ゼロゼロ融資後倒産の実態と事業再生の正しい時期
コロナ禍で多くの中小企業を支えた「ゼロゼロ融資」。実質無利子・無担保という異例の支援策によって、資金繰りの危機を乗り越えた企業は少なくありません。しかし、あれから数年が経過しました。
今、企業経営は「資金を借りて危機を乗り越える時代」から、「借りた資金を返しながら、本業で利益と現金を残せるか」を問われる時代に入っています。最近の倒産状況を見ると、その厳しさが数字にはっきりと表れています。
【この記事の結論】
2026年上半期の企業倒産は5,335件と前年比6.6%増加し、ゼロゼロ融資後倒産の累計は2,416件に達しています。「返済できているから大丈夫」ではなく、「返済した後に会社に現金が残っているか」が問われる時代です。事業再生は倒産寸前になってから行うものではありません。会社にまだ現金がある段階で動くからこそ、借入の見直し・返済計画の再構築・収益力改善という多くの選択肢が残ります。「少し気になる」程度の今こそ、確認するタイミングです。
2026年上半期、企業倒産は5,335件に達した
現在の倒産件数は、単に「売上がない会社」だけの問題ではありません。複数のコスト増が同時に企業体力を奪っている点が、これまでとは異なる特徴です。
2026年上半期の倒産件数はどうなっているのか?
帝国データバンクによると、2026年上半期(1〜6月)の全国企業倒産は5,335件。前年同期の5,003件から6.6%増加し、上半期として2年連続で5,000件を超えました。さらに注目すべきは内訳です。
| 倒産の要因 | 2026年上半期件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 物価高倒産 | 556件 | 上半期として過去最多 |
| 人手不足倒産 | 227件 | 上半期として過去最多 |
つまり、現在の倒産は単純に「売上がない会社」だけの問題ではありません。原材料価格の上昇・人件費の増加・光熱費や物流費の高止まり・借入金利の増大、こうした複数の負担が、じわじわと企業の体力を奪っています。
(出典:帝国データバンク「全国企業倒産集計 2026年上半期」)
ゼロゼロ融資後倒産の累計は2,416件に達している
倒産件数全体の増加に加えて、ゼロゼロ融資と関連した倒産の動向にも注目する必要があります。数字だけを見て「問題は終わった」と判断することが、最も危険な落とし穴です。
ゼロゼロ融資後の倒産は本当に減少しているのか?
東京商工リサーチによると、2026年7月のゼロゼロ融資利用後の倒産は33件。2026年1〜7月では190件となっています。前年同期からは減少しているものの、2020年7月の第1号からの累計では、2,416件に達しています。
ここで重要なのは、「ゼロゼロ融資後倒産が減っているから、問題は終わった」と考えないことです。返済猶予や借換えなどによって資金繰りを維持している企業もあります。本当に問われているのは、その間に本業の収益力を改善し、借入金を返しながら現金を残せる会社になれるかどうかです。
(出典:東京商工リサーチ「ゼロゼロ融資利用後の倒産動向 2026年7月」)
東海3県では「ゼロゼロ融資後倒産」が過去最多を記録
全国の傾向だけを見ていると見落としてしまうのが、地域ごとの温度差です。特に東海3県では全国とは逆の動きが起きています。
全国では減少傾向なのに東海3県で過去最多となったのはなぜか?
帝国データバンクによると、愛知・岐阜・三重の東海3県では2025年度のゼロゼロ融資後倒産が42件となり、集計開始以降で過去最多となりました。累計も143件に達しています。
全国ではゼロゼロ融資後倒産が減少傾向にある一方、東海3県では過去最多。私たちの身近な地域でも、コロナ禍を乗り越えた企業の中から、借入返済や収益力の問題が表面化してきています。
(出典:帝国データバンク「東海3県 ゼロゼロ融資後倒産動向 2025年度」)
「ゼロゼロ融資の返済、資金繰りへの不安を感じている」という経営者様へ
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「返済できているから大丈夫」は本当か
経営者の方から、「今のところ銀行への返済はできています」という話を聞くことがあります。もちろん、返済できていることは大切です。しかし、本当に確認していただきたいのは別の点です。
返済できていても会社に現金が残らないのはなぜか?
