損益計算書を売上から見ていませんか?大事なのは利益ですよね?
損益計算書を眺めてみれば、一番上にあるのは「売上」。
何気なく、しかし一番気になるのは
当たり前です。
しかし、これからも続く困難な経済環境を生き抜いて
いくためには、
「損益計算書の中で、売上は後で考える」
ことが正解になります。
なぜ、売上から考えてはいけないのか
1.売上を無理に上げることは、取引条件や金額のダンピング
を必要とすることが多く、赤字になりやすいものです。
実際、私の経験上でも、先に売上を定義した会社は
粗利益率は低下することが避けられません。
2.売上は、全社員の作業量と表現することもできます。
売上は、増えれば増えただけ、社員の作業量が比例的に
増加しますが、利益は同様には増えないため
社員あたりの生産性が低下するばかりか、
社員を無駄に働かせることになります。
3.元々売上というのは、損益計算書の全ての項目の中で
最も予測が困難なものです。
というのも、原価や販売管理費というのは
自分で支払先や金額を決めることができても
売上は、相手が了承しない限りは、自分が何をしても
発生することがないから、です。
4.売上を上げれば、多くの場合運転資金が必要になりますが
それに見合った資金があらかじめ用意されてはいません。
せっかく売上が上がっても、逆に資金繰りが窮する
ことになります。が、大半の会社は
その時になってから銀行に借りようとする
⇒借りられないと分かってから慌てる
となりがちです。
主な理由は上記四点ですが、言葉を変えれば
「売上は、そもそも自分でコントロールするのが難しいのに
自分や社員の作業が増えるのに
資金繰りの裏付けも確認せずに
目の前の仕事をしていれば、頑張っているような気持ちに
なれるという誘惑に負けて、
社長は、売上ばかり考えてしまうのです。
短期的には資金繰り、長期的には利益だけが会社を安定的にする
会社が倒産する・しないは資金繰り、つまりは資金がマイナスに
ならないかどうかで全て決まります。
一方、長期的に考えれば、利益が上げ続ければ
資金は時間とともに増えていくはずです。
会社がより発展していくために必要な利益を先に定義し
その利益に加えて
必要な経費や仕入をカバーし、売れる商品の粗利率を逆算した
結果として、「必要な売上」が出てくる、というのが
これからの経営です。
せっかく努力して仕事をしたのであれば、報われたい
ではないですか?
空回りした経営をしている場合ではないのです。
執筆:今野洋之