3つの管理職スキル
社長:「うちの管理職とは名ばかりで、管理職ではないんだよ。」
私 :「どういうことですか。」
社長:「自分の仕事は一生懸命やるが、部下を育てないし、会社全体のことなど全く
考えていない。全く困ったものだよ。」
多くの中小企業の管理職は、このような状況だと思う。それは、人手が少ない分、自分でなんでもできるように技術的なスキルを向上させることが優先し、現場をこなしてきたからである。若いうちはそれでも良く、社長もあいつは仕事ができると重宝したのではないかと思う。しかし、ある一定の時期を超えた時に、先程の不満が起こる。それは、どんな時か。その人の年齢が40歳を超え、部下が何名かでき、部署を管理しなければならない立場になった時である。私はこのギャップを、上げる教育と変える教育のギャップだと思っている。
上げる教育とは、技術的に出来なかったことが、できるようにスキルを上げることである。例えば、資格を取得するための能力が上がり、昨年は50点だったが、今年は70点になり、試験に合格するようなことである。
しかし、先程の社長の不満は、上げる教育ではなく、変える教育なのである。今までは自分のことを中心に仕事を回していたが、これからは会社全体が見られるような人になって欲しい。つまり、全く違う観点から仕事をして欲しいということである。
これが変えると言うことである。
ハーバード大学のロバート・カッツ教授は、マネジャーに求められる能力として、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つのスキルと提唱している。
テクニカルスキルとは、職務遂行能力とも言われ、その職務を遂行する上で必要な専門的知識や業務処理能力のことである。
ヒューマンスキルとは、対人関係能力とも言われ、職務を遂行していく上で他者との良好な関係を築く力のことである。
コンセプチュアルスキルは、概念化能力とも言われ、知識や情報などを体系的に組み合わせ、複雑な物事や課題を概念化することにより、物事の本質を把握する能力のことである。
つまり、社長の求めるスキルは、テクニカルスキルからヒューマンスキル、またはコンセプチュアルスキルに変わっており、過去の延長線上に求めるものはないのである。しかし、この変化を管理職に伝えてないことが多い。この変化を管理職に明確に伝えなければ、社長の不満は一生消えないし、管理職も今のまま変わらない。
直ぐに管理職と個人面談を行い、社長がその管理職に求めることを明確に伝えて欲しい。また、その話を聞いて直ぐに変われる人と変われない人がいることも、併せて理解し、社長が管理職を育てて欲しい。