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銀行から紹介するコンサルタントを入れてほしいと言われた

銀行から「コンサルタントを紹介するから、入れてほしい。」「経営改善計画書を作ってほしい。そのためにコンサルタントを紹介する。」と言われることがあります。これは、何を意味するのでしょうか。

金融庁が銀行に求めていること

金融庁が銀行に求めていることの一つが、コンサルティング機能の発揮です。コンサルティング機能の発揮とは、銀行は融資だけではなく、融資先企業への経営指導も行うことであり、その企業の成長もしくは再生に力を入れてほしい、と金融庁は銀行へ、企業に対する指導を求めています。

 

その結果、ほとんどの銀行では経営支援の部署が開設され、地方銀行では5~20名、信用金庫では2~10名程度の職員が経営支援部署に配属になり、コンサルティング機能の発揮に向けて体制を整えています。

 

経営支援部署の仕事は、次のとおりです。

 

  • 経営改善計画書作成
  • モニタリング
  • コンサルティング
  • 営業店指導

 

融資返済を減額、猶予、つまりリスケジュールを行っている企業に対し、銀行は経営改善計画を提出することを求めています。しかし自ら作成できない経営者も多いので、銀行の経営支援部署がそのような企業に対し経営改善計画書作成の支援を行います。

モニタリングとは

モニタリングとは、経営改善計画書に書いた計画が、しっかり実行できているか、定期的に企業をチェックすることです。

コンサルティングとは

コンサルティングとは、経営改善計画が実行できているかを定期的にチェックするだけでなく、もっと深く経営に立ち入って、経営改善計画が実行できるよう常時指導していくことです。

 

またリスケジュールを行っている企業は、業績が芳しくなく資金繰りが厳しいからリスケジュールを行っているため、全てのリスケジュール企業は銀行による経営指導の対象となりますが、経営支援部署の少ない人数だけではとてもまかないきれないため、営業店、つまり銀行の支店でも企業に対し経営指導を行う必要があります。それをどのように行っていくか、営業店を指導することも経営支援部署の仕事の一つとなります。

 

このような経営支援部署が中心となって、各銀行は、金融庁の要請である、コンサルティング機能の発揮に向けて業務を行っているのです。

銀行が企業にコンサルタントを入れることを勧める場面

経営支援部署は、少人数です。なぜなら銀行は、コンサルティング業務自体で企業からお金をもらうことはなく、そこに人件費をかければかけるほど、銀行の負担が大きくなってしまうからです。

 

一方で、経営指導により融資先企業の業績が改善され、債務者区分が良くなれば、銀行が積まなければならない貸倒引当金は減少します。貸倒引当金が減少すれば、銀行自体の財務内容は改善されます。そこが、銀行にとっての経営支援部署の存在意義であります。

 

企業の業績を良化させて債務者区分を引き上げることが経営支援部署の使命ですので、経営指導に力を入れる対象の企業は、現状の債務者区分が悪い企業、ということになります。

 

しかし経営支援部署だけでは全ての企業の経営指導を行うことはできませんので、銀行は外部のコンサルタントと知り合い、そのコンサルタントを入れて経営改善してほしいと、銀行は企業に要求してくることになります。

 

そのため、あなたの会社が銀行から

 

「コンサルタントを紹介するから、入れてほしい。」

 

と言われたのは、あなたの会社の業績が芳しくなくて債務者区分が悪く、それを改善するためにコンサルタントを入れて経営改善に取り組んでほしい、という銀行の考えがあって、ということになります。

 

なお、コンサルティング契約はあくまで企業とコンサルタントとで行うため、コンサルタントには守秘義務があり、その企業の全てを銀行に伝えるわけではありません。

 

コンサルタントを入れてほしいと銀行から言われた場合、経営者が心配になることは、

 

「自分の会社の実態を全て調査するために、この銀行はコンサルタントを入れてくれと言ってきているのではないか。コンサルタントに自分の会社を丸裸にされて、銀行はその中から回収できるものを回収して、自分の会社は終わってしまう。」

 

ということですが、そうではありません。あくまで銀行は、経営改善を行ってほしいから、コンサルタントを入れてほしい、と言ってくるのです。

 

しかしコンサルタントは、銀行に情報公開すべきことはすべき、とは経営者に言ってきます。例えば粉飾決算の開示などです。ただその目的は、リスケジュールなどで銀行に支援してもらうために、銀行に実態を伝えなければ銀行は協力してくれない、そのために銀行に伝えるべきことは伝えるべき、ということなのです。

 

銀行は、どんな会社でも一つ二つ、銀行に隠していることがある、ということは分かっています。粉飾決算の開示を行ったことにより、銀行はその企業をつぶしにかかることはめったにありません。隠していることを銀行に全て伝え、そして経営改善計画を立て、再生のために銀行もリスケジュールなど金融面でバックアップする、ということなのです。

 

コンサルタントを入れてほしいと言ってくるのは、その企業の再生の見込みがある、そのためにコンサルタントを入れて本気で取り組んでほしい、という銀行の期待の表れなのです。

 

またコンサルタントを入れてほしいと銀行が言ってくることは、銀行はその企業は、経営者が自力で再生することは困難である、と思っているからとも言えます。

 

経営者自身で経営改善に取り組んでいけるのであれば、何もコンサルタントを入れることはありません。経営者自身でなかなか経営改善に取組むことはできていない企業に対し、その打開策としてコンサルタントを入れることを銀行は要請してきます。

 

なお、銀行が紹介するコンサルタントではどうしても不安だから、自分で探してきたコンサルタントを入れたい、と経営者が考える場合。そのコンサルタントは、経営改善に向けこれだけ取り組んでくれそうだ、と銀行に説明すれば、銀行はそれで認めてくれることでしょう。

 

また、自力で経営改善計画も作れない企業に対しては、銀行は、「経営改善計画書を作ってほしい。そのためにコンサルタントを紹介する。」と言ってきます。リスケジュールを行う企業は全て経営改善計画書の提出を銀行は要求してきます。

銀行の要請を断った場合どうなるか

コンサルタントを入れてほしいという要請を企業が断った場合、何が起こるか。コンサルタントを入れるかどうかを決めるのはあくまで経営者ですから、コンサルタントを入れる入れないは経営者の自由です。

 

しかしコンサルタントを入れない企業には、銀行は当然、自力での経営改善を求めてきます。

 

そしてその企業自身、自力で経営改善を行い、利益が改善して、銀行への融資返済も少しずつ再開していけるのであれば、問題はないでしょう。しかし経営改善を行わず、赤字が続き、融資返済を再開することもできない企業。

 

銀行は永遠にリスケジュールを続けられるわけではありません。銀行は、その企業の再生を諦め、その時にはリスケジュールの継続を断り、回収を図ってくることでしょう。

 

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