採用面接に原点
私 :「社長は、常に経営理念を実践しておられ、素晴らしいですね。」
社長:「そうだな。それが創業の原点だからね。忘れることはないよ。」
私 :「ところで、社員の方は、社長のように、この会社で働き始めた時の
気持ちを、常に持っていますかね。改めて、入社した時の想いを
社員に聞かれてはどうですか?」
社長:「なるほど」
社長に対して、経営理念を聞くのは、
この会社の創業時の想いを確認するためである。
そもそも何のために起業したのかなど、目的や目標がそこには詰まっている。
それでは社員の場合は、このような会社に対する想いは
どこから始まるのだろうか。
それは、採用面接からである。
採用面接の質問として、
「あなたは、なぜ当社を志望したのですか?」がある。
採用面接の場合は、どうにかして採用されたいという気持ちもあり、
多少は本心以外のことも言うかも知れないが、全くのウソではない返答をする
はずである。
また、ウソを言ってもいないと思われた人が、採用されているはずである。
例えばこのような返答である。
「御社のホームページを拝見しますと、これまで地域に根差して○○事業を展
開しておられ、更に今後は〇〇の分野への進出も考えているという所に魅力と
可能性を感じました。」
「御社の事業が、社会貢献に大きく寄与していることに惹かれました。」
と答えるでしょう。
これは、会社の方針と個人の希望・夢・願望が一致している状態である。
ところが今、同じ質問を同じ社員にした場合、
どのような回答が返ってくるだろうか。
昔と変わらず入社した時の想いを持っており、
仕事に打ち込んでいるなら問題はない。
しかし、あの時はそう思ったが、今は違うと思っているかも知れない。
例えば、「社長の考え方についていけない」とか、「会社はどこに向かってい
るのか分からない」とか、「給与が合わない」とか、「残業が多い」とか、
不平不満しか思わずに改善活動をしない社員なら、その人は会社に貢献してい
る人とは考えにくいし、その社員もこの会社に居ることが不幸である。
このように社員の想いが入社時と変わっていた場合、社長に問題があるのか、
社員に問題があるのか、もしくは両方に問題があるのかを、次に確認しなけれ
ばならない。
「どうして、そのように考えるようになったのか?何か出来事があったのか?」
と聞くことである。このような質問で、社員の考えや価値観を知ることが、全
社のベクトルを合わせることになり、経営を安定させるのである。
入社時は、会社の方針と個人の希望・夢・願望が一致しているはずである。