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地域金融機関(地方銀行)は「地元への回帰」が要求される

ここ10年ほどでしょうか、地銀・信金・信組(概ね、総称として「地域金融機関」と呼ばれます)が、元々の自身の商圏を超えて出店、融資を伸ばそうとする動きが加速してきました。

 

地域金融機関側の思惑としては、「金融庁からはもっと融資をしろ、とお尻を叩かれてももう地元では融資する先がないから、より経済が活発な地域に手を伸ばして…」といったところです。

地域金融機関といえば、その名の通り地域密着型であることが存在意義ですから、企業側からすれば「そんなことより、私たちの方の支援は?」と思うのが当たり前。この状況に、金融庁は本気でメスを入れようとしています。

金融庁は、地域金融機関の「出稼ぎ」を許さない方針

金融庁は、金融検査マニュアルに変わって50項目以上のベンチマークから選択式で地域金融機関自身に目標項目・目標数値を設定させた上で、その取組みと成果をもって地域金融機関を評価・指導する仕組みを採用しておりますが、単にベンチマーク項目一つ一つの、表面上の達成を求めているだけではありません。

 

その根底にあるものはもっと企業や経営者の実態を見て、もっと地元の経済や企業に貢献しなさいという、金融機関として存在する本道、融資の根本に関わる問いです。

 

となれば、「出稼ぎ」によって、外でお金を稼いで融資額・収益をいくら増やしたところで、金融庁がそれをよくやった、と評価するわけがないのです。

優れた地域金融機関=地元の経済のプランナー?

地元とともに…、という言葉を掲げる地域金融機関は数あれど、金融庁が地域金融機関に求めるものは、ある意味それをはるかに超えていることになります。

 

地域金融機関は、あくまで地元において融資を行い、収益を生み出せばいい

 

地元に融資する先がない、というなら融資する先・事業・経済を生み出せばいい

 

現在の審査規定では融資ができない、というなら審査規定を自ら変え、企業をよく見て個別に融資を行えばいい(そのために、金融検査マニュアルも撤廃する)これが、金融庁からの要求です。

 

確かに、コンサル現場でも少しずつ反映されていることを感じるようになりました。結局いくらお金返せるの?という質問ばかりだった融資担当者が、改めて御社の事業の内容を聞きたい、という場面が増えています。

正しい変化、だからこそ不利益のないように注意

気をつけなくてはならないのは、企業が地元金融機関からの融資が受けづらいために、出稼ぎに来た金融機関からの借入が膨らんでしまっていたり、出稼ぎ金融機関からの融資がメインになっている企業です。

 

大手以外の地域金融機関は、単体での融資総額が限られており、何かを大きく広げようとすれば、合わせて何かを縮小する必要があります。

 

これからのトレンドから言えば、真っ先に上がってくるのは「越境営業している支店と、その融資先」。

 

ちょっとやそっとでは離れないような強固な関係をつくる、少なくとも単独メインは止め、最悪無くなっても大丈夫な状態をつくる、等の対応を考慮しつつ、改めて地元の金融機関との関係性を考えるのもよいでしょう。

 

原理原則としては正しい変化なだけに、そのせいで不利益を被らないように、お気をつけいただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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