来期の確定申告時期の消費税額は2倍3倍に
担当させていただいている企業様の資金繰りを見るときに、経営者
様にも共有するツールとして、月次推移の資金繰り表を使っていま
す。
前年の実績と、今期の見通しから、1年間の予想を立てるのですが、
その際、季節変動や毎月生じない支出を注意して織り込んでいきま
す。
在庫を抱える必要がある業種では、仕入資金を変動的に織り込みま
すが、そうでない業種であれば、毎月生じない支出を特定月に織り
込んでいくことが重要になります。
特定月にある支出として挙げられるものには、賞与・賞与の社会保
険料・労働保険・中間納税(法人税等・消費税)・信用保証料、等
があります。
1年間の予想を立てていく中で、数値化し「見える化」することで、
経営者様も認識を新たにされることがあります。
それが、今回、取り上げました「確定申告時期の消費税額」です。
具体的に数値で「見える化」して、例を挙げたいと思います。
(取引内容は前期・今期とも同様なものと仮定します)
(ケース1)3月決算法人で、消費税の年税額が400万円の場合
中間納税は、前期の年税額の半額を2014年11月に支払うこと
に なります。残額を2015年05月の確定申告時期に支払うこ
とになります。
2014年11月 中間納税、400万円÷2=200万円
2015年05月 確定納税、640万円(※1)-中間分200万円
=440万円
(※1:640万円=400万円*消費税率8%÷5%)
確定申告時期の消費税納税額が、前期の2.2倍の440万円にな
ります。
(ケース2)3月決算法人で、消費税の年税額が600万円の場合
中間納税は、前期の年税額の4分の1を、2014年08月・2014年
11月 ・2015年02月に支払うことになります。残額を2015年
05月の確定 申告時期に支払うことになります。
2014年08月 中間納税、600万円÷4=150万円
2014年11月 中間納税、600万円÷4=150万円
2015年02月 中間納税、600万円÷4=150万円
2015年05月 確定納税、960万円(※2)-中間分450万円
=510万円
(※2:960万円=600万円*消費税率8%÷5%)
確定申告時期の消費税納税額が、前期の3.4倍の510万円にな
ります。
この現象は、消費税率が8%から10%に変更されるときにも起こり
ます。
預かっている消費税は、運転資金で紛れてしまうことが充分に起こ
り得ます。税額を明確に数値化して、意識して確定申告時期の支出
額を計算してみてください。
執筆:小林憲司