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保証人や担保に入っている資産をどう守るか

銀行は、次の場合、不良債権処理に入っていきます。

 

  • 企業側が、融資返済の延滞をずっと放置していた。
  • リスケジュールを申し込んだが、銀行が応じてくれなかった。
  • すでにリスケジュールを行っていても、期限がきて、更新の交渉を行ったが銀行が更新に応じてくれなかった。

 

不良債権処理とは、プロパー融資では不良債権のサービサーへの売却、信用保証協会保証付融資では保証協会からの代位弁済です。そしてその後は、連帯保証人への取立て、企業や保証人の資産への差押え、担保の競売などが行われます。

 

保証人や担保に入っている資産で、どうしても守りたいものがあったとします。特に、自社の工場・店舗や自宅などで、この不動産を競売に掛けられてとられてしまうと、企業が存続できなくなったり、生きる元気がなくなってしまったりするもの。

 

このような資産は、守れるものなら守っておきたいものです。

 

それら資産は、自社が所有している資産や、保証人の資産や、担保に入れている資産であれば、差押え、競売の対象になってしまいます。考え方としては、他人に資産を移す、もしくは担保に入れているものであれば担保を外す、ということになります。

他人に資産を移す方法

保証人の資産を他人に移す方法としては、贈与があります。

 

そもそも、将来の相続税を軽減する対策として、金銭を子などへ、贈与税が掛からないよう贈与税の基礎控除110万円の範囲内で、少しずつ移していく、ということはよく行われている方法です。

 

また婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の贈与、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2,000万円まで控除できる、という方法もあります。

 

時限立法ですが、子が住宅を建てたり購入したりする時に、親からその資金の贈与を受けると一定の範囲で贈与税が掛からない、という方法もあります。これらは税理士と相談の上、考えてみたい方法であります。なお、債権者である銀行から、民法第424条の詐害行為取消権を行使される場合があり、それは想定しておかなければなりません。

 

(参考:民法第424条)
 1.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の
   取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって
   利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を
   害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。

リースバックの方法

担保に入れている不動産の場合、自社の工場や店舗を競売でとられてしまえば事業は立ち行かなくなる、自宅はどうしても手放したくない、というような場合に、検討する方法は、リースバックです。

 

協力者にその不動産を買い取ってもらい、その協力者から賃借を受け、その不動産を使い続ける、もしくは住み続ける方法です。不動産の売却時に、銀行に対し、いくらの売却であれば担保を消してもらえるか、交渉を行います。

 

協力者としては、当然、担保を消してもらわなければ、その不動産を購入することはできません。銀行に対し、受けている融資を全て返済しなくても、銀行の納得のいく金額が不動産の売却により、融資の返済にあてられれば、担保は消してもらえます。

 

そして協力者に不動産を買い取ってもらったら、その不動産を協力者から賃借し、賃料を毎月支払い、数年後には買い戻しをできるようにしていきます。

 

数年後、買い戻しを行うためには、次のような方法を考えます。

 

  • 資金をためていく。
  • 銀行から買戻し資金の融資が受けられる企業になれるよう経営改善していく。
  • 関係会社で融資が受けられるよう準備をしていく。

 

またリースバックでのポイントは、

 

  • 不動産を購入してくれる協力者を見つけられるか。
  • 賃料を支払い続け、数年後に買戻しができるか。

 

です。親戚や知人など、自分の利益を度外視してくれる協力者が見つかればよいのですが、その協力者としては、不動産購入のために大きな資金を用意しなければならないため、そんな協力者はなかなか見つからないものです。

 

そこで、この協力者役になってくれる不動産投資会社を探す、という方法もあります。その相場は、投資会社において、実質利回り8~12%、2~3年後、購入価格の10~15%を上乗せして買戻し、です。

 

投資会社の場合、当然ビジネスとして行っているので、賃料が支払えなくなったり、買戻しができなかったりすれば、その不動産は別のところに売られてしまうことが多いです。このようなポイントを踏まえた上で、リースバックを検討するかどうか、考えていきたいです。

第三者保証人への影響を最小限に抑える

最近は規制により第三者保証人を入れることが少なくなってきましたが、企業の経営に関係のない第三者保証人がある場合、融資の返済ができなくなり、その保証人に銀行がいきなり取立てにいってしまえば、保証人としては、なんの準備もできていないため、それから対策をとることが難しくなります。

 

第三者に保証人として入っている場合、その融資の返済が厳しいのであれば、勇気を持ってその保証人にその事実を打ち明け、相談しておきたいものです。それが、その保証人に、保証をしてもらったことに対する、誠意ではないでしょうか。

リスケジュールから復活するのが一番

以上、保証人や担保に入っている資産をどう守っていくか、その方法を述べました。

 

リスケジュールを行っても、やはり目指すべきは、その間に経営改善を行って利益が上がるようにし、資金繰りがまわるようにし、銀行への返済も少しずつ再開していくことです。そこができれば、銀行は不良債権処理の段階に入っていきません。

 

経営改善が計画通りいかず、不良債権処理の段階に入っていく時のために保証人や担保をどう守りたいのかどうか、守る場合はどういう対策をとっていくのかを考えながら、一方で経営改善を行って、正常な状態に戻していきたいものです。

 

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