また、逆のケースもあります。

 

たとえば、長年の取引があり、
信頼厚く良い商売を行っているケースで、
取引先たから
「今まで儲けさせてもらったので、支払はもういいよ。」
と温かい支援の申入れをもらうケースもあります。

 

このような背景の中、
交渉にあたって気をつけていただきたいことは
下記の項目になります。

 

  1. 債権者数を減らす
  2. 先方の主張を予測し、妥結条件について予測する。
  3. 相手先の横のつながり(同業者・地域のつながり)を確認し、紛糾しそうな先へは交渉順番をよく考え、他社への交渉の影響が最小限に抑えるようにする。

 

金融機関と違って気をつけないといけいないことは、
「相手が経済合理性で判断するとは限らない。」
ことです。ここが決定的に違うポイントとなります。

 

簡単にいうと、
 

「恨みをもって、誰も得しない仕返しをしてくる人がでてくる可能性がある。」
 

ということです。

 

一般的に地域でご商売を行っている場合は、
相手も交渉するのは人間ですので、最終的に経営者様が

 

「どのような関係性で取引先と取引をおこなっていたか?」

 

というところがポイントになります。

 

また、相手先の力が大きいと、
相手が法的手段(債権者破産)を
しないとも限らないので、慎重に見極めが必要です。
交渉相手の規模感、考え方(人間性含め)で
結果が大きく違うので、とにもかくにもすぐに
あちこち交渉始めることだけは避けて欲しいです。

 

経営者の人柄もよく、また、取引条件面も良い関係性で
取引を行っていたとしても、相手が大企業、特に商社、
メーカーは銀行より交渉余地が狭いケースが大半で、
交渉の難易度が高く、「とりつく島もない」といったことが
多く、著者自身も事業再生に関与する中でそのような交渉で
苦渋を味わうことがかなり多くありました。

 

一般的に、交渉対象者が多いケースで、かつ、
交渉金額が大きくて簡単な妥結が難しい先が多いときは、
法的整理(破産)が望ましいケースもあります。

 

法的整理のメリット、デメリットの判断は事業再生に
詳しい法律家にご相談いただければと存じます。

 

自宅は残したい

 

経営者または会社の連帯保証人で、会社の銀行借入に対して
自宅不動産の抵当(根保証)を入れているケースを
多くみますが、自宅については、昨年からの
経営者保証のガイドラインにより、
「華美ない自宅」については、引続き住み続けることが
可能になるケースもちらほらでてきています。

 

銀行保全相当額の内入れでの担保抹消や、家賃相当の
継続返済を続ければ認めてくれるというケースも出てきてます。

 

自宅は確保したいという思いがあれば、
金融機関へは自宅には引続き住みたい旨を主張し、
やけにならず粘り強く交渉してください。

 

残された社員さんや協力者に対して

 

最大限の便宜を図る必要があります。
お金が使えなくても出来ることはあるはずです。

 

経営者に同業者の知人がいれば、
社員さんの再就職の斡旋ができるでしょうから
できる限りはやってあげて欲しいと思います。

 

また、仮に退職金が出せなくても、
未払い給与が出ないように早めの告知が必要となります。

 

個人の外注先や協力業者さんについても、
同様の斡旋は可能な限りしてあげてください。

 

告知は社員規模が小さく、社員が数名の状況であれば、
経営者から告知すれば一番よいのでしょうが、組織規模が
大きくなってくると、情報が流出する可能性があるので、
一般債権者との調整(交渉)に支障がでるのであれば、
タイミングはかなり重要な問題となります。

 

法的整理であれば、ギリギリまで秘匿、そうでなければ、
口の堅い幹部まで根回し、というのが一般的なイメージですが、
会社組織や周りの状況次第ですので、
これまた専門家の相談をうけることをオススメします。
もちろん弊社でも結構です。

 

ここで私が一番申し上げたいことは、

 

「経営者も人間であり、地域で生きていく以上は、社会的な信認を壊すべきでない。」

 

ということを申し上げたいと思います。

 

税金や社会保険の滞納がある場合

 

私的整理であれば、税金、社会保険の滞納について、
減額交渉はかなり難しくなります。

 

税、社会保険は、差押が裁判抜きで一発で可能ですので、
差押される資産があれば、かなりのリスク要因がでてきます。

 

銀行や取引先から自宅の所有を許され、
抵当権を解除してもらった場合でも、
税務署、社保庁からの差押の可能性が排除できません。

 

また、社会保険の延滞が5千万を越えてくると、
社保庁でなく、国税局が徴収対応を行ってくるケースが
ちらほら出てきました。

 

税金、社会保険の対応についてはかなりネックになってきています。

 

注意して頂きたいことは、当局側になにも検討しない
状況でいきなり相談に行かないで下さい。
廃業相談に行ってその後不動産を仮差押されたケースもあるようです。

 

とくに税務署や社会保険事務所の担当者次第で
対応が大きく変わることがありますので、
相手の人となりの情報が大変重要となります。

 

延滞交渉については、税理士さん、社労士さんに
ご相談いただくしかないのですが、
この分野で詳しい方が少ないのが現状ですので、
この対応に詳しい先生を探して対応を相談して頂きたいと思います。

 

相続の問題

 

残った借入の債務はもちろん、連帯保証も相続の対象と
なるため、経営者様のご年齢にもよりますが
長期分割返済を行うに当たって
相続対象者には、相続を受けるかどうか、法律的な
レクチャーをうけて頂くことと意思決定をしていく必要があります。

 

法律的に許された手法は何か?を弁護士さん交えて、
ちゃんとした形で検討会をしておくことをオススメします。

事業を残す場合

 

廃業判断をした場合、社員さんでまとまって事業を引続き行っていくことがあります。

 

要は、残る社員さんたちで会社を別に作って、
取引先を引き継ぎ、同じ事業を継続していくケースです。

 

ここで気をつけていただきたいことは、

 

「自分が価値がないからといって簡単に会社の資産を
 処分するのは銀行などから文句を言われる可能性がある。」

 

ということです。

 

法律的に別法人ではありますが、価値が乏しいと
思うからと言って、換金可能な財産(産業機械、独占販売権など)を無償で譲ったりした場合、
金融機関から詐害行為といわれる可能性があります。

 

また、いわゆるM&Aとして、この別法人へ事業を
包括譲渡をする場合、金融機関などから、譲渡価格や
譲渡資産の価値について「財産を隠蔽したのでは?」と
詐害行為といわれないよう、事前協議を銀行とすべきケースもあります。

 

経営者自身はリタイヤというケースで、未払債務が残るケースは、
問題になりやすいので、事業承継については、この分野に詳しい
弁護士の先生、もしくは弊社にでもご相談いただければと思います。

 

今回はここまでです。
M&A(事業売却)について、次回お話したいと思います。

 

執筆:嶽洋次郎

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