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オルタナティブ・ファイナンスを受けられる企業

オルタナティブ・ファイナンスとは

先週(2021年12月10日発行分)の本メルマガで、オルタナティブ・ファイナンスについて触れました。オルタナティブは、直訳で「代わりの」という意味ですから、概ね「既存の融資を中心としたものとは異なる資金調達手法」という意味になるでしょうか。

 

ファクタリングや、後払い決済サービスという形で既存の融資とは異なる企業評価での実行がなされることで単一的な資金調達可否から、より多様性のあるものへ進化することが期待されています。

 

とはいえ、どんな企業でも受けられるわけではないことは注意しなくてはなりません。

オルタナティブ・ファイナンスの根底

オルタナティブ・ファイナンス(今回はファクタリングと後払い決済サービスとします)は、既存融資に比べれば企業全体の財務評価による可否判断の割合が小さいものです。

 

それだけ、コロナもしくはそれ以前の災害等で財務が傷んでしまった企業にも資金調達のチャンスはあるわけですが、当然のことながら、金利が融資より高い、というだけでは済まない要素があります。

 

  • オルタナティブ・ファイナンスはファクタリングにせよ後払い決済サービスにせよ、実際の売上(売掛)があってこそその範囲内での資金調達となる、という特徴があります。従って、資金使途は「運転資金」、しかも売掛と回収資金の存在を常に(多くの場合は1ヶ月に一度程度)示すことができなくてはなりません。
  • 概ね売掛金の締日から回収日までが最低でも20日から1ヶ月はないと採り上げてもらえないようです。

 

 

これらの特徴は、オルタナティブ・ファイナンスの資金の出し手からみて、

 

  • 不動産や有価証券の担保を取りにくい
  • 財務評価のみでは新規のファイナンスを行いにくい
  • 資金は出したいが、何らかの保全(担保)がないと出しにくい

 

中小企業に対して、

 

「でも、きちんと売上と利益が上がっているのなら売掛金は回収されるのだから、この回収資金を返済原資として考える、それならば資金は出せる」

 

ことからきています。実際の売上と売掛が適正に上がってその後回収されるのか、というとことに焦点がいく代わりに自己資本比率やら流動比率やらの財務指標にはある程度目を瞑る、ということですね。

赤字では難しいことは、融資と極端には変わらない

上記より、売上が大きく減少した企業の場合は売掛金も減少するため、理論上ファクタリングを得られるとしても金額がより小さくなることは注意が必要です。コロナ禍においては赤字もやむを得ないものなのは大前提ですが売上減少に伴う赤字資金の補填としては、オルタナティブ・ファイナンスは利用できない、せめて売上が回復する、「これから売掛が大きくなる」タイミングでないといけない、ということです。

 

今後資金調達手法が融資だけではなくなることは間違いありませんが融資であろうとオルタナティブ・ファイナンスであろうと事業損益が黒字であることが資金調達の条件であることを前提に、普段から資金に余裕のある経営をすることが財務戦略の要になるでしょう。

 

経営者には、これまで以上に「借りられるものは借りられる時に借りられるだけ借りておいて、現預金はできるだけ厚くしておく」という考えが求められますが、その辺りはまた別の機会にお伝えできればと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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