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銀行員は中小企業の何を見ている?【財務編】

私は中小企業経営者より、決算書をお預かりすることが多々ありますが、銀行員も日々の業務において、私よりも多くの機会があることと思います。

 

経営者が銀行員に決算書を渡す場面に私が同席させていただいた時、疑問に感じる行動があります。それは、経営者よりせっかく決算書をいただいたにもかかわらず、銀行員がその場で決算書を見ないで横に置くという行動です。

 

私は、なぜ見ないのか? と疑問でなりません。

 

銀行員からよく聞く言葉は「入力しますね」と「後でゆっくり見ますね」です。確かに入力はするでしょうし、後でゆっくり見るでしょう。しかし、それは銀行に戻ってからする作業です。決算書の回収が目的なのでしょうか。せっかく決算書をいただき、目の前に経営者がいるのですから、さっと内容に目を通して、質問を交えた会話はすべきです。

 

この時の私の心は、この人は決算書が読めない人だなと思っています。

 

実は、この見ない行動に経営者も安心しているのです。ある経営者に、

 

「せっかく決算書を渡したのに銀行員からの質問がなかったですね」

 

というと、経営者は、

 

「突っ込まれても答えられないからそれでいいのだよ」

 

と言われました。これは、非常にまずい関係です。経営者も自社の1年の成績表に意識がいきませんし、銀行員も自らの力で決算書を読む技術を得ません。なんだか、お互いそこには触れないでくれという雰囲気です。

粉飾決算を見抜く力

そう考えると、銀行員の中には事業が見られないどころか、財務も見られない人がいるという事になります。それは粉飾決算を見抜く力にも直結します。私は社長より決算書をお預かりすると、必ず実態BS(貸借対照表)を作成します。作成するには社長への質問が不可欠ですが、質問をする前から明らかにおかしい決算書はあります。売掛金や在庫の回転期間がおかしいのです。しかし、それでも融資が受けられている企業もあります。

 

また 赤字企業の決算書に目を通してする質問が、役員報酬・接待交際費などの経費削減だけの指摘では意味がありません。もっと、根本的な質問を投げかけなければなりません。特に粗利率に変動があった場合、掘り下げて質問をします。その際は、事前に原価に何が計上されているかは確認しておいて下さい。

 

逆に利益が少しでも出ていた場合、「黒字ですね」と片付けることも問題です。黒字でも金融機関への元金返済を賄えていないことが多く、資金は減少しています。損益は見ていても収支を見ていないのです。

 

決算報告書で黒字と赤字では大きな違いがありますが、その中身によっては黒字が悪く、赤字が良い場合もあります。その見極めをして会話をしてほしいと思います。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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