日本政策金融公庫の不動産担保融資と直近の融資実績推移について
日本政策金融公庫といえば「無担保・無保証人」での融資が有名ですが、実は不動産を担保とした融資も取り扱っています。しかも、その利用割合は直近5年で大きく上昇しています。
本記事では、日本政策金融公庫の普通貸付の直近3年間の実績推移と、不動産担保融資の活用状況・利用されるケースについて実務の視点から解説します。
目次
原則として無担保・無保証人での融資が基本
日本政策金融公庫は、中小企業・個人事業主・農林水産業者などを支援する政府系金融機関です。民間金融機関では対応が難しい創業期や財務面に課題を抱える企業に対しても、幅広い融資商品を提供しています。
原則として無担保・無保証人での融資が基本ですが、状況に応じて不動産を担保とした融資も取り扱っており、近年その活用件数は増加傾向にあります。
直近3年間の普通貸付実績推移
日本政策金融公庫が公表している業務統計年報をもとに、普通貸付の直近3年間の実績をまとめると以下の通りです。
| 年度 | 件数 | 貸付金額 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 約18万件 | 1兆4,208億円 |
| 令和6年度 | 約18万件 | 1兆2,515億円 |
| 令和7年度 | 約19万件 | 1兆3,412億円 |
貸付金額は令和2年度(コロナ禍の緊急融資急増期)をピークに令和6年度まで減少が続きましたが、令和7年度は件数・金額ともに回復傾向を示しています。今後は横ばい圏での推移が見込まれます。
不動産担保融資の利用割合は5年で5倍近くに拡大
公庫が公表している「融資の状況」によると、全融資に占める不動産等担保による融資実績件数の割合は、以下のように推移しています。
| 年度 | 不動産担保融資の割合 |
|---|---|
| 令和2年度 | 0.8% |
| 令和3年度 | 1.8% |
| 令和4年度 | 1.9% |
| 令和5年度 | 2.5% |
| 令和6年度 | 3.9% |
令和2年度の0.8%から令和6年度には3.9%へ、5年間で約5倍近くまで拡大しています。コロナ禍の緊急無担保融資が一巡し、その後の財務状況が厳しい企業が担保を活用した融資に移行していることが背景の一つとして考えられます。
担保があれば融資が出るわけではない|金融機関の判断基準
ここで重要な点を確認しておきます。不動産担保を提供すれば融資が通る、というわけではありません。
銀行・公庫に共通する融資判断の基準は「返済能力(キャッシュフロー)があるか」です。不動産担保はあくまでも、万一の際の回収手段として位置づけられています。
つまり、担保の有無よりも先に「融資したお金を返せるか」が問われます。この順序は、民間銀行でも政策公庫でも変わりません。
日本政策金融公庫で不動産担保融資が利用される4つのケース
実務上、不動産担保融資が選択肢として浮上するのは、主に以下の4つの場面です。
① 無担保での借入が難しい場合
信用力や財務内容の面で無担保融資の審査が通らない場合、不動産担保を提供することで融資の可能性が広がることがあります。
② 直近の決算が赤字・資金繰りに問題がある場合
財務内容に課題がある場合、担保を提供することで金融機関がリスクをとりやすくなります。ただし、赤字が続く状態では担保があっても融資が難しいケースもあるため、経営改善計画書の作成と併用することが重要です。
③ 融資金額が高額になる場合
設備投資や事業承継など、まとまった資金が必要な場面では、無担保での限度額を超えるケースがあります。担保を提供することで、必要額に見合った融資が受けやすくなります。
④ 後順位での担保余力がある場合
すでに別の金融機関が担保設定をしている不動産でも、担保余力(担保評価額と既存設定額の差)がある場合は、後順位での担保設定が可能なことがあります。
日本政策金融公庫の主な融資商品
公庫には多様な融資メニューがあり、自社の状況に合った商品を選ぶことが重要です。代表的なものを以下に示します。
| 融資商品名 | 主な対象・特徴 |
|---|---|
| 新規開業・スタートアップ支援資金 | 創業前後の事業者向け。実績がなくても利用しやすい |
| 小規模事業者経営改善資金(マル経) | 商工会・商工会議所の指導を受けた小規模事業者向け。無担保・無保証人 |
| 女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性・35歳未満・55歳以上の起業家向け。優遇金利が適用される |
| 普通貸付 | 幅広い用途に対応。設備・運転・不動産担保融資もここに含まれる |
どの商品が自社に合うかは、経営状況・融資目的・金額・担保の有無によって変わります。
まとめ|公庫融資は「担保があるから通る」ではなく「返せるから通る」
日本政策金融公庫の不動産担保融資は、活用件数こそ増加していますが、融資判断の根本は変わりません。返済能力・キャッシュフローが先にあり、担保はあくまで補完的な手段です。
以下のような状況でお困りの方は、早めに専門家への相談をご検討ください。
| こんなお悩みはありませんか? |
|---|
| 日本政策金融公庫の融資商品をどれにすべきか分からない |
| 不動産担保での借入を検討しているが判断に迷っている |
| 金利交渉や固定金利型への借換えができない |
| 資金繰り表の作成や今後の見込みが立てられない |
| 売上・粗利の改善策が思いつかず収益確保が困難 |
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