指示待ちからの脱却
社長が社員に対して要望することは大変多くあり、その要望の一つひとつを
解決すれば、確実に会社は成長するでしょう。そのためには、社員に望むことを、
社長が社員にきちんと伝えなければなりませんし、また教育も必要です。
どこまでできているかが、社長の要望どおりの社員が多くいるか、いないかの
分かれ道です。
私 :「社長、社員のレベルアップを図りたいとのことですが、
どのようなことを考えていらっしゃいますか。」
社長:「仕事のやり方というよりは、考え方になる。」
私 :「どういうことですか。」
社長:「何事においても指示待ちで、自らで考えない。」
私 :「自律して欲しいのですね。」
社長:「そうだ。自分で考えて行動して欲しいよ。」
自律とは、他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って
行動すること。自立とは、他からの支配や助力を受けずに存在すること。
そのように辞書には書いてある。この度の社長は、どちらのジリツになるのかと
考えるが、それはさておき、とにかく考え・行動する社員を望んでいる。
実は、このように望まれている社長は多い。特に良く聞く言葉が、
“指示待ち”である。社長の仕事は、未来を切り開くことであると言っても
過言ではない。
それゆえ、常に先を考え行動することが習慣になっている分、どうしても
その逆をされると目についてしまう。だから、社員の成長を求める時に、
この言葉が出てくる。
しかし、現実を見ると指示待ちの社員が殆どであり、それを改善することは
容易なことではない。また、職種によって、社員の状態も異なる。
例えば、言われたことだけを朝から晩まで間違いが無いように行う業種の場合は、
指示待ちの社員が多くなり、逆に指示待ちの社員のほうがその職種には向いている。
一方、常に提案をする職種の人は、指示待ちではない人が多くなる。
また、そうでなければその職種は務まらない。
そのように考えると、全ての職種の人に“指示待ち”からの脱却を求めていない
ことになる。
また、ある一定ライン以上の社員に、求めていることが多い。
そのある一定ラインは会社ごとに異なるが、実は、社長がそのある一定ライン
の人に“指示待ち”からの脱却をしようと、きちんと伝えていない。
具体的に言えば、ある部門で素晴らしい業績を残した社員に、その部門長を
任命したとき、その部門長になった人は、今までの仕事のやり方の延長線で
業務を行う。本来は、任命した際に、“指示待ち”から“提案型”に変えて
欲しいと明確に伝え、それが部門長の職務であると言わなければならないが、
そう言われて部門長になった人は多くない。
だから、社長が思うような自律した社員にならないのである。
今一度、自律して欲しい社員に対して、社長が望む仕事のやり方を伝えて欲しい。
執筆:野上智之