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親族内承継は意地の張り合い(現経営者からみた場合)

日本の中小企業の半数以上は後継者不在、といいます。対応として、M&Aを利用した第三者への承継により企業数としては減少することにはなるけれど、事業・雇用としては維持を図る、というアプローチですからそこには意義も価値もあります。弊社も、昨年社名を変えてまで日本経済・中小企業の再生や発展に取り組む、大きな柱としてM&Aを捉えております。

 

とはいえ、半数近くの中小企業には、後継者がいるとも言えます。中小企業の場合、最も多い後継者は、現経営者の親族です。

 

個人の相続と上手くリンクすれば、資産を残存させることが有利になることなど、相応にメリットはありますが実務上は親族だからこそ、より感情的ないさかいが、より深く

 

  • 互いに大事な話を切り出せず、先送り
  • 都合の悪い話は責められる元なので、なおさら放置
  • 後で大きな問題になる

 

ことが、発生します。今回は、親子間での承継とみたときに親側(現経営者)側から、現場で感じる本音を挙げておきます。

親側(現経営者)の不満

  • 自分が失敗し、後で後悔したことを息子にはさせないために指導しようとしても聞いてくれない
  • 親父のやり方では、これからはやってはいけないと反論される
  • 経営者としての人付き合いに、積極的に関与しようとしない。パソコンと向き合ってばかりでは、社内でも社外でもコミュニケーションとして不足してしまう…

 

⇒だから、まだ息子には実権を渡せない

 

という後継者への不満をよく伺います。なるほど、それは問題です。それで、専門家やコンサルが後継者教育をしましょう、となるのですが…、まず、解決できないんです。間違ったことではないのです。でも、根源でもありません。だって、本音は違うところにあるのですから。

現経営者の胸のうち

語弊を怖れずに申し上げれば、よくよくインタビューした結果、現経営者の本音は

 

  • 自らが生涯をかけて経営してきた取組みや会社が、息子(親族)から否定されかねないのがイヤ例えば、銀行からの評価が良くない状態で承継してしまうと、自分も息子も、恥をかいてしまうのではと心配になってしまう
  • 承継(引退)してしまうと、会社という自分の半身がなくなってしまう。経済的なバックボーンもなくなり孫にお小遣いあげたり、一緒に遊びにいったりいけなくなったりしないか? 正直、寂しい

 

⇒だったら、自分が動けるうちは、現状維持がいいのでは
⇒だったら、もう少し様子をみても…

 

となって、実のところ現経営者自身が、意識的・無意識的にかかわらず、結果的に承継にストップをかけているのです。…結構、よくありますよ?

 

でも、勘違いいただきたくないのは、こう考えること自体は何も悪いことではない、ということです。肝心なことは、承継である以上は、現経営者の立場や生活、名誉を守りつつ、後継者や関係者の将来を確保することにあります。

「法の上での引退」と「実務上での自由な選択」

私からはよく、承継するからといって、全てを手放すというわけでもない、と申し上げています。引退するのは、「法の上での責任」。

 

特に銀行とのつきあい方、という側面で言えば承継、というのは連帯保証人を移行することが最大の要点です。

 

ある程度の年齢になれば保証人としての価値が下がってしまうことはやむを得ないのですから、連帯保証は外れてください、でも実務上は、現場に出ても若手の指導にあたってもかつては諦めたことに再度チャレンジしてもさっぱりと引退しても構わないのです。そこは、然るべき対応が可能なのです。

 

銀行対応、という意味を外せば代表取締役、株主、社長(という肩書)等も加わりますがこの意味では同じことです。より自由な立場で、自身の立場や生活を守りながら「法律上の立場」のみ引いていただく、そう考えていただければ、よいと考えます。

 

結果、その方が後継者や関係者、ひいては銀行に対しても問題が起こりません。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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