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円滑化法期限切れ後に認められる「暫定リスケ」と、その真意は?

暫定リスケとは?

暫定リスケとは、中小企業再生支援協議会が提示している金融円滑化法が期限切れとなる平成25年4月以降の返済条件変更(リスケジュール)のガイドラインともいうべきもので「一定条件」を満たす中小企業については 今後3年間は、柔軟な条件変更の継続を許容する という内容です。

「一定条件」とは?

結論を先に申し上げれば、営業利益を・・、自らの計画立案と実行による努力で改善し・・、その結果の検証、さらなる改善を継続的に開示し・・、金融機関がそれを認めている、という条件です。

 

これまでも、金融機関へ新規融資や条件変更の申し出・継続の際には経営改善計画書の作成と提出は求められてきましたが、今後はその内容のみならず、以前提出した計画書についての【実行度合いのチェックと評価】が、重点的に加わったことになります。

 

今後は営業利益の改善に対して、「なぜ」「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行うのかを、行動計画(アクションプラン)表において記載すること、その実行度合いの検証と、新たな行動計画の作成を行うという流れが発生し「とりあえず出しておけばよい」というその場しのぎの対応が許されないという規定になります。

なぜ「営業利益」がポイントになったのか

本来、金融機関のおこなう企業分析・財務分析というものは「今、会社が倒産してしまった場合に、融資の回収ができるのか?」という切り口からの分析であるため、PL(損益計算書)も大事とはいってもBS(貸借対照表)をより重視します。

 

もし企業が倒産してしまった場合、金融機関は中小企業がその時点で持っている資産を現金化して回収しますので回収の元となる資産が記載される貸借対照表から目を離すことができないためです。しかし、これから3年間の最重要項目となるのは『営業利益』損益計算書の項目です。

 

ここには、政府・金融庁の反省と意思が込められています。というのも真に再生へ向かうためには、その事業に利益が出ていなければ長期的にはどんなに資産があっても不可能だからです。

 

もう一点、貸借対照表の示すものが過去経緯の積み重ねならば損益計算書は直近の収益状況や、今後の予測を行うためのもの。営業利益をポイントとすることは過去よりも現在と将来を重視する姿勢に変わりつつある、ということができます。

 

政府・金融庁として、金融機関に対しては「現在の融資回収の可能性」ではなく今後の企業としての再生可能性に対して評価を行うべき、としたうえで中小企業に対しては、どのように営業利益を改善していくのか、自らの努力と覚悟を示して欲しい、という意図をもってのことです。

金融庁、銀行の真意

実際、金融機関が求める資料や、銀行内部資料においてもここ数ヶ月で

 

  • 行動計画を記載する(後で確認・検証できるようにしておく)
  • 社長には「決意表明」も書いてもらう(計画を実行することに対して責任をもってもらう)

 

内容が追加されています。見た目は簡単かもしれませんが、記入するのが「決意」である以上、求められているのが実行することに対する覚悟になりますから、これまで以上に計画書にうかつな事は書くべきではありません。

 

これらの条件をもって、金融機関も今のところ政府や金融庁の指示を慎重に守っており、特段の混乱は起こっていません。金融庁や銀行がこれらの評価方法を変更し、3年間の暫定リスケというものを持ち出してきた、その真意は何でしょうか?

 

それは、

 

  1. これまでの決算書だけの企業評価に限界を感じており、その対応として「中小企業自らに、どのように改善を行うのか提示してもらい、その実行度合いを評価として追加する(モニタリング評価、と呼ばれます)
  2. 中小企業に自主廃業を促すこともある、としてはいるものの、その「選別」には 一定の期間を必要とするため、そのために3年という時限を設定する
  3. 政府にも金融機関にも、債権(中小企業にとっての負債・債務)を償却する資金がないため、3年間の間で用意する

 

というものです。 金融円滑化法に連なるここ20年の金融政策は、良くも悪くも「大半の中小企業が利用できる」ものばかりでした。倒産を回避した企業は確かに多く、効果がなかった訳ではありません。

 

しかし、代わりに「実は頑張っている企業と、そうではない企業」の違いも見えにくくなってしまい本当に救済するべき、再生できる企業の存在が分かりにくくなってしまっただから、今後3年間で、その区分けを行い用意した資金を「選ばれた企業」を再生させるために使う。これが、金融庁・金融機関の真意です。

 

もう一つ、暴論ではありますが、中小企業再生支援協議会の方のコメントを、4番目の真意としてお伝えします。

 

  1. 4.企業の社長様にも、今回は先送りのない最後のチャンスとして、覚悟をもって改善に取り組んでいただかなくてはならない。今後、生き残っていくかどうかの決断を、この3年間で行なっていただきたい

 

かなり厳しいコメントではありますが・・ 本音なのでしょう。従いまして、今日現在は、「3年をかけて行われる中小企業の生き残りレースの開始直後」ということになります。自らの生き残り、再生への意思と、そのために何を行い結果どうなっていくのか、自ら考え、開示し、それを認めてもらえるように努力していかなくてはなりません。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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