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銀行融資を断られた…原因と対策、次の資金調達方法を解説!

銀行融資を断られた理由とは?

銀行から融資を断られてしまうと、事業の継続や成長に大きな影響を与えてしまいます。特に中小企業にとって、資金調達の壁は非常に高く感じられるものです。まずは、なぜ銀行から融資を断られたのか、その根本的な理由を理解することが次のステップへの重要なカギとなります。

 

よくある融資審査の基準

銀行が融資を行う際に重視する審査基準には、主に以下のようなものがあります。

 

返済能力(キャッシュフロー)

銀行にとって最も重要なのは、貸したお金が確実に返ってくるかどうかです。そのため、企業の現在の収益状況や将来の収益予測を厳しくチェックします。特に「営業キャッシュフロー」がプラスであるかどうかは重要な判断材料となります。

 

財務健全性

自己資本比率や負債比率などの財務指標を通じて、企業の財務状態の健全性を評価します。自己資本比率が低く、すでに多額の借入金がある場合は、新たな融資に消極的になりがちです。

 

担保・保証人の有無

特に新規取引や業績が不安定な企業の場合、銀行は担保や保証人を求めることがあります。不動産などの有力な担保や、信用力のある保証人がいない場合、融資のハードルは高くなります。

 

事業計画の信頼性:融資金の使途や返済計画を含む具体的で実現可能な事業計画の提示が求められます。計画が曖昧だったり、非現実的だったりすると、融資が断られる可能性が高まります。

 

経営者の資質と実績:特に中小企業では、経営者自身の経験、実績、信用情報なども重要な審査ポイントです。過去に債務不履行などの問題があった場合、信用度が下がります。

 

銀行が融資を断る主な理由

実際に銀行が融資を断る理由は多岐にわたりますが、頻度の高いものをいくつか見ていきましょう。

 

業績不振や赤字決算が続いている

直近2〜3期連続で赤字決算となっている場合、銀行は返済能力に大きな疑問を持ちます。特に「本業での収益力」を示す営業利益が継続的にマイナスの場合、融資は非常に厳しくなります。

 

債務超過状態にある

負債が資産を上回る「債務超過」の状態は、銀行にとって大きな警告信号です。債務超過が2期以上続くと、融資はほぼ断られると考えておいた方が良いでしょう。

 

税金や社会保険料の滞納がある

 

既存借入金の返済が遅れている

他の金融機関への返済が遅れていたり、返済条件の変更(リスケジュール)を行っていたりする場合、新規融資は難しくなります。

 

事業計画の実現可能性が低い

融資の使途が不明確だったり、返済計画が現実的でなかったりする場合、銀行は融資に慎重になります。数字の根拠が乏しい甘い見通しの事業計画は信頼を失います。

 

担保・保証が不足している

特に金額の大きい融資や業績に不安がある場合、十分な担保や保証人がないと融資が断られることがあります。

 

経営者の信用情報に問題がある

経営者自身のクレジットカードの支払い遅延や個人的な借入金の返済遅延など、個人としての信用情報に問題があると、企業への融資にも影響します。

 

業界自体のリスクが高い

景気動向や業界全体の見通しも審査の重要な要素です。衰退産業や将来性に不安がある業界では、融資のハードルが上がることがあります。

 

銀行の内部事情

銀行側の融資枠や方針変更により、企業に問題がなくても融資が断られることもあります。特に期末近くなどは、銀行の貸出余力が低下していることがあります。

 

銀行融資を断られた場合、単に「運が悪かった」と諦めるのではなく、なぜ断られたのかを正確に把握し、改善策を講じることが重要です。融資担当者に丁寧に理由を確認し、次回の申請に備えましょう。また、1つの銀行に断られても、他の金融機関や融資以外の資金調達方法を検討する余地は十分にあります。

 

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銀行融資を断られたらどうする?対処法と次の一手

銀行融資を断られたときは、確かにショックを受けるものです。しかし、これは資金調達の道が完全に閉ざされたことを意味するわけではありません。融資拒否を事業見直しの機会と前向きに捉え、適切な次の一手を打つことが重要です。ここでは、融資を断られた後の実践的な対処法と選択肢について解説します。

 

断られても諦めない!資金調達の選択肢

銀行融資を断られた後、すぐに取れる対応策をいくつか紹介します。

 

