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2021.10.29

地域金融機関が注意すべき取引先への事業再構築補助金の提案

ここ数ヵ月、地域金融機関の行職員より、取引先経営者からの事業再構築補助金の相談にのって欲しいと、多くのご依頼を頂きます。とてもありがたいことです。

その中で、先に行職員から経営者にお伝えして欲しい情報を3つ記載します。この情報なく経営者と面談をしても、わずか数分で面談が終わることもありますので注意が必要です。

目的を理解いただく

1つ目は、事業再構築補助金の目的を理解いただくことです。目的を度外視して取り組んでも採択されることはありません。いわゆる独りよがりです。

ある経営者は事業再構築補助金の公募要領をあまり読まず、勝手な解釈で、ご自身が考えた事業は採択されるに違いないと思っています。

ここで目的を要約しますと、新型コロナウイルス感染症の影響があり、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応する思い切った事業再構築に取り組むことで、日本経済の構造転換が起こることです。
特に、思い切った事業再構築というところにポイントがあります。詳しくは募集要領に要件として書かれていますので、ご確認いただきたいと思いますが、少なくともこれまでの事業の延長線上にその事業はないのです。

融資可能な取引先なのか

2つ目は、融資可能な取引先なのかです。取引先の中には、どうしても新規融資が実行できない先はあります。
しかし、コロナ渦という厳しい状況であるからこそ、事業再構築補助金を手に入れて事業を再生したいと思われる経営者はおられ、この補助金に期待をされています。

補助金制度におけるお金の流れを理解すると、投資資金は立て替えになります。その資金を自己資金で賄えるのならよいのですが、多くの経営者は地域金融機関からの融資を望んでおり、融資が難しい先と事業再構築補助金の面談をしてもお互いに落胆が大きいだけです。先にこの件を伝えてから、事業再構築補助金の内容を検討されることが望ましいです。

何か良い事業はないですか?という質問

3つ目は、事業再構築補助金をもらいたいので何か良い事業はないですか、という質問です。この回答は、無いとなります。

事業計画書には、自社の強みや弱み、機会や脅威など事業環境を記載し、事業再構築の必要性や事業再構築の具体的内容を記載します。初めて会った取引先の事業を捉えて直ぐにご提案することはできませんし、これらの内容を考えるのが経営者の仕事です。

あくまでも認定経営革新等支援機関等は、支援する立場ですので、どのような事業構想なのかは確認いただくことが望ましいです。

先に、行職員から経営者へ確認することで、お互いに過度な期待を避けることができ、更なる信頼関係が構築されることと思います。

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