銀行との交渉ケーススタディ その1
銀行との交渉は、果たしてどこまでできるものでしょうか。
銀行の判断というものは、こうすれば必ずこうなる、
という確定したものだけではなく、
プロセスの何処かで人間の判断が入りますから、
絶対的なものはありません。
しかし、基準やガイドラインというものは
各銀行内部に常に存在しており、
「特段の変わった事情がなければ、こう」
とはなります。
よって、通常では困難な交渉を通すというのは
- 会社にとってそれを実行したい事情が存在し
- 最終的に、銀行にとってもメリットがあること
これらを説明できるかどうかに尽きます。
ケーススタディ
例えば、借替や、借替による一本化のケース。
借替と言えば、元々ある金融機関で借りていたものを返して、
その分を他の金融機関で借りようとするものですが、
これはやられる(返済されてしまう)方にとっては
非常に恥ずかしいことと、金融機関側が考えてしまうものです。
時には
「借替されるくらいなら、もう二度とうちとは融資取引できないと思ってください」
という強硬な発言も飛び交うほど。
…むやみに言っていいことではないのですが。
しかし、これも説明次第です。
そもそも、借替をしたいと経営者が考える原因は
意図的に融資取引銀行を変えたい場合を除いて
- 金利が低くなる
- 元本の返済期間が長期化する(1回の返済金額が小さくなる)
- 借替により、他の取引条件が良好になる
のどれかでしょう。特に金利が争点になることが大半。
経営者としては、同じ借入ならば金利が低い方がいいに
決まっているものの、無理に借替をしてしまうと、
これまでの関係性が壊れてしまうのでは?とうポイントで
心配してしまうのでしょう。
しかし、上記二点から考えてみれば
事情は金利を下げることで利益を改善したい、
ということは明らかですから、あとは
銀行側のメリットですよね。
私はいつも、
- 他から提案されているものと同水準の金利に下げてもらえるのならば、「完済まで借替をしない、と約束する」
- それができないのならば、他行への借替を認めて欲しい
として、どちらかを銀行に選んでいただく、というやり方をしています。
これであれば、借替をされてしまうかもしれない銀行にとっても
- 金利を下げれば、完済まで借替をされない
- 採算的に無理ならば、借替されても仕方が無い
- 借替自体は歓迎できないが、勝手に借替されるのではなく「自分たちが事前に承認している」点でプライドを保つことはできる
ため、メリットはあるのです。
特に、現場の担当者にとっては、突然借替の依頼を受けるよりも
選択肢のある打診がもらえれば、上司や本部に相談の上、
どちらを選択するのか「銀行として」決定されますから
担当者自身が責められるリスクは大きく減ることでしょう。
重要なことは、相手に選択肢を与え、相手にもメリットを
提示すること、とお考え下さい。
執筆:今野洋之