断られた理由の明確化と改善

まず最初に行うべきことは、なぜ融資を断られたのか、その具体的な理由を明確にすることです。担当者に率直に質問し、改善すべきポイントを把握しましょう。曖昧な回答しか得られない場合は、「どのような点が改善されれば再考の余地があるか」と具体的に尋ねてみることも有効です。

 

他の銀行へのアプローチ

一つの銀行に断られたからといって、すべての銀行で同じ結果になるとは限りません。各銀行には得意分野や審査基準の違いがあります。地方銀行、信用金庫、信用組合など、地域密着型の金融機関は中小企業への融資に積極的なケースもあります。

 

日本政策金融公庫の活用

民間銀行と比べて審査基準がやや緩やかな日本政策金融公庫の各種融資制度を検討しましょう。特に「新創業融資制度」や「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」は、担保や保証人が不要な場合もあります。

 

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証を得ることで、銀行からの融資が受けやすくなる場合があります。信用保証協会のセーフティネット保証や創業関連保証などの制度を活用しましょう。

 

資金調達の多様化

銀行融資以外の選択肢も検討しましょう。例えば、ファクタリング(売掛金の早期現金化)、リース、クラウドファンディング、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資などがあります。

 

公的補助金・助成金の活用

事業内容によっては、返済不要の補助金や助成金を獲得できる可能性があります。中小企業庁や各自治体が提供する支援制度を調査してみましょう。

 

資金繰り改善の内部対策

外部からの資金調達と並行して、社内の資金効率化も重要です。売掛金回収の早期化、在庫の適正化、不要資産の売却、支払条件の見直し、経費削減など、自社でできる資金繰り改善策を実施しましょう。

 

再チャレンジできる?銀行融資の再申請のポイント

銀行融資に再挑戦する場合は、前回の失敗を教訓に、次のポイントを押さえましょう。

 

財務状況の改善を示す

前回の申請から時間が経っている場合は、その間の収益改善や経費削減の成果を数字で示しましょう。直近の試算表や資金繰り表で、経営改善の兆しを見せることが重要です。

 

具体的で実現可能な事業計画の提示

融資金の使途と返済計画を含む、より具体的で実現可能な事業計画を作成しましょう。特に、売上予測の根拠や費用の積算根拠を明確にし、楽観的すぎない現実的な計画であることを示すことが重要です。

 

担保や保証の補強

可能であれば、前回よりも強力な担保や保証人を提供できないか検討しましょう。経営者自身の個人資産(不動産など)を担保に提供する覚悟を示すことで、銀行の信頼を得られることもあります。

 

融資金額や条件の見直し

前回と同じ条件にこだわらず、金額を減額したり、返済期間を短くしたりすることで、銀行側のリスクを軽減する提案をしてみましょう。まずは少額から始めて実績を作ることも一つの戦略です。

 

専門家のサポートを得る

中小企業診断士や税理士などの専門家に事業計画の作成や財務分析をサポートしてもらうことで、申請書類の質が大幅に向上します。また、商工会議所や中小企業支援センターなどの公的機関の経営相談も活用しましょう。

 

銀行との関係構築

融資の再申請までの間に、定期的に銀行を訪問し、経営状況を報告するなど、良好な関係を構築しておくことも重要です。銀行担当者が味方になってくれれば、融資審査でプラスに働くことがあります。

 

融資の種類を変更する

前回と同じ種類の融資にこだわらず、プロパー融資が難しければ保証付き融資を、運転資金が難しければ設備資金を、というように柔軟に考えましょう。

 

銀行融資の再申請は、闇雲に急ぐのではなく、きちんと準備を整えてから行うことが成功のカギです。前回の失敗から学び、改善点を明確にした上で再チャレンジすることで、成功の可能性は大きく高まります。融資が受けられるようになるまでの期間は、自社の財務体質や経営体制を強化するための貴重な時間と捉え、地道な改善を続けていきましょう。

銀行に融資を断られやすい企業の特徴と改善策

銀行融資を申請する企業の中には、特定の特徴を持つことで融資を断られやすい傾向があります。私が財務コンサルタントとして多くの中小企業を支援してきた経験から、融資が通りにくい企業には共通のパターンがあることに気づきました。この章では、そうした特徴を把握し、具体的にどう改善すれば融資の可能性が高まるのかを解説します。

 

財務状況に問題がある場合の対策

融資審査で最も重視されるのは、やはり財務状況です。以下の財務上の問題点とその改善策を見ていきましょう。

 

