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仕入資金があれば売上は上げられる、という落とし穴

私が弊社に入社させていただいて、もうすぐ9年になろうとしています。その間、ご相談をいただいた件数は1200件を超えました。少しでもお役に立てていればありがたいと思います。

 

私はできるだけ、社長のやってきたことは全否定しないように…、と考えながらお話をさせていただいています。経営者の取組み、頑張りは易々と否定してよいものではありません。基本的には、間違っているというより「何か足りないものがある」、だから、足りないものを補えばいいわけですから。

仕入資金さえあれば売上はいつでも上げられる、という落とし穴

「銀行が今、これだけのお金を貸してくれれば会社はやっていける」
「売上が上がらないのは、仕入するお金がないから。借入の返済にお金がとられていってしまう」

 

というご相談(銀行への不満)を伺うことが多いのです。その通りのこともあります。銀行側が御社の状況を掴み切れていない、と感じることもあります。

 

しかし、そればかりではありません。同じくらい、あまりにももったいない形で仮に借入ができて、売上が上がっても、会社の資金繰りは好転しないことが見てとれる会社もよくいらっしゃいます。社長が、それに気づいていないのです。

売上が上がる≠利益が増える

資金的に苦境にある会社は特に、回収を先に行いたいものです。また、受けられる受注は、片っ端から取りに行く傾向が強くなります。

 

そうなると、

 

  • 売上回収をいつまでに、いくら、が先に立つので、価格の適正さよりも受注をすることが優先される。つまり不適正なダンピングに陥る
  • 利益管理が不十分、納期管理のみが行われ、取引自体が赤字化。また、赤字化していることに気づかない

 

ようになります。また私の知る限り、経営者はその事実を自ら知ろうとすることが困難です。

正直なところ、無意識で「都合が悪いかもしれない事実を知りたくないので、これくらいの利益が出ているはず、で済ませてしまっている」のが本音ではないかと考えています。しかし、こうなると売上が増えたところで利益は悪化します。もちろん、資金繰りも長期的には悪化します。

利益の出ない売上が増える=会社の作業量が増えるだけ

行動成長、バブル経済までの世であれば、仕事をしさえすれば会社に利益は残っていたでしょうけれども値引き交渉が常に発生している昨今、資金対策という大義名分で利益をみずに売上だけをみるのは、あまりにも危険です。

 

なにしろ、「頑張って売上を上げれば上げるほど、赤字が増える」「数か月後になると、資金繰りはもっと悪化する」のですから。これからの企業経営には、身の丈にあった売上に、適切な利益が得られるよう管理していくことが不可欠なのです。

 

売上は、ある意味会社の作業量です。作業量が増えても、残るお金が減るというのは、あまりにももったいないのです。どうか、全ての中小企業経営者が「適切な売上」「適切な利益」を基に、身の丈にあった経営をされていけますように!

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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