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承継と親子関係と債務超過

企業の社長の平均年齢は60歳を越えていると既に発表されており、今後、中小企業では承継についても問題になることは間違いありません。

 

  • 先細りが予想される日本経済で、どこまでお客さまを維持できるのか
  • 借入が膨らみ過ぎたまま、後継者に渡してよいのだろうか
  • 会社・事業を続けて欲しいが後継者がいない

 

と問題は山積みです。銀行取引だけでなく事業承継についての問題は随分と増えました。創業からここまでやってきた会社とお客さまをどうすれば次代に繋げていけるのかという悩みは企業の大小に関係ありません。

親からみて

先代、もしくはこれから承継を考える現職の方にとっては、

 

  • 息子に継がせたいが、これまで培ってきた伝統や歴史の大事さをなかなか理解してくれない
  • 継がせたい相手はいるが、借金があることを気にされてしまい承継を拒否されてしまう
  • 代表取締役という役職ついては既に渡しているものの、どうもしっかりしていないように感じられる

子ども(もしくは、後継者)からみて

  • 債務超過の会社の連帯保証人になってまで、継ぐ必要があるのかどうか疑問に思ってしまう
  • 数十年先までを考えた時に、存在することができるように思われない
  • 代表取締役にはなったものの、いちいち介入されるために自分の意思で何かをすることができない

 

といった悩みがあります。歴史や伝統を継いでいくという部分は今回省略しますが財務部分から考える問題は

 

  1. 「現預金」⇒資金繰りの余裕
  2. 「借入金」⇒返済しなくてはならない負債の大きさ
  3. 「純資産」⇒債務超過であることの負担

 

の3点でカバーされます。現預金や借入は、よくこのメルマガでも触れておりますが、今回は「純資産」に焦点をあててみましょう。

債務超過と承継を考える

純資産を財務指標で評価する場合、

純資産がプラスならば、「自己資本比率」や「純資産額」「純資産利益率」など純資産がマイナスならば「債務超過金額」「債務超過解消年数」などがよく使用されます。特に融資審査においては債務超過が問われます。

 

債務超過は、「純資産がマイナスであること」
⇒資産を全て現金化しても、負債を全て支払うことができないこと

 

ですが、この状態は

 

⇒債権者にとっては、貸したお金が回収できない可能性がある
⇒債権者としての権利を行使してでも、回収したいと思う
⇒債権者としての権利は、最終的には会社側で覆すことが困難

 

つまり、「社長が実権を債権者に奪われている」のです。

 

厳しい言い分ですが、子ども(もしくは、後継者)に会社を継がせたいと思っても、債務超過のままでならば、本当に実権を持っているのは債権者である会社を渡し、一方で連帯保証人にはなってもらうという、あまりにも大きな負担であることを考えるべきです。「占領されている国の王様に、無理やり即位させること」になりかねませんから。

 

金融円滑化法の出口戦略、とはよく言われるようになってきましたが「会社を存続させつつ承継を完了させ、事業も続ける」ということを前提とするのならば、

 

  • 現在、実質で債務超過であるのならば、いつまでに・どのように債務超過から脱却するのか
  • 現在債務超過でないのならば、純資産にどれだけの余裕を持たせるのか

 

を、必ず経営計画に組み入れて下さい。どうしても困難であるのならば、会社の財務戦略上、貸借対照表の形を大幅に変えるような大きなメスを入れていくことを考えなければなりません。

 

表面上の数字だけで判断せず、実質で債務超過ではない事実は、継ぐ方も継がれる方も、安心感が全く変わるということをご認識の上、今後の計画を策定していけるようになれば、ずっと計画らしい計画になることでしょう。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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