赤字決算が続いている

複数期にわたって赤字決算が続いていると、銀行は返済能力に疑問を持ちます。

 

改善策は、収益改善計画を立て、実行する:売上増加策と同時に、固定費削減にも取り組みましょう。不採算事業からの撤退や、利益率の高い商品・サービスへの集中など、具体的な施策を示せることが重要です。

 

決算書上はまだ赤字でも、直近の試算表で収益が改善傾向にあることを示せれば、融資の可能性は高まります。月次の試算表を整備し、改善の傾向を数字で示しましょう。

 

自己資本比率が低い

自己資本比率(総資産に対する自己資本の割合)が低いと、財務基盤が弱いと判断されます。目安として、20%以上あることが望ましいとされています。

 

改善策は、増資や資本性劣後ローンの活用:オーナーからの増資や、資本性の高い劣後ローン(日本政策金融公庫の「資本性劣後ローン」など)を活用することで、自己資本比率を高めることができます。また、利益を社外に流出させず、内部留保として蓄積することも重要です。役員報酬や配当の適正化を図りましょう。

 

債務超過の解消

負債が資産を上回る債務超過状態は、融資判断において大きなマイナス要因となります。

 

改善策は、不採算事業の整理と収益体質への転換:思い切った事業の選択と集中により、収益力を強化しましょう。使用していない土地や設備などを売却し、負債の返済に充てることで、バランスシートを改善できます。

 

オーナーからの借入金がある場合、これを資本金や資本準備金に振り替えることで、債務超過を解消できることがあります。

 

借入金過多

すでに多額の借入金がある企業は、さらなる融資に対して銀行が慎重になります。

 

改善策は、借入金の一本化・借り換え:複数の借入を一本化したり、条件の良い借入に借り換えたりすることで、月々の返済負担を軽減できることがあります。

 

既存の借入金について、返済期間の延長などの条件変更を金融機関と交渉することも一つの方法です。

 

資金繰り管理の問題

月次・週次の資金繰り管理ができていないと、突発的な資金ショートを起こしやすく、銀行からの信頼を失います。

 

改善策は、資金繰り表の整備:最低でも6ヶ月先までの資金繰り表を作成し、定期的に更新しましょう。特に資金の入出金時期のずれに注意が必要です。

 

回収サイトの短縮や、滞留債権の早期回収に取り組みましょう。必要に応じて、ファクタリングなども検討します。また、過剰在庫は資金を固定化させてしまいます。需要予測の精度を高め、在庫回転率を向上させましょう。

事業計画書が不十分な場合の改善ポイント

銀行は融資の判断材料として、財務諸表だけでなく将来性も重視します。説得力のある事業計画書は融資成功の鍵を握っています。

 

事業計画の具体性と実現可能性

曖昧で根拠に乏しい事業計画は、銀行の信頼を得られません。

 

改善策として、売上予測や費用見積もりの根拠を具体的に示しましょう。例えば「月間顧客数×平均単価」といった算出根拠や、過去のデータに基づく成長率の設定など、できるだけ客観的な数字を用いることが重要です。

 

楽観的なケースだけでなく、標準的なケース、保守的なケースの3パターンを用意し、どのような状況でも返済が可能であることを示しましょう。

 

市場分析と競合状況の把握

自社の置かれている市場環境や競合状況への理解が不足していると、事業計画の信頼性が低下します。

 

改善策として、市場規模と成長性の提示:自社が属する市場の規模とその成長性を、できれば公的な統計データや業界レポートを引用して説明しましょう。主要な競合他社との差別化ポイントを明確に示しましょう。自社の強みだけでなく、弱みとその対策も率直に記載することで信頼性が高まります。

 

融資資金の使途と効果の不明確さ

融資金の使途が漠然としていたり、その効果が説明できていなかったりすると、銀行は融資に消極的になります。

 

改善策として、使途の明確化と効果測定:融資金をどのように使い、それによってどのような効果が見込めるのかを具体的に示しましょう。例えば「新規設備導入により生産性が○○%向上し、年間△△円のコスト削減につながる」といった具体的な数字で説明します。融資を受けて実施する投資について、投資回収期間や投資利益率(ROI)などを算出して示しましょう。

 

経営者の熱意と実行力の伝達不足

書類上の数字だけでは、経営者の熱意や実行力が伝わりにくいことがあります。

 

