新しい「融資を受けるため」のアピールポイント
前回、これから生まれる金融制度は
決算書の操作(粉飾)をすればするほど、融資が逆に得られなくなる
ことに触れました。
決算書の操作、特に利益の操作をした場合に
変化する貸借対照表の増減について指標化されることで
操作している可能性があらわになってしまうため、です。
決算書からの財務分析については、今後キーワードとされる
単語が二つあり、
「稼ぐ力」=実態の営業利益
「生産性(の向上)」=資産・人・売上などの回転数(率)
といったあたりですが、これらについては
また別の機会に触れるとしまして、
今回は
「そもそも決算書からの評価だけが全てではない」
ことをお伝えしようと思います。
「事業性評価」という概念
実際問題、既存の企業評価システムだけでは新規の融資は
困難です。根底にあるものが
1.今融資先企業が倒れてしまっても、元本・利息が回収できるか
2.返済ペースとキャッシュフローが見合っているか
の二点ですが、
前者は一度でも債務超過になればアウト、ということですし
後者に至っては、そもそも
「プロパー短期・一括返済」でよい融資を
「保証協会の長期」に切り替えた結果、同じ借入金額でも
月次の返済金額が増加してしまい、むしろ現在の中小企業の苦境の一要因にすらなっているのが実態。
営業すれば必ず売上が増え、仕事をすれば必ず利益が残る状況での
融資の考え方なのです。要するに、もう陳腐化しているのです。
(拡大戦略をしていれば債務超過になるはずがなく、またキャッシュフローも出るため返済原資が十分に残る)
既に、企業はなんでもかんでもやることに意味はありません。
仕事を選ぶ、顧客もあえて選ぶなかで、自らの収益(価値)を
大きくしていくなかで、身の丈に合った成長をしなければ
融資云々の前に利益が残らないのですから。
よって今、中小企業にとって大事なことは
・自らが収益を出していくための商品・顧客をどのように
選び、選ばれるのかを、よく考え実践しているか
⇒ビジネスモデルの構築と評価
・(必ずしも売上拡大に限らないが)将来的に、どのように
顧客に選ばれ続け、企業価値を高めるか
⇒成長性、成長戦略の構築と評価
の二点に対して評価を得ることにあります。
また、銀行は勝手には気づいてくれません。
企業側からのアピールによって初めて土俵に乗ります。
金融庁は銀行に気づくことを求めてはいますが、
銀行員が顧客企業の将来にわたるビジネスモデルを理解・予測
することは、そもそも不可能です。
銀行へのプレゼン力が、必要になるというわけですね。
将来のことは思い通りにはなりません。
しかし、検証して、見直しして、再度の試行を繰り返すことで
精度が上がるとともに、想いとして揺るぎないものに
なっていくことにこそ価値があります。
冒頭の野上のセミナーをはじめ、今後は事業性評価についても
随時内容をお伝えしてまいりますので、
是非頭の片隅に置いていただければ幸いです。
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執筆:今野 洋之