離職率の低い会社がいい会社・・?
マンネリ化から意欲を見いだせない中堅社員など、
「人事リストラ」に頭をかかえる社長からのご相談が増えています。
経営改善を図る時、どうしても「人事リストラ」に
踏み込まなければならない場合もあります。
わざわざ好き好んでやりたい方は、そうそういらっしゃいませんが・・
会社あってこその、みんなの生活。
社長として「人事リストラ」は、苦渋の決断です。
一方、会社には新しい血が必要です、自らの意思でご退職された方を補うための
新規採用というのも、企業は行なっていかなくてはなりません。
しかし、
「せっかく入社してくれた方がなかなか定着してくれない」と、
離職率の高さに、お悩みの社長は多いです。
(現在、新卒学生の3年以内の離職率は、40%にまで上昇しているといいます)
新卒に限らずとも、
「ゼロから教えなくてはならない・・」
「採用コストもその都度かかってしまう・・」
ことから、手間もお金もかかってしまうことにご負担を
感じてはいらっしゃいませんか?
離職率は、ある程度は受け入れるのがお互いの幸せ
・自分の会社は離職率が高い→「何が問題なのだろう?」
・自分の会社は離職率が低い→「いい会社なのではないだろうか?」
と考えてはいませんか?
1.離職率が高いと感じている場合
確かに、一定以上離職率が高い場合には、
会社の内部体制に問題がある可能性を考え対応しなければなりません。
しかし、例えば
・ご結婚・ご出産で家庭に入られる方
・どうしても職場になじめない
・給与その他の待遇が見合わない
・本人の夢が会社の外にある
等の場合でご退職となる方は、どうしても一定割合で発生するものです。
そんな方を無理に引き留めることは、
お互いストレスと不満を生むばかりです。
引き伸ばした時間が長い程、不満は大きなものになってしまうものです。
2.離職率が低いと感じている場合
離職率が低い、というのは良い言葉のように響きます。しかし…、
いろいろな価値観のある集団において、社員全員が一様に問題ないというのは
逆におかしな話です。
単純に、
「居心地がいい・・」⇒楽なだけ
という可能性が高いことを、申し上げなくてはなりません。
実際にコンサルタントとしてお客さまの財務分析をしていますと
離職率の低い会社は社員一人あたりの生産性が低いケースが大半なのです。
理想として、離職率を低くすることはよいのですが、
それは、あくまで全社員が一丸となって目標利益を出し、
報われた結果の話であって
これから会社を再生させる、生まれ変わるという段階であれば
残念ながら非現実的です。
どうしても、社長の気持ちが社員に伝わっていない、
もしくは、社員の甘えが存在するのです。
ただし、これは社員を責めることは許されません。
甘えの構図をつくり、許しているのは、経営側ですから。
◆許容される離職率とは?
上記の通り、離職率は高すぎても、低すぎても何らかの問題があるのですが、
私の経験上では
◎正社員において、入社3年以内の離職率が15%~25%であれば
止むを得ないと考えてよいとしています。
また、
15%未満の場合には社員の生産性の確認を
25%を超える場合には、社員の業務内容の見直しや配置の確認を
検討しています。
案外、離職率のような指標は適正値が見えないまま
社長の悩みのタネとなっていることがありますので、
一度ご参考にされるとよいでしょう。
執筆:今野洋之