保証付融資が出なくなる?
12月22日の新聞で、中小企業向けの信用保証制度が縮小される、という記事が掲載されていました。
平成19年10月以降の契約分から、信用保証協会の保証付融資でも、金融機関が損失の20%を負担する、というものです。
信用保証協会で保証を受けている中小企業は、平成17年度末で165万社、全国の中小企業の4割弱となります。
現状では、貸し倒れとなっても信用保証協会が代わりに金融機関に返済する(これを代位弁済といいます)ので、信用保証協会の保証付融資は、金融機関に損失は発生しません。
そのため、信用保証協会の保証がついたら、金融機関はほとんど無審査で、融資を行っていました。
私が銀行員時代にも、信用保証協会の保証の承諾が得られて、融資を行わなかったケースは皆無でした。
ここで一つ注意していただきたいのですが、信用保証協会の保証がつけられても、あくまで融資の貸主は金融機関になります。信用保証協会が貸主なのではありません。
しかし、信用保証協会の保証がついても金融機関が損失の20%を負担することになるため、信用保証協会の保証がついても金融機関は融資審査をしっかり行うことになります。
たかが20%、と思われるかもしれませんが、金融機関の現場では、貸し倒れが発生したら審査の経緯が検証されますし、支店レベルで適切な審査を行っていたかが調査されますし、場合によっては審査当事者の処分など、いろいろ大変なんです。
そのため、信用保証協会の保証がついても、審査はプロパー(保証付融資でないものは全てプロパーと言います)融資と同じぐらい、慎重になるでしょう。
そうすると、保証付融資とプロパー融資は、審査の厳しさは同じようになることが予想されます。
今のうちに企業がとっておくべき対策は、複数の金融機関とつきあうようにして審査が通らないリスクを分散させておくことが考えられます。
それと、今までにも増して、財務体質を良くしておくことが求められます。
平成10年には、中小企業金融安定化特別保証制度が開始され、保証審査は、はっきり言って「ざる」でした。
多くの企業が、上限の5,000万円の保証を受けられ、融資を受けられました。
金融機関としては、企業にはじめに提案したところが申込んでもらえるという感じだったので、10月1日スタートを皮切りに、とにかく信用保証申込書を多くの企業から集めることを本部から指示されていました。
9時30分にライバルの金融機関がある企業に訪問して保証申込書をもらい、私は10時にその企業を訪問し、タッチの差で保証申込書をもらいそこねて、くやしい思いをした、このようなこともありました。
金融機関としては、保証付融資はリスク0で利息がもらえるので、とてもおいしいのです。
しかしこれからは、保証付融資でも慎重に行われることになります。
中小企業としては、その時に備えて今からできる対策をやっておくしかありません。