改善策として、経営者自身のこれまでの経歴や成功体験を記載し、計画を実行できる能力があることをアピールしましょう。また、銀行との面談の際には、数字だけでなく、経営者としてのビジョンや熱意を伝えることも重要です。事前に説明内容を整理し、簡潔で説得力のあるプレゼンテーションを心がけましょう。

 

事業計画を作成した後は、小さな目標でも着実に達成していくことが重要です。月次で計画と実績を比較し、計画通りに進んでいることを銀行に示せれば信頼感が高まります。

 

銀行融資を断られた経験は、自社の弱点を知り、改善するための貴重な機会です。財務体質の強化と説得力のある事業計画の作成に継続的に取り組むことで、融資の可能性は大きく高まります。また、財務や事業計画の改善は、融資獲得だけでなく、企業としての持続的な成長のためにも不可欠なプロセスです。専門家のサポートも積極的に活用しながら、着実に改善を進めていきましょう。

 

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融資を受けるためのポイントと成功事例

これまで銀行融資を断られた理由や対策について解説してきましたが、この章では視点を変えて、融資を成功させるための積極的なアプローチと実際の成功事例を紹介します。私が財務コンサルタントとして関わってきた多くの中小企業の経験から、融資成功のカギとなる要素をお伝えします。

 

金融機関が重視する「信用力」の高め方

銀行融資の審査において、最終的に判断を分けるのは「信用力」です。この信用力は財務数値だけでなく、様々な要素から総合的に評価されます。

 

事業の将来性と成長戦略の明確化

銀行は単に現在の業績だけでなく、将来の成長可能性を重視します。

 

具体的な取り組み方:

成長分野への進出計画を示す:既存事業が成熟市場にある場合、成長市場への展開計画を具体的に示すことで、将来性をアピールできます。例えば、デジタル化やサステナビリティなど、時代のトレンドに合致した事業展開は評価されやすいでしょう。

 

独自の強みや競争優位性の明確化:自社の商品・サービスの独自性や、競合との差別化ポイントを明確に示しましょう。特許や独自技術、顧客基盤など、他社が簡単に真似できない強みがあれば積極的にアピールします。

 

経営の透明性と情報開示の姿勢

銀行との信頼関係構築において、経営の透明性は極めて重要です。

 

具体的な取り組み方:

定期的な経営情報の提供:月次試算表や資金繰り表を定期的に銀行に提出し、経営状況を常に開示する姿勢を見せましょう。良い情報だけでなく、問題点も率直に伝えることで信頼関係が築けます。

 

経営計画の策定と実績報告:年度ごとの経営計画を策定し、定期的に実績と比較した報告を行いましょう。計画と実績の乖離があった場合は、その原因と対策も併せて説明することが大切です。

 

本業の収益力強化

銀行は本業での安定的な収益力を最も評価します。

 

具体的な取り組み方:

粗利益率の向上:原価管理の徹底や付加価値の高い商品・サービスへのシフトにより、粗利益率を向上させましょう。例えば、製造業であれば歩留まりの改善、小売業であれば仕入先の見直しなど、具体的な取り組みを行います。

 

固定費の適正化:不要な経費の削減や業務効率化によって、固定費を適正な水準に保ちましょう。特に人件費や家賃などの大きな固定費は、売上に対する適正比率を意識した管理が重要です。

 

財務基盤の強化

長期的な安定性を示す財務基盤の強化も信用力向上に欠かせません。

 

具体的な取り組み方:

自己資本の充実:利益の内部留保や必要に応じた増資により、自己資本を充実させましょう。特に自己資本比率は20%以上を目指すと良いでしょう。

 

資産の有効活用:遊休資産の売却や、不採算事業からの撤退により、資産効率を高めましょう。総資産利益率(ROA)の向上は、銀行の評価指標としても重要です。

 

経営者自身の信用と人間性

特に中小企業では、経営者自身の信用や人間性も重要な評価ポイントです。

 

具体的な取り組み方:

個人の信用情報の管理:経営者自身のクレジットカードの支払いや個人的な借入金の返済を滞らせないよう、個人の信用情報も適切に管理しましょう。

 

事業承継計画の明確化:経営者が高齢の場合、後継者の育成や事業承継計画を明確にすることで、事業の継続性に対する懸念を払拭できます。

 

