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2021.09.22

社長の仕事は将来への投資 ~急ぎではない重要な仕事~

社長の仕事は将来への投資というタイトルで、経営者の仕事の検証、社長は社長の仕事ができていない、それともう一つは成功する新規事業、うまくいく社長の資質とは、というテーマで記述させていただきます。

中小企業はおそらく、90%ぐらいは経営者が不在なのではないかと思います。どういうことかというと、経営者、つまり社長なのに社長としての仕事ができていないということなのです。

社長の仕事とは何か?

社長の仕事とは何かということですが、それは将来に対する打ち手を考えることです。それ以外のルーチンワークやトラブルシューティングは社長の仕事ではなく、雑務ということです。経営者の皆様は、今日、今週、今月、今年を振り返り、何時間ぐらい社長の仕事をできたかチェックすることが必要です。

中小企業においては、社長が社長の仕事だけをしてるわけにはいかないという実情があります。例えば10人の会社であれば社長も1/10の社員ですから、当然社員としての業務もあります。物を運んだり、作ったりもしなければならないかもしれないし、お店ならば店に立つ必要もあるかもしれません。こういったルーチンのウエイトが高くなり、疲れ果てて、会社やお店の将来を考える時間がどんどん圧縮されてくるのです。

社長の仕事とは、「急ぎでない、重要な仕事をやること」なのです。今日できなくても仕方ない、でも、明日も明後日もずっとできない。やがてできないことが当たり前になり、気づいたらもう10年会社の将来を考えていない、ということにもなりかねません。

例えば、親から継いだ衣料品屋さんを経営していたとします。服を仕入れてそれを並べ、接客販売するうちに、10年後大きなショッピングセンターができて客足が遠のいていく。それを残念だなと思いながら粛々と受け入れてジリ貧な経営を続けていく……これが歴史上よくある事例です。

これも、経営者がしっかり社長の仕事をしていれば違う結果になったかもしれません。日常的な業務をしながら1日2時間でも「将来ショッピングセンターができた場合の打ち手」について考えていたなら、10年後、自分なりの道を見つけることができたかもしれません。業務を遂行することに明け暮れ、現状に対するクエスチョンがない。これが「経営者不在」の状態です。

これは何も継承した事業だけではなく、自分で創業した場合にも陥る事態です。事業が立ち上がるとその時点で思考停止をし、ずっと同じことをやり続けてしまうのです。

社長が不在であるとどうなるか?

社長が不在であるとどうなるか。今までの流れの中を惰性で生きていくことはできても、新しい道を作っていくということは絶対にできない。必ず衰退していくということだと考えます。

社長の仕事は将来への投資です。3年後、5年後、10年後会社がどうなってるかということを想像して、そこから逆算して今何をすべきか、その答えを探し続けるのが仕事なのです。日常の業務にかまけて社長の仕事ができなくなる理由は「見積もりの甘さ」にあると思います。この見積もりとは、事業を創造するために必要なエネルギー量に対するものです。みんなこのエネルギーを過小に見積もりすぎています。多くの経営者が、少しやってうまくいかなかったら「うまくいかなかった」という結論を出してしまうのです。

何かを初めても、少なくとも1年や2年はうまくいかないでしょう。ひとつの仮説を建ててやってみてもうまくいかず、仮設100くらいでやっとものになるかもしれない。そこまで継続して腹を据えてやりきる胆力がなければ、経営の仕事はできません。

親から継いで何十年とやってきた事業の延長上で、新しい方向に舵を切るには、とてつもないエネルギーが必要です。それこそ、何十回、何百回と失敗するでしょう。それでも経営者ならやらなければならないのです。

日々の雑務を人に任せられるのが理想ですが、そうはいかないのも分かるので、毎日2時間は社長の仕事として会社の未来を考えて欲しいと思います。

稲盛和夫先生のある言葉が印象に残っています。「経営者がゴルフに行っても良いが、ゴルフに行ってゴルフ場でゴルフだけ考えてゴルフしてるような人間を社長にはしない」というものです。

これは「ずっと心を詰めて追い詰めすぎたら経営はうまくいかないのでゴルフに行って息抜きするのは良い。ただし、1日仕事のことを忘れるような人間では社長になれない」ということだと解釈しました。

社長でなくても、将来の幹部候補や部門のリーダー、ビジネスの世界で上がっていこうと思うような人、責任ある立場に立とうとする人は、そういった社長の生き方をしっかりと認識し、それが自然に出来る人間でないといけないと思います。これも稲盛和夫先生のお言葉です。

法人というのは法の人と書きますね。これは法律が定めた人、ということでまさしく人格を持ってるわけです。人間は心臓が止まったら死んでしまうので、24時間365日休みなく心臓が動き続けているわけです。しかし、「法人というものに誰がエネルギーを与えるんや」と稲盛先生は言うのです。

それは社長しかいないのです。法人に継続的に切れないエネルギーを与え続けないといけない。だからある意味24時間365日そのことを考え続けてあげようという思いがない法人は、生きていけないのです。

ビッグカンパニーを創造された社長の言葉ですから、中小企業には難しい例えかもしれません。しかしその教えを100とするならば、せめて30でも40でもその考え方を経営者は持ち続けるべきだと思うのです。

法人に対して生命を与え続けてますか?

あなたのお知り合いの経営者の方々は法人に対して生命を与え続けてますか? 眠りについてる間に法人に生を、魂を、命を与えることを忘れてませんか? 疎かにしてませんか? 休日に法人のことを忘れ去っていませんか? 余暇に惚けて法人のことをないがしろにしていきませんか?これらを100%できるかどうかは別として、やはり自覚すべきだと思います。

企業経営というのは、それぐらい難しいものなのだと私は思います。だからこそ、それこそゴルフではありませんが、社長には休暇が必要なのです。でも逆説的に、その裏側でずっと会社にエネルギーを送り続けなければいけない、ということを稲盛先生は言っているのです。

そういう努力をずっと楽しく続けられる人でなければ経営者になれません。苦痛に感じる人は経営者に向いていないのだと思います。多くの経営者の方にも、社長の仕事というのは一体何なんだということを考えて欲しいと思います。会社にどれだけエネルギーをかけ続けてあげているか、心臓止めてないか、そういう生き方が出来ているかということをぜひ考え続けながら、社長業というものの本質を理解していただきたいと思っています。

 

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