5年後の自社の状態が言えない
人・組織を良い状態にするための一番の要因は、社長自身の考え方だと思っています。
人は未来に希望を持って生きる生物です。だからこそ、明るい未来が欲しいのです。
私 :「社長、5年後の我社はどのような会社になっていますかね?」
社長:「明日のことが分からないのに、5年後のことなど、分かるはずがないだ
ろう。
考えても無駄だよ。それより、明日のあの件、どうしようか。」
目の前のことを一切考えないで、未来を見ようとは言わない。
それは、たわごとになるからである。しかし、経営者たるものは、目の前を乗
り切る力と未来を描く力の両方を持つべきである。
例えば、山登りを考えて欲しい。先ず、山登りをしようと思う人しか、山登り
には行かない。このことは実は非常に重要なことである。なんとなくでは、
結果はついてこないのである。
次に、山登りと言っても、どの山に登るのかによって準備が異なる。
富士山なのか、それとも近所の裏山なのか。近所の裏山なら、朝行こうと思っ
て、昼から気楽に行けるかも知れない。しかし、富士山となれば、そうはいか
ない。ふもとまで行くにも距離があるところに住んでいるなら、時間もお金も
かかる。また、富士山のふもと近くに来たとしても、すぐに手ぶらで登ること
はできない。また、その人の体力などによっても異なる。つまり、事前準備が
必要であり、そのための時間、その準備を遂行する行動計画が必要になる。
一言に山登りと言っても登る山が異なるだけで、これから行う準備が全く違い、
当然、その結果は異なるはずである。
上手くいっている会社は、その結果を得るために準備をし、実行しているので
あり、決して偶然手に入れたものではない。はたしてあなたの会社は、高い目
標とその準備、そして行動力、継続力、振り返りをしているだろうか。
これが世間でよく言われるPDCAである。
このように書くと、今の世の中の状況下で未来を予測することは不可能だと言
われるかも知れない。確かに100%当たる未来予測は、不可能である。
私が一番伝えたいことは、
「5年後に我社はこんなことをしていたい」
と言う気持ちを持ち、その実現に向けて全社員一丸となって努力を惜しまずに
邁進して欲しいということである。
また、未来を予測できないからこそ、自分で未来を描くのである。そこに勇気
と希望が見えてくるはずである。
中期経営計画は、5年と言われている。社内や社外に対して数字の羅列も必要
であるが、その大前提として、どうしたいのかがなければ数字は書けない。
だから、文書でどうしたいかという想いを書いて欲しい。そこから未来は必ず
開けるはずである。