損益計画と行動計画の結びつけ方
今後、金融機関が中小企業に求める経営改善計画書には
行動計画(アクションプラン表)の添付と、その実行度合いの確認が
求められます。
例えば、
「常務を責任者として」
「今期中に」
「不採算商品の見極めをして」
「販売商品数を100から70に圧縮」
⇒それによって、売上は▲5%、原価を▲10%、人件費が▲5%…改善する
といった具合です。
しかし、これは突然やろうとしても、どんな順番で考えを整理すれば
よいのか、分かりにくいもの。
今回は、この考え方を参考として、バランススコアカードの概念をご紹介します。
◆バランススコアカードの概念による「行動計画」の作成
バランススコアカードという言葉の意味は、googleやyahoo!で検索すれば
その言葉自体は直ぐに確認することができますので省略します、
ここで大事なことは、あくまでその概念です。
1.「財務目標」をつくる
必要な財務目標を数字で表現します。
が、中小企業の場合には、
貸借対照表の現預金、純資産、借入を考えると比較的
分かりやすいと思われます。
(ここでは「売上」「利益」はあえて挙げていません、これらは次です)
2.「事業目標」→「顧客目標」
財務目標で定義された目標を達成するために必要な利益を考え、
その利益を達成するために必要な売上を逆算します。
コスト・粗利率の改善可能性を加味しながら売上を算定しますが、
必要な売上が分かれば
売上 = 顧客単価×顧客数
である以上、必要な顧客単価・顧客数が分かります
3.「業務目標」
必要な顧客単価・数に見合った仕事の仕方を検討します。
場合によっては、投資や業務フローの変更が必要かもしれません。
4.「要員目標」→「行動計画」
仕事の仕方が決まれば、その仕方に対して
「いつ」
「誰が」
「何を」
「どのように」
充てていくことで、どれだけの人間が
どのように行動するべきか、定義できます。
それが行動計画そのものです。
◆その後の実行度合いの検証
一度この考え方の行動計画が達成された場合には
行動計画が達成される
→業務目標が達成される
→必要な顧客数と単価が達成される
→売上が達成される
→財務目標が達成される
という流れ、つまり計画を策定した時とは逆流することで
最終的な財務目標が達成されることになります。
もっとも、実際には最初からこの通りにはなりません。
例えば、
行動計画は達成され、業務目標も達成されたが必要な顧客単価が
得られなかった、という具合です。
であれば、次はそこにメスを入れれば良いのです。
・単価の設定が間違いだったのか
⇒顧客数を増やすことで対応する、商品構成を替える、等
・業務目標の内容が間違っていたのか
⇒業務目標そのものをつくり直す
⇒合わせて、「要員目標」「行動計画」も変わる
という具合です。
このバランススコアカードという概念は、シンプルな割に
応用がかなり効くので、一度取り組まれることをお勧めします。
執筆:今野洋之