確認すべきは「返済できているか」ではなく、「返済した後に会社に現金が残っているか」ということです。借入金の元金返済は、損益計算書上の経費にはなりません。そのため、決算書では黒字なのに、預金残高だけが毎年減っているということは十分に起こります。
- 売上が増えている
- 利益も出ている
- 銀行への返済も遅れていない
それでも、会社の現金が減り続けていれば安心とは言えません。
今すぐ自社の数字で確認すべきチェックリスト
次の項目で、気になるものはありませんか。複数当てはまるのであれば、「まだ払えているから大丈夫」と考えるのではなく、一度会社の財務状況を確認する時期かもしれません。
| 確認項目 |
|---|
| 1年前より預金残高が減っている |
| 売上は増えているのに現金が増えない |
| 粗利益率が以前より低下している |
| 借入金の返済負担が重くなってきた |
| 税金や社会保険料の支払いが負担になっている |
| 短期借入金が増えている |
| 新たな借入で既存の返済を補っている |
| ゼロゼロ融資の返済開始後、資金繰りが厳しくなった |
| 金融機関に今後何を相談すればよいか分からない |
| 今後3年間の返済額を把握していない |
| 3年後の預金残高を計算したことがない |
事業再生は「倒産寸前」の会社がするものではない
「事業再生」と聞くと、「赤字会社がするもの」「銀行への返済ができなくなった会社がするもの」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、本来はそうではありません。
事業再生に最も適したタイミングはいつなのか?
以下の状態にある段階で動くからこそ、多くの選択肢が残ります。
- 会社にまだ現金がある
- 金融機関からの信用がある
- 税金や社会保険料を払えている
- 仕入先への支払いも遅れていない
この段階で取れる対策には、以下のようなものがあります。
| 財務面の対策 | 事業面の対策 |
|---|---|
| 借入内容の見直し | 粗利益率の改善 |
| 返済計画の見直し | 不採算商品・事業の見直し |
| 金融機関との取引方針の見直し | 固定費の削減 |
| 借換えや返済条件の変更の検討 | 価格改定・価格転嫁 |
| 資金繰り計画の作成 | 今後3〜5年間の事業計画の作成 |
大切なのは、資金がなくなってから方法を探すのではなく、資金があるうちに選択肢を増やしておくことです。
「あと半年早ければ」となる前に動く
事業再生や資金繰りの相談を受けていて、一番避けたいのが「あと半年早く相談していただければ、もっと方法があったのに」という状況です。
状況が悪化してからの相談では、なぜ選択肢が少なくなるのか?
以下の状態になってしまうと、取れる選択肢はどうしても少なくなります。
- 税金を滞納してから
- 社会保険料を滞納してから
- 仕入先への支払いが遅れてから
- 給与の支払いが苦しくなってから
- 金融機関から追加融資を断られてから
逆に言えば、「今のところ何とか回っている」という時こそ、会社を見直すチャンスです。
「相談するほど悪くないと思う」「まだ銀行返済はできている」という段階でも大丈夫です
問題が大きくなってからではなく、少しでも気になった段階で確認しておくことが、会社を守ることにつながります。どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
まとめ|3年後の会社の現金を、今から考える
会社を守るために重要なのは、倒産してから再生を考えることではありません。倒産しないために、まだ選択肢があるうちに手を打つことです。
一度だけ、自分自身に問いかけてみてください。
「今の利益と返済をこのまま続けた場合、3年後に会社の現金はいくら残っているだろうか?」
すぐに答えられるでしょうか。もし少しでも不安を感じたら、それが確認するタイミングかもしれません。
「少し気になる」その程度でも構いません。気になっていることをそのままお話しください。
| こんな内容でも相談できます |
|---|
| この借入金返済額は重すぎないか |
| 今の資金繰りで3年間持つのか |
| 銀行にはいつ相談すべきか |
| 借換えや返済条件の見直しを考えるべきか |
| 今後どの数字を重点的に確認すべきか |
| 売上はあるのに、なぜお金が残らないのか |
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