金融情勢がどうとか・・・
私は最近、講演を行う機会が多くなっています。今月は3回、講演があります。
その講演の中で、私が楽しみにしている、しかし一方、内心ビクビクしているのが、Q&Aコーナーです。
講演はどうしても一方通行となりがちですが、Q&Aコーナーは、聴講者の方がどんなことを知りたがっているか、どんなことを考えているかを聞くことができるので、どんな難しい質問がとんでくるか内心ビクビクしながらも、私は受け答えをしています。
その中で、時々、次のような質問を投げかけられることがあります。
「最近の金融情勢はどうですか。」
「金融情勢がどうと言われても・・・」私はそういうこと、あまり気にしたことありません。
金融情勢がどうであろうと、経済がどうであろうと、銀行から融資を受けられる企業は受けられる、受けられない企業は受けられない、というのが実際のところではないでしょうか。
そりゃあ、多少は金融情勢等によって、融資が受けやすくなったり受けにくくなったりすることもあるでしょう。半年前にはじまった緊急保証制度で、多くの企業が、ふだんはなかなか受けられない融資が受けられたのではないでしょうか。
しかし、そのようなことは例外的なことで、金融情勢がどうであろうと、融資を受けられる企業は受けられ、融資を受けられない企業は受けられないのです。
だから「金融情勢はどうですか。」という質問を投げかけられると、「そういう質問は経済評論家に聞いてください。」と思わず言いそうになるのをぐっとこらえて、「金融情勢がどうであっても、融資を受けられる企業は受けられ、受けられない企業は受けられない。要は、みなさんの会社が銀行が融資をしやすい企業になっていくのが重要ですよ。」と答えます。
一方、私たちが、資金繰りが厳しい多くの中小企業経営者から相談をいただく中で、「最近の金融情勢が悪いから融資がなかなか受けられないので、困りました・・・」ということを言われることが多くあります。
しかしその企業の財務状況や、融資状況を見ると、「この企業にこれだけ多くの融資を出しているのか。」というぐらい融資を出されていることが大半です。
経営者から見ると「貸し渋り」されているように見えても、銀行から見ると「融資の出しすぎ」というようになっていることが本当に多いのです。
これだけ融資が出ていると、それがましてや粉飾決算によりお化粧された決算書が功を奏して(?)融資が多く出ていると、経営者としても安心してしまうよな、そして経営者は赤字を黒字にする策を怠ってしまうよな、と私は思ってしまいます。
銀行は粉飾決算を見抜けなくて多くの融資を出しているにもかかわらず、さすがに銀行も限界がきて融資を出さなくなると、そんな経営者が「貸し渋りだ!」と騒いで、「金融情勢が悪いから!」と、金融情勢に責任転嫁してしまいがちなのではないでしょうか。
私は銀行の肩を持ちませんが、一方粉飾決算をして融資を受けまくる経営者の肩はもっと持ちません。私どもが取り組むことは、そのような経営者に180度変わってもらい、その企業に元気になってもらうこと、それだけです。経営者に同情するわけではありません。同情する時間があるなら、その会社の再生のためにやるべきことをとことん取り組む、そのことに時間を費やす方がよっぽど有意義です。