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中小企業等経営強化法は要件を満たす企業には金融支援、各種支援を受けることが組み込まれてくる

メルマガや弊社セミナーにおいて、特に私が担当してきたものは今年~来年にかけて、これまで中小企業が選別されてきたものの集約として、新たな制度が生まれることを予告してきました。その前提は

 

・本業での利益が出せること
・債務超過が解消できる絵が描けること
・相続・承継が可能であること

 

だったのですが、とうとう新しい評価体系が法案の形で発表されはじめましたので、今回より折りに触れてご紹介してまいります。

「中小企業等経営強化法」案の位置付け

最悪期を脱した、と言われてはいるものの、中小企業の置かれている現状は楽になったとは言えません。中小企業に限った話で言えば、

 

・設備投資はリーマンショック直前の水準にすら戻っていない
・倒産件数が減少しても、廃業件数がそれ以上に増加している
・労働力の確保は今後とも困難になる一方
・後継者がいない中小企業が半数を超えている
・過去の負債の処理が困難な企業が多い

 

等、増える課題はあっても解決する課題に乏しいのが現実。しかし、これから検討が本格化する「中小企業等経営強化法」案はこれまでよりも随分と踏み込んで、要件を満たす中小企業には金融支援を含む、各種支援を受けることが組み込まれてくる計画です。

新たな財務要件は「生産性」

内容が広範で、かつこれまでと異なるものも多く、詳細の説明は今後随時ということになりますが、今回一点だけ、概略を先に採りあげておきます。これまで財務要件として必要とされてきたものに加えて「生産性」にスポットライトがあたることになっている、という点です。特に、既に指標が示されており

 

「労働生産性」 = 営業利益 / 従業員数

「営業運転資本回転率」= 所要運転資金 / 月商 

※所要運転資金 = 売上債権+棚卸資産-買入債務

 

は、これまでの中小企業向け財務分析ではあまり着目されてこなかったものですが、今回経済産業省が指標として明記しており、今後は銀行もこれらの改善を重要な評価項目としてくることでしょう。

 

労働生産性は、社員(従業員)一人あたりの営業利益であり、社員の生産性を計るものですし、営業運転資本回転率は、貸借対照表上で示される事業上の資産を効率的に動かしているかどうかを計るもの。

 

これらに対して、生産性の改善努力をしてきた企業が救済の手を差し伸べられることになります。

正しい財務数値の提出が、より重要になる

上記指標は、「粉飾している企業は、悪化する」傾向にあることにも注意が必要です。売上・利益をかさ上げしようとした場合、大半は売上債権(売掛金+受取手形)や棚卸資産が増加しますから、上記の営業運転資本回転期間は悪化することになります。

 

中小企業等経営強化法は、各業種の主務大臣の認定を得て金融支援のほか、固定資産税の減免措置を含む優遇措置を得られるものとなっております。今までの取組みが十分であるなら、それを証明できるように不十分であるなら、直ぐに取組みをはじめるようにされてください。

 

なにしろ、決算書は過去の累積を表示するものであって、「これからやります」というものは出てこないのですから。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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