経費の精査
私 :「社長、車両費が昨年より多くなっていますが、なぜですか。」
社長:「営業活動に力を入れているからだろう。」
私 :「それにしても、売上は昨年より落ちていますよ。」
社長:「落ちているからこそ、力を入れないと。結果はこれからだよ。」
私 :「そうですね。それでは経費の中身は、確認されていないのですか。」
社長:「移動すれば、経費はかかるものだ。」
日常生活で、値札を見ないで買い物ができる人は、どのくらいいるだろうか。
ゼロとは思わないが、少ないと思う。
一般的に、日常生活で自分のお金を払って買い物をする場合、
所持金額と買おうとする物の金額は確認をする。
そして、買おうとする物の金額が、全く同じ物であれば、
1円でも安い方が良いに決まっている。当たり前の心理であろう。
しかし、これが会社の経費となると、話が真逆になる場合がある。
購入しようとする物が一体いくらするのかを確認せず、業務に必要だから買う
というのである。
また、A社よりもB社の方が、同じ物が安く購入できるかもしれないのに、
これまで使っている業者だからと見直しも行わず、購入している。
これで、経費の削減ができるだろうか。絶対にできない。
だから、利益が残らない。
ここからの脱却には、物を購入する場合、会社のお金ではなく自分のお金だと
思うことである。
ある会社の社員が、このようなことを言っていた。
ETCが搭載されていない営業車の場合、自分の財布からお金を
一時立て替えなければならないので、距離が近い時、高速道路に乗るのは止めて、
一般道を走るそうである。
これは、自分の財布から、今、お金が出るのが嫌だからである。
逆を言えば、ETCが搭載されていたら、高速道路に乗っていたかもしれない。
また、ある会社で車両費の割合が高かったので、数ヵ月分の高速道路の領収書を
調べたことがある。
その時、たった一区画の距離700円の阪神高速道路の領収書を数枚見つけた。
そこで、高速道路に乗った理由を社員に聞くと、楽だからと返答があった。
また、ある社員はボールペンが無くなり、直ぐに欲しかったという理由で、
150円のボールペンを買いに、700円の高速代を払って近くの店を訪れていた。
このように文章で見ると、”え”っと疑問を持つ方は多いと思うが、
これが実際の会社の経費の使い方である。
会社のお金も自分のお金も同じと思えば、確実に経費は削減できる。
しかし、それをチェックする機能も不可欠である。
そうしないと会社には、お金は残らない。
「2011年11月29日」執筆:野上智之