借りすぎ
8年前の保証協会の金融安定化特別保証制度、覚えていますか?
保証協会に保証を申込めば、ほとんどの場合、5,000万円が特別枠として、保証付で融資を受けられた、そのような制度があったのです。
制度開始当日は、確か10月1日だったと思いますが、金融機関は「よーいっ、どん」と、いっせいに顧客のところに、この制度の情報提供のために訪問したものです。
金融機関としては、リスク0の保証付融資が、特別枠5,000万円として、簡単に融資をすることができたのです。企業にこの制度を使って借りてもらえれば、あとは金融機関に利息収入がどんどん入ってくるのです。
顧客のところにいくと、
「さっき、別の銀行がこの話をもってきたよ。」
というような場面がよくありました。
顧客としては、この制度はどこの金融機関を通じて申込みしても、同じです。とすると、先にこの制度の情報を持ってきた金融機関に、申込みするのが筋ということになります。
このため、われ先にと、金融機関同士の競争が行われました。
それから数年間して、ほとんど審査なしの制度だったこともあり、この制度による焦げ付きが、多く発生しました。
無理な融資がたたると、このような、返済にいきづまる企業が続出してしまうのです。
最近の例でいえば、都市銀行のビジネスローンです。
ここ数年は、ビジネスローンの競争でした。
決算書をコンピュータに入力し、一定の点数が出れば、ビジネスローンは実行されました。
複数の都市銀行でビジネスローンを借りている企業もあります。
以前は出なかった融資が、簡単に出るようになっていたのです。
その結果、最近は、ビジネスローンの返済ができなくなり、いきづまっている企業が多く出ています。
無理な貸し出し競争は、必ず、返済できない企業を多く生み出すことになります。
逆にいうと、銀行がビジネスローンなど、審査が通りやすい融資商品を売り込んできても、
・本当に必要な資金なのか。
・返済の見通しは立つのか。
など、じっくり検討することが必要となります。
借りすぎて、返済負担が重くなり、それで会社経営がいきづまってしまったら、なんにもなりません。