会社でお金が借りられないとき、個人で借りてはいけない理由
資金繰りが苦しくなったとき、「法人では借りられないなら個人で借りよう」と考える経営者は少なくありません。しかし、この判断が後に深刻な事態を招くケースが増えています。
本記事では、2026年3月に公表された「中小企業における事業再生支援のあり方検討会報告書」をもとに、経営者個人への貸出が抱えるリスクと、経営者が取るべき正しい対応について解説します。
なぜ「経営者個人への貸出」が問題視されているのか
リスケ(返済条件変更)中など、法人への融資が困難な状況において、一部の金融機関が法人融資の代替として経営者個人に貸出を行うケースが存在します。
2026年3月公表の報告書では、この問題が金融機関の課題として明確に取り上げられました。具体的には、以下のような状況が指摘されています。
- 経営者個人への貸出により、「経営者保証に関するガイドライン」が利用できなくなった
- 結果として個人破産に至ったケースがある
- 個人の債務履行への懸念が、早期事業再生の大きな阻害要因となっている
さらに報告書では、民間保証会社の保証付き融資を活用することで、金融機関自身は直接リスクを負わずに経営者個人へ融資を実行しているケースもあると指摘。こうした金融機関の姿勢に対し、「貸手としてのモラルを問う意見もある」と踏み込んでいます。
経営者保証ガイドラインとは何か
「経営者保証に関するガイドライン」とは、中小企業の経営者が個人保証をしている場合に、一定の条件のもとで保証債務を整理しやすくする仕組みです。事業の再生・廃業において経営者の生活を守る重要なセーフティネットとして機能します。
しかし、法人ではなく経営者個人名義で借入をしてしまうと、このガイドラインの適用が受けられなくなる場合があります。最終的に返済が困難になっても「経営者保証の整理」という手段が使えず、個人破産という最悪の結果を招くリスクが高まるのです。
消費者金融・カードローンも同様に危険
金融機関からの個人借入だけでなく、消費者金融やカードローンの利用も同様のリスクをはらんでいます。
実際に相談を受ける中で、次のような状況の経営者も少なくありません。
- 金融機関への元金返済はリスケで止めることができた
- しかしカードローン・消費者金融への返済が重くなり、身動きが取れない
- 企業の改善策を検討したくても、手元資金がなく何もできない状態になっている
このような状況に陥ると、企業改善への道筋は一気に狭まります。
「個人で借りる」以外の選択肢を探すことが重要
法人で借りられない局面に置かれると、経営者としては「個人で借りて資金繰りの目途をつけたい」という気持ちになるのは自然なことです。一時的なつなぎとして機能するケースもゼロではありません。
しかし問題は、「一時的なつもり」が長期化し、返済されないまま借入が膨らみ続けることです。そうなると法人だけでなく経営者個人の財務状況も悪化し、選択肢がどんどん失われていきます。
個人借入という手段を選ぶ前に、まずは専門家への相談を検討してください。
早期相談が選択肢を広げる
資金繰りが苦しくなってきた、これからリスケを検討したいという早い段階でのご相談が、活用できる選択肢を最も広げます。
報告書でも、金融機関に対して「短期的目線での支援ではなく、将来の事業の継続性・経営者個人の将来の生活・早期の経営改善の可能性等を総合的に判断することが期待される」と明記されています。金融機関任せにせず、経営者自身が正しい知識をもって行動することが求められる時代です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 経営者個人への貸出のリスク | 経営者保証ガイドラインが使えなくなり、個人破産リスクが高まる |
| 消費者金融・カードローン | 金融機関と同様に、企業改善の選択肢を狭める要因になる |
| 早期相談の重要性 | リスケ検討段階での相談が、活用できる手段を最も多く残す |
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