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中小企業等経営強化法案って何? その3

今回は、改めて本法案における中小企業評価の要点となるローカルベンチマークという財務評価手法で採用予定の財務指標の内、「EBITDA有利子負債倍率」について解説します。

EBITDA有利子負債倍率

EBITDA有利子負債倍率の算式は、

 

((借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費))年 

 

「EBITDA」は、より正確には税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を足した値ですが、簡易的に(営業利益+減価償却)が使われることもあり、この指標において分母となっています。

 

この指標に近いものとしては、ここしばらくの間金融機関の使用する財務指標として非常に重要であった「債務償還年数」が挙げられます。

 

※債務償還年数 =(借入金/(当期利益+減価償却費))年

債務償還年数のバージョンアップ版?

EBITDA有利子負債倍率も、債務償還年数も、計りたいことは同じです。「何年で、今ある借入を返済することができるのか」ということ。しかし、EBITDA有利子負債倍率は、

 

分子が借入金から現預金を引いたもの分母は当期利益ではなく、営業利益である点が、債務償還年数と異なるわけです。極端に考えれば、現預金は借入との相殺が可能ですから、その分を借入から差し引いた残りを返済するべき実質の借入と見ることができるわけですね。

 

当期利益ではなく営業利益にした点は、それこそ営業外や、一過性の損益を考慮しない、本業の利益から生まれるキャッシュフローにおいて実質の返済するべき借入を何年で返せるのか、という点への着目と言えるでしょう。

 

ローカルベンチマークのキーワードである「稼ぐ力」が、借入の大きさに対してどれだけあるのかを示す、非常に象徴的な指標です。

実務上の取扱い

債務償還年数は、昔は5年基準であったものが、今日では運用上15年~20年にまで緩和されてはいるものの、金利負担が大きすぎて当期利益が十分に計上できない企業や過去に発生した不良資産を処理すると、特別損失計上しても当期利益が悪化して債務償還年数が長期化してしまうことから

 

  • 債務償還年数という銀行の基準に合わせていると不良資産の処理ができない
  • 本業では努力しているが、過去の負債が重たいために債務償還年数が改善できない

 

というジレンマを抱えています。EBITDA有利子負債倍率は、本業の稼ぐ力に焦点をあてることでこの問題の是正を図るもの、ということです。

 

銀行は、損益の実態評価をする際に、損益計算書上の数値を別の項目に変更することがあります。例えば、副業の家賃収入を売上でなく、営業外収益に移したり特別損失で挙げた在庫の評価損などを原価に移したり、といったように。

 

これからの企業は、企業は特別損失に計上したものが真に特別損失であることを、自ら説明することが求められます。無駄に過小評価されてしまうことは、あってはなりません。

 

次回は、もう一つの目新しい指標、「営業運転資本回転期間」を説明します。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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