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株式の分散は避けたい【経営者がリタイヤするために考える事】

2016年3月28日号 「銀行とのつきあい方」

 

会社の引継ぎに必須である、”株式の譲渡”に
ついていくつか注意をお伝えしたいと思います。
株式の引継ぎについては、現経営者が株式の全部もしくは
過半数を有している状態から、
後継者へ株式の譲渡をする前提でお話をさせて頂きます。

 

上場会社については説明を省略しております。

 

株式の譲渡について思い浮かぶのは、
一般的に税金の問題が多いのですが、
持ち株数によっては思わぬ落とし穴があります。
タイトルにもあげていますが、株式の分散承継をすると後で
トラブルの元となることがあるので気をつけてもらいたいと思います。

 

税の問題 ~無償譲渡~

 

株式承継において、もっとも問題とされている部分は
やはり税負担の問題です。

 

先代経営者から、新経営者へ株式を無償譲渡するのであれば、
当然に新経営者に贈与税の負担が発生します。

 

贈与税の削減については、
顧問の税理士さんに聞いて頂きたいのですが、
承継期間が10年以上あるときに有効な手法としてよく聞くのは
連年贈与のスキームで少額の贈与税を払って
証拠作成するなどの方法があるようです。

 

最近では、経済産業省から認定をうけ、
社員を削減しないなど一定の要件がありますが、
贈与税を棚上げするスキームが政府より
中小企業の事業承継対策としてでています。
自己資本が数千万と大きく、株式の移転で
税金負担が大きいケースなどは検討してみてはいかがでしょうか?

 

(参考)非上場有価証券についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例

 

税の問題 ~有償譲渡~

 

先代から後継者へ株式を譲渡する場合において、
株式を売却する形で引き継ぐ場合、いくらで株式を売却するか?
ということが問題となります。
よくあるケースが経営者の親族外の方に会社を引き継ぐ場合で出てきます。

税の面からいうと、譲渡価格は”時価”ということになりますが、
“時価”の定義としてよく採用される評価方法は

 

  1. 相続税評価額による計算方法
  2. 簿価の純資産をベースとし、資産時価差額を考慮した計算方法
  3. 類似企業での同様の売買例を参考とした計算方法
  4. キャッシュフロー計画や利益計画をベースとした収益方式による計算方法

などがあります。
時価譲渡での客観性を保つためには、
公認会計士さんへ株式の評価をお願いするのがよいでしょう。
時価として評価されれば、
税負担は売り手で譲渡所得税の計算が必要となってきます。
もちろん赤字売却なら税負担は生じません。
具体的な税の計算は顧問税理士さんへご相談ください。

 

自己株の取得

 

平成18年からの会社法上において、
自己株式を取得することは可能であります。

 

創業を2名の代表者がそれぞれ2分の1を出資し、
30年たって1名がリタイヤし、株式を会社で取得するような
ケースがある会社もあろうかと思います。

 

注意してほしいのが、

 

①財務制限に抵触しないこと

→償還原資は資本金はダメ。利益剰余金で無いとダメ。かつ純資産が300万円以下になってはダメ。(債権者保護)

 

②株主総会による手順をただしく踏まえていること

→株主総会の特別決議(過半数出席・3分の2以上賛成)または、自己株式自体の議決権は権限が凍結されています(議決権なし)

 

③1年以上保有したらダメ

→消却するか、後継者が買い取ってください。
 後継者が買い取る前提でとりあえず会社で自己株取得、後継者が買い取り資金を準備できずそのまま放置。というのはダメですので気をつけてください。

 

持分の持分と権利

 

今回のメルマガで一番私が主張したいことは、
「株式は分散しないでほしい」ということであります。

 

同族会社の中では、相続により先代もしくは
先代以前の株主から会社経営に関与しない外部の方に
株式の一部が渡っているケースがあります。
社歴が長く、経営者が3代以上代替わりしているケースは
わりとある話であります。

 

代替わりがあったときに、はたして全ての株主が、
新しい後継者を100%すべて応援してあげるものでしょうか?
仲が悪い親族間で株式を持ち合う関係だとどうでしょうか?
以外に笑えないケースであります。

 

最悪のケースでは、後継者が会社支配が可能な株式(51%以上)を
持たない場合、会社がのっとられる可能性があるからです。
また、支配権はもてなくても、
議決権の一部しかない株主にも一定の権利が付与されます。

 

たとえば、少数株主の権利として3%以上の持分があれば、

 

・帳簿閲覧請求権があります

・株主総会の開催要求権があります

・取締役の解任要求権があります

 

といった具合です。
後継者と意見が合わない第三者が3%以上の株式を取得した場合、
後継者にとって意にそぐわない会社運営を
強いられる可能性があります。

 

一般的に、株主の譲渡制限を定款で設けているケースでは、
悪意のある第三者に無条件に株式が渡らないようにすることが
できますが、相続等による権利を制限された場合、
株式の買取を要求され、資金的な負担が急に
発生することもあります。

 

株式を分散して相続、贈与などするときは、
後に頭痛の種を残すことになりかねません。

 

買戻しの苦労

 

社歴が長い会社では、経営者が株式の51%以上を
掌握できていないケースも多数見かけます。
会長、新社長、新社長の兄弟で100%だけども、
新社長は40%しか持っていない。というケースは多いものです。

 

51%の株を集める為に、先代の兄弟や遠い親戚筋にある株式を
買取をお願いしようとしたとしても、
株式名簿にある方がすでにお亡くなりになられて、
さらに相続を重ねている場合などで、
株式の所有すべき相続権を持った方と出会えない。
というケースもありえます。

 

もうこうなったら株式を買い戻すことが難しくなります。
株式を集めるための調査は本当に大変です。
代襲相続になっているケースで
お孫さんが外国に済んでいる場合などは、
外国まで行く羽目になります。(涙)

 

本当に最悪のケースでは、株主総会の特別決議が出来ない。
といったことも出てきます。
特別決議が出来ないと、合併や株式名義の変更の決議ができない
ということになってきます。

 

といったことを後世の経営者に悩みを残さないよう、
株式の分散は避けるべきです。
登記もほったらかしにせず、タイムリーに行いましょう。

 

執筆:嶽 洋次郎

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