取引銀行との関係構築

日頃からの良好な銀行との関係も、融資成功の重要な要素です。

 

具体的な取り組み方:

担当者との定期的なコミュニケーション:資金ニーズがなくても、定期的に銀行を訪問し、経営状況を報告しましょう。急に資金が必要になってから初めて相談するのでは、信頼関係が築けません。

 

銀行取引の集中化:できるだけ取引を集中させ、メインバンクとしての関係を構築しましょう。預金や決済口座の利用など、融資以外の取引も重要です。

 

実際に銀行融資を成功させた中小企業の事例

ここでは、エクステンドがコンサルタントとして関わった中で、実際に銀行融資を成功させた中小企業の事例をいくつか紹介します。各事例から学べるポイントもお伝えします。

 

事例1:赤字決算から脱却し、運転資金の融資を獲得した製造業A社

状況:

3期連続の赤字決算で、取引先からの受注は増えていたものの、原材料の仕入れ資金が不足し、銀行からの融資を断られていました。

 

取り組み:

原価管理の徹底:製品ごとの原価を詳細に分析し、不採算製品からの撤退や製造工程の見直しを行いました。

 

価格戦略の見直し:主力製品の価格を適正に見直し、取引先に丁寧に説明して理解を得ました。

 

月次管理の強化:月次の試算表と資金繰り表を作成し、銀行にも定期的に提出するようにしました。

 

結果:

取り組み開始から6ヶ月後には月次黒字化を達成し、直近3ヶ月間の試算表と改善された資金繰り計画を提示することで、必要な運転資金の融資を獲得できました。銀行からは「経営改善への真摯な姿勢と、数字で示された成果」が評価されました。

 

ポイント:

たとえ決算書が赤字でも、直近の試算表で改善傾向を示せれば融資獲得のチャンスはあります。経営改善への取り組みを具体的な数字で示すことが重要です。

 

事例2:創業間もない段階で設備投資のための融資を獲得したIT企業B社

状況:

創業2年目のIT企業で、実績はまだ少なかったが、事業拡大のためのオフィス移転と設備投資資金が必要でした。

 

取り組み:

詳細な事業計画の作成:市場分析や競合分析を徹底的に行い、3年間の詳細な事業計画を作成しました。特に、顧客獲得計画と収益モデルを具体的に示しました。

 

既存顧客からの推薦状:主要顧客から事業の将来性を評価する推薦状をもらい、事業計画の信頼性を高めました。

 

経営者の個人保証と一部自己資金の投入:経営者自身がリスクを取る姿勢を示しました。

 

結果:

日本政策金融公庫からの創業者向け融資と、地方銀行からの協調融資を獲得することに成功しました。銀行からは「具体的なデータに基づく説得力のある事業計画と、経営者の熱意」が評価されました。

 

ポイント:

創業間もない企業でも、市場分析に基づく具体的な事業計画と、経営者の本気度を示すことで、融資獲得は可能です。特に成長分野であれば、銀行も前向きに検討してくれます。

 

事例3:債務超過からの再建に成功し、事業拡大融資を獲得した小売業C社

状況:

不採算店舗の影響で債務超過に陥り、既存借入金の返済にも苦労していましたが、好立地への新規出店の機会が訪れました。

 

取り組み:

不採算店舗の思い切った閉鎖:感情的な判断を排除し、データに基づいて不採算店舗を閉鎖しました。

 

既存店舗の収益力強化:顧客分析に基づく品揃えの最適化と、接客サービスの向上により、既存店舗の売上と利益率を向上させました。

 

経営者からの資本性劣後ローンの活用:日本政策金融公庫の資本性劣後ローンを活用し、財務体質を改善しました。

 

新店舗の詳細な収支計画:立地条件や競合状況を詳細に分析し、保守的な見通しに基づく収支計画を作成しました。

 

結果:

メインバンクから新店舗出店のための設備資金融資を獲得できました。銀行からは「既存事業の立て直しに成功した実績と、新店舗の綿密な事業計画」が評価されました。

 

ポイント:

たとえ財務状況が厳しくても、問題に正面から向き合い、実績を積み上げていくことで信頼を回復できます。特に債務超過など大きな問題がある場合は、段階的な改善計画が重要です。

 

融資成功の共通ポイントは「信頼関係の構築」と「具体的な数字による裏付け」です。どの事例でも、財務状況の改善に真摯に取り組み、具体的な数字で効果を示し、銀行との信頼関係を構築していることがわかります。中小企業の経営者の皆さんも、短期的な資金調達だけを目的とするのではなく、長期的な信頼関係構築を意識した銀行とのつきあい方を心がけることが、融資成功の近道となるでしょう。

 

【関連記事】実際にエクステンドで手がけた資金繰り改善、事業再生、経営改善、経営再建、M&Aなどの事例

まとめ:融資を断られた後の正しい行動が未来を変える!

これまで、銀行融資を断られた理由から対処法、改善策、そして成功事例まで詳しく解説してきました。最終章となる今回は、これまでの内容を踏まえて、融資を断られた経験をどのように前向きなチャンスに変えていくかについてまとめていきます。私の財務コンサルタントとしての経験から、多くの中小企業が融資の壁を乗り越え、事業成長を実現してきた姿を見てきました。その知見をもとに、経営者の皆さんに実践的なアドバイスをお伝えします。

 

融資失敗から学ぶべきこと

銀行融資を断られるという経験は確かに辛いものですが、この経験から多くのことを学び、成長するチャンスと捉えることが大切です。

 

銀行の視点を理解する

融資を断られた経験は、銀行がどのような視点で企業を評価しているかを理解する貴重な機会です。銀行は基本的にリスクを回避する傾向があり、返済能力の確実性を最も重視します。

 

ポイント:

客観的な視点の獲得:経営者として情熱を持って取り組んでいる事業でも、客観的に見るとリスクや課題が見えてくることがあります。銀行の視点を取り入れることで、自社の強みと弱みをより冷静に分析できるようになります。

 

数字で語る習慣:銀行は感情ではなく数字で判断します。「この事業には将来性がある」と感覚的に語るのではなく、市場規模や成長率、自社の市場シェアなど、具体的な数字で説明する習慣をつけましょう。

 

自社の弱点と向き合う勇気

融資審査で指摘された問題点は、まさに自社が改善すべき弱点であることが多いです。これと正面から向き合うことが成長への第一歩です。

 

ポイント:

問題の根本原因の分析:「資金がないから業績が悪い」のではなく、「業績が悪いから資金がない」という因果関係を正しく理解し、業績不振の根本原因に取り組むことが重要です。

 

改善計画の策定と実行:融資審査で指摘された弱点について、具体的な改善計画を立て、着実に実行していきましょう。この過程自体が自社の経営力を高めることにつながります。

 

財務管理の重要性

多くの中小企業が融資を断られる原因の一つに、日常的な財務管理の不足があります。

 

ポイント:

定期的な財務分析の習慣化:月次で試算表を作成し、売上・利益・キャッシュフローの状況を定期的に分析する習慣をつけましょう。問題の早期発見と対応が可能になります。

 

予測管理の重要性:「今月どうだったか」という過去の分析だけでなく、「今後6ヶ月はどうなるか」という将来予測を行い、先手を打った経営判断を行いましょう。

 

多様な資金調達手段の知識

銀行融資だけが資金調達の手段ではありません。融資を断られた経験から、多様な資金調達の可能性を学びましょう。

 

ポイント:

最適な資金調達手段の選択:資金の用途や期間、自社の状況に応じた最適な資金調達手段を選択する目を養いましょう。例えば、設備投資には長期融資やリース、短期の運転資金にはファクタリングや当座貸越など、目的に合った手段があります。

 

自己資金の重要性:他人資本だけに頼らず、内部留保や経営者からの追加出資など、自己資金を充実させる取り組みも重要です。自己資本比率の向上は、融資の可能性も高めます。

 

事業を成長させるための資金調達戦略

単に融資を受けることが目的ではなく、事業の持続的な成長のための資金調達戦略を考えることが重要です。

 

成長段階に応じた資金調達戦略

事業の成長段階によって、最適な資金調達方法は異なります。自社の現在の位置づけを正確に把握し、それに合った戦略を立てましょう。

 

創業期(1〜3年目):

この時期は実績が少なく、銀行融資は比較的難しい時期です。日本政策金融公庫の創業融資、信用保証協会の創業関連保証、自治体の創業支援補助金などの公的支援を積極的に活用しましょう。また、クラウドファンディングやエンジェル投資家からの出資も検討価値があります。何より、必要最小限の資金で始められるビジネスモデルを工夫することも重要です。

