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中小企業等経営強化法案って何? その8

既に衆議院で可決された、中小企業等経営強化法は、これまでの経営改善計画に変わり経営力向上計画の作成を中小企業に求め、その申請が認定されることで、税金の軽減や金融支援を受けられる、というものです。

 

その認定を行うのも、これまでは銀行をはじめとした金融機関だったものが各事業分野別の主務大臣に変わります。例えば、運送業なら運輸省⇒国土交通省大臣が認定者、ということですね。

 

従って、銀行自身は認定を行うわけではなく認定を得た企業に対して支援を行う、という立場になるわけですが、ここでもう一つ、重要なポイントがあります。

支援を受けるための条件が業種別に大きく変わる

認定を行うにあたり、企業の評価ポイント、特に財務指標に関してこれまでと異なる評価基準となるローカルベンチマークが採用されることはお伝えしてきた通りですが、ではローカルベンチマークで重要とされる

 

1.売上増加率 ((売上高/前年度売上高)-1)

 

2.営業利益率 (営業利益/売上高)%

 

3.労働生産性 (営業利益/従業員数)

 

4.EBITDA有利子負債倍率
((借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費))年 

 

5.営業運転資本回転期間
((売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商)月

 

6.自己資本比率(純資産/総資産)%

 

の指標は、具体的にはどのくらいの数値であれば良い、とされるのでしょうか。

 

…残念ながら、まだ分かりません。もちろん、今後弊社調査において判明することがあれば随時お伝えしてまいりますが、今日現在、まだ決まっていないのです。

 

一方、現時点で分かっていることもあります。それは、「業種別で指標の水準や優先順位が変わること」です。

 

経営力改善計画の認定にあたっては、中小企業庁の上部組織にあたる、経済産業省(の大臣)が「基本方針」を定めますが、実際の認定を行う各事業分野別の省庁(の大臣、つまり主務大臣)が「事業分野別の指針」を定めた上で、その指針に従って認定を行う、とされているのです。

 

つまり、事業分野別に、指針が異なることになります。

 

銀行の財務評価も、業種別の評価基準は異なり、例え同じ財務内容でも格付けや融資姿勢が違ってくることは不動産業や大規模設備を必要とする業種を中心に存在してきましたが、「貸したお金が返ってくるのか」という原則、「貸したお金が何に使われるのか」という目線では変わることがないため、使われる指標そのものが大きく変わることはありませんでした。

 

私たちコンサルタントの立場で言えば、少々の業種の違いがあっても債権者である銀行が安心できるのかどうか、という見地で企業の状況を判断する、という考え方でいればどの業種であっても同じこと、というわけです。

 

一方各省庁は、日本の将来予測の中で、どれだけ今存在する企業を残していきたいのか、どんな企業に残って欲しいのかを見据えた条件を出してくるでしょうから、

 

政策的に、国家的に拡充していきたい業種、さらには海外進出を狙って輸出拡大を狙いたい業種であれば、売上・利益の拡大や社長の営業方針により重点がおかれるでしょうし

 

市場の縮小は避けられないが、ある程度の質・量をもっていたい業種であれば、より安全性の高い企業が評価されるべきですからそれこそ自己資本比率のような指標に重きが置かれる等々、指標の目標水準のみならず、優先される指標が変わっていくことでしょう。

 

ルールが複雑になる、と言ってしまえば大変ですが、私としては、より自社の業界の将来を見据え、それに見合った経営を行うことが、より高い評価を得られるようになる、という意味で良いことではないかと考えています。

 

「こう決算書をつくれば銀行の支援が受けられる」ではなく、「正しく改善努力を続けていけば、国家の支援が受けられる」ようになる、というわけですね。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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