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今治タオル老舗メーカー民事再生の背景

金融検査マニュアルを撤廃し、新たなベンチマーク項目の設定を行い金融庁は銀行にどのような変化を求めているのかそれを、現実の倒産経緯からまとめて、確認してみましょう。下記リンクによれば(実際の企業名などには、今回触れる意味はありません)、

 

http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20161006_01.html

 

倒産してしまった経緯は

 

  • 全国的にブランド力を持つ商品を製造しており、中国での生産工場(平成4年設立)も保有して事業を拡大していた
  • 景気低迷、個人消費の落ち込みで売上が減少、中国工場の設備投資費用が重荷となって資金繰りが悪化(ピーク時、平成9年の売上から、四分の一になっていた模様)
  • 平成26年には中国工場閉鎖、多額の損失を計上最終的に今年自力再建を断念

 

といったところでしょうか。これまでの銀行の考え方に基づくと

 

  1. 平成9年までは売上増加基調であり、増加運転資金も新規工場の設備資金も融資が可能
  2. 平成10年以降は売上減少=必要な運転資金の減少のため、運転資金は回収。設備資金は担保余力を確認しながら回収を進める
  3. 中国工場の閉鎖(言葉をそのまま解釈すると事業譲渡等ではない)は売上・利益減少で固定費を賄いきれないことから。だが今年、最終的に支えられなくなった

 

といったところでしょうか。決して気分のいいものではありませんが、いくらでもありそうな話と、思われますか?

 

中小企業の倒産は、銀行の責任になる!?

上記経緯は、私の仮説が混じっていますので、あくまで「典型的なシナリオだったら」ということではありますが、本当に大事なのは、この事案も、これまでのルールでは(一応)問題なさそう?ですが、これからのルールではどうなる、ということ。

 

どうだろう、と考えますと…、
経営者とともに、銀行の責任も問われることになります。

 

この企業さんは、平成9年ピーク時の売上の半分近くは平成18年時点で既に失っていたようなのです。この時点で、借入過多になっていたものと思われます。

 

また、平成26年に中国工場閉鎖を行い、20億の特別損失計上とありますが、平成21年~23年にも総額2億以上の赤字を計上しています。

 

さて、問題なのは…、

 

少なくとも10年程前には借入過多、売上減少、過剰設備

⇒この時点で中国工場の存在意義はなくなっていないか?

 

8年~5年前に大幅な赤字計上

⇒それまでは多少なりとも利益が出ていた時期があるが逆に、そのためにお金の貸し手も現状維持のみを行っていたのではないか?また、この時期の赤字は売上がさほど変わっていない状況で、不良資産の処理やリストラを行ったこと等が想定されますが、どうしてこの際に中国工場は残したのか?

 

2年前に海外工場閉鎖

⇒事業譲渡などにより、少しでも多く現金化することは考えられなかったのか?

 

総じて先送り、及び抜本的な対策ができないまま後手後手を踏んでいるうちに最終局面にまできてしまったのではないか、と思われてなりません。企業の資産売却・損失計上から生まれる銀行の貸倒引当増加・融資額の減少を先送りし続けた結果ではないか、と。

 

もっと早い段階で、生産設備を国内あるいは中国に一本化して身軽にできなかったのか、せめて、単体での事業継続が無理なら中国工場と国内の事業を譲渡することで、事業と雇用の維持はできなかったのか

 

今後銀行に求められる「地域経済・企業への貢献」という点で金融庁からの指摘項目になるのは、こういうところです。

 

地元ブランド商品に携わる企業が倒れてしまうことで将来的な地元経済や事業・雇用を喪失させてしまった、この意味で銀行は何をしたというのかが問われます。

 

企業側対応は「逆提案」

いかがでしょうか?
先送りができない状況、というのは企業だけではなく銀行の立場でも同じことであることが見えてきますでしょうか。銀行のおかれる状況も、企業同様に激変することになります。

 

企業側からで言うなら、先送りしないで抜本的対応を狙うとともに、銀行には逆提案を行い、こちらのシナリオにのっかってもらえるかどうか、ここに注力するべきなのでしょう。

 

執筆:今野 洋之

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