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中小企業等経営強化法案って何? その9

中小企業等経営強化法によって、中小企業はこれまでの経営改善計画に替わり、経営力向上計画の作成を求められます。

 

  • 経営力向上計画の承認は、銀行を介さず官庁(主務大臣)が行う
  • 業種別に、優先される指標や水準が変わることになる
  • 生産性向上を前提とした、「稼ぐ力=営業利益」の改善が主眼

 

となることは、これまでにお伝えしてきた通りです。では、経営力向上計画が、経営改善計画と最も異なる点、その背景にあるものは何かを確認してみましょう。

実質査定は貸借対照表だけのものではない

これまでの財務分析と言えば、結局のところ貸借対照表の左側、資産項目について、各項目を時価でいくらか、会計上適切な計上かどうかを判定して評価を増減させることで、その議論の大半が行われてきました。

 

例えば、簿価では総資産が3億、純資産が500万円の会社があるとして実態で資産が2,000万円評価減されると実質総資産が2億8,000万円になりますが、そうなると貸借対照表は左右で金額が同じになりますから、合わせて純資産の評価も2,000万円減少し、実質純資産がマイナス1,500円と査定されます。

 

こうなると、実質債務超過という評価になり、融資を含め、あらゆる意味での財務評価が苦しいものになります。この流れは、随分と知られたものになりました。

 

元々損益計算書にだって、実質査定はあります。これまでは「最終利益に影響がないならば、特に問題ない」と、あまり気にされることがなかっただけです。

 

一方、経営強化法や、ローカルベンチマークにおいては営業利益に重点が置かれています。

 

経営強化法が求める「稼ぐ力」は、本業の「現在から未来の」利益であり、

 

過去発生した余剰在庫の処理や、固定資産の評価損一時的、特殊な要因による損失自らの努力ではどうしようもない要因による損失

 

などは、当期利益においてはマイナス要因であっても企業評価上ではマイナスとしてみない余地が生まれていることに、実質損益の意味があります。

 

極端に言えば、最終利益(当期利益)は同じであっても評価が営業利益を中心に行われるわけですから、あらゆるコストが売上原価なのか販売管理なのか営業外なのか特別なのかの振分けによって、大きく評価が変わる、ということです。

 

ただ何となく、税理士先生に言われるがまま処理をするのではなく、経営者自らコストの振分けを行い過小評価されることのないよう努めていくことが大事です。次回は、その具体的な内容をお伝えします。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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