モラトリアム法案(中小企業金融円滑化法案)に期待してますか?
私はあまり時事ネタを出すのは好きではないのですが、最近あまりにも多く聞かれる、モラトリアム法案について、考えてみました。
モラトリアム法案については、以下がポイントです。
・中小企業に対し、改善または再生の可能性等を勘案しつつ、できる限り貸付条件の変更などを行うよう努める
・金融機関は6カ月を超えない一定期間ごとに対応措置を公表し、行政庁に報告しなければならない。
・政府は信用保証協会が行う中小企業者に関する信用補完事業に係る財政上の措置を講ずるよう努める。
3つ目の、信用補完事業については、返済の猶予を行うにおいて、信用保証協会の保証をつける、ということなのでしょう。
資金繰りが厳しい状況の中小企業経営者の方、まさか、この法案がとおるのを待ち望んで、がんばって返済していないでしょうね?
モラトリアム法案がとおることにより、返済猶予、つまりリスケジュールができるのではと、この法案が施行されるのを待っている方。
がんばって返済を続けているから、あなたの会社の資金繰りは相当厳しくなっているのではないでしょうか。
そもそも、リスケジュールは、この法案があろうとなかろうと、企業から銀行に対し交渉し、実行してもらうことができるものです。
リスケジュールを考えている企業は、現状、銀行から融資が受けられていない企業でしょう。
そのような企業は、一刻も早く、銀行とリスケジュール交渉を行い返済を猶予してもらうべきです、こんな法案がとおるのを待っていては、早晩、資金繰り破綻することでしょう。
またモラトリアム法案が施行され、銀行にリスケジュールを依頼したとしても、保証協会の保証がリスケジュールの条件のようです。
しかし、保証協会の保証にも当然、審査があります。
将来、返済が再開できると期待させるような、よほどしっかりとした経営改善計画が書け、銀行と保証協会を納得させた企業でなければ保証はとおらないということが予想されます。
1年前の緊急保証制度を思いだしてみてください。融資を申し込んだ企業が、全て、保証協会の審査がとおったでしょうか。
しかも今回は、返済猶予する融資に後付けで保証を行う、という形になります。保証協会が、保証に慎重になるのは当然でしょう。
とすると、この法案の実効性はどうなのか。
つまり、この法案が役に立たない企業が大半では、と予想されるのです。
こんな法案に頼らなくても、銀行に経営改善計画書をもってリスケジュール交渉をし、リスケジュールをすることができるのに、こんな法案、意味あるの?というのが私の感想です。
つらいのは、この法案に期待して、今、がんばって返済を続けている企業です。
この法案の話題が出て3カ月ぐらいになりますが、その間、がんばって返済し、どれだけの現金が出ていったのでしょうか。
その現金が手元にあれば、どれだけ資金繰りが楽であったのでしょうか。
この法案を待たないでも、銀行が融資をしてくれなくなれば、すぐにても銀行とリスケジュール交渉を行うべきだったのです。
またこの法案がとおるのを見越し、融資してすぐに返済猶予を申込まれたらたまらんと、一部金融機関が新規融資に慎重になっている現象も起きております。
モラトリアム法案のおかげで、貸し渋りされたら、中小企業もたまったものではないですね。
とにかく、この法案のことは気にせずに、資金繰りが厳しい企業はすぐに対策に動くべきなのです。
この法案に期待していると、手遅れになりかねませんよ。