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メガバンクと、地方銀行の役割は全然違うものに

金融庁が銀行(や信金、信組)に求めるものが銀行自らの財務改善(特に自己資本比率の改善や、不良債権の処理)から、ここ2、3年ほどは収益力に移っていますが、今度は収益力に加えて「地域経済・企業に対する貢献」という、単純な数字では計りかねる要因が追加されています。

 

中小企業には

 

・本業による実質の営業利益の増加
・自助努力で改善しやすい生産性の改善

 

を求める一方、銀行にも金融再々編をちらつかせながら求める業務改善は、

 

1.銀行を「メガバンク」「地域金融機関」に大別した上で
2.それぞれに対する要求が、全く違うものになる

 

ことを理解しておく必要があります。

中小企業向け融資の主役は地域金融機関に戻る

地域金融機関、とは、およそ地方銀行・信用金庫・信用組合という認識で構いません。メガバンクと政府系金融機関を除いたものともいえます。

 

結論を申し上げてしまえば本メルマガでも採り上げられる中小企業等経営力強化法も今後拡張されるだろう特別清算や経営者保証に関するガイドラインの運用も中小企業を選別・救済しようとする法制度の大半は

 

地域金融機関が中小企業を、ひいては地域の経済を引っ張ることを推進する

 

ことを前提として立案され、運用されつつあります。金融検査マニュアルに依存し過ぎて自ら考えることができなくなっている地域金融機関に対して、財務上の制限を大きく緩和する代わりに、お金の出し手としての本道として「自らの事業地域の経済・企業に貢献する」ことを求めているのです。

もっと企業をみろ、という大号令

債務償還年数が、とか債務超過の解消年数が、とか財務指標の基準でのみ判断するのではなく、

 

本来的・根本的に、それぞれの企業が地域経済に対してもつ価値・意味を判断して支援しろ、という金融庁の新たな指導においては、金融検査マニュアルに基づいて融資先企業を評価し格付けに合わせて貸倒引当を積み立てる必要すらありませんから理論上は、例えば債務者区分(格付け)としては、破たん懸念先であったとしても地域金融機関が自ら貸倒引当を積まずに融資を行うことすら可能(金融庁はそれ自体に文句を言わない)なわけです。

 

創意工夫により、「企業の将来を信じることができれば」そこに新規融資を行うことができます。

 

前回お伝えした通り、特に地域金融機関で、かつメインバンクとなっている銀行は、その企業に対して主導的に取組みを行うこと、またその成果を要求するわけですが、成果や結果は公表することも考慮されていると弊社の調査上では判断されており、これから全ての地域金融機関は、地域経済への貢献、という取組みを監視されることになります。

 

また、政府系金融機関は民間の金融機関が明快に支援する企業に対して追従することが既に内部的に決定されており、横やりを入れてくることは個別の事情がない限りはないと思われます。

メガバンクだけは、対応が異なることに注意

一方、メガバンクはというと…、これら取組みと一線を画すことを、金融庁と既に「握っている」ようです。メガバンクは、国家的企業として「十分な収益を出す」ことを求められており、逆に言えば中小企業向け融資についてはあまり考慮されていません。十分な資本が確保されているため、格別に中小企業に冷たくなるとも思われませんが、良くも悪くも再生途上の中小企業に対しては様子見をしつつ、ダメと判断されたところには最終判断を迫ってくる、その場合には他の取引金融機関の動向は気にしない、という対応をしてくることでしょう。

 

今後は、どこも銀行(信金・信組)は同じ、というわけではなくなります。銀行対応を行う皆さまにおかれては、これらの状況を踏まえてどのように銀行とつきあい、交渉を行っていくのか検討・対応をはじめていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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