決断する~経営者の決断とは~
今、すぐにしなければならないことは十分に頭では理解していても、現実、行動しないことがあります。それは、未来が予測しづらいことが原因であると思いますが、未来を背負うのが社長業です。
私 :「社長、先週の会議で出たA案とB案ですが、どちらに決めましたか。」
社長:「いや、それがまだ決まっていないんだ。」
私 :「どうしてですか。」
社長:「あの会議のあと、急に忙しくなって、話し合う時間がないんだよ。」
私 :「それなら、今日、どちらかに決めましょう。」
社長:「そうしようか。」
経営とは様々なことを考え、日々改善しなければならないが、私が考える経営で大切なことは、“決めて実行する“である。
幹部や社員が会議に集まって、素晴らしい案を出し合ったとしても、その案を採用するか、しないかの最終決断は社長である。
A案とB案の2つの案があった時、どちらも素晴らしい案なので次回までにもう少し煮詰めようなどと言い、その場で決めなかったり、A案を採用したとしても、実行に移されなかったりすれば全く意味がない。
逆に言えば、それほどたいした事柄でなくても、社長がこれをしようと決め、日々実行すれば、会社は大きく変化する。
人は上手くいかなかった時、本当に素晴らしい言い訳が言える。そして、その言い訳を言いながら自分自身を正当化し、自分に納得する。
しかし、このようなことを繰り返し、自分自身は納得したかもしれないが、会社は全く良い方向に向かっていない。
そもそも、何のためにみんなで意見を交わし、具体的行動を考えたのか。それは、言い訳を言うためではなく、会社を良い方向に動かすことであったはずである。
つまり、当初の目的は果たせていない。
社長も人間であるので、迷うことがあって当然である。その迷いを振り払い、決めるためにはどうすれば良いのだろうか。
判断とは、過去のデータなどを参考にしてものごとを整理し、現在に対してあることを決めることであり、客観的な要素が多いように思う。
決断とは、これからおこる未来に対してあることを決め、行動が伴うことである。その行動は自らが先頭に立って行うので主観的な要素が多く、覚悟が必要である。覚悟とは決めたことが上手くいかなかった場合でも、それは自分の責任と思い、受け止める姿勢である。
社長が、この覚悟を強く抱けば、必ず会社は良い方向に動くはずである。画期的な大きな事柄を求めるより、小さなできることを実行すると決めていただきたい。判断と決断には大きな差がある。
執筆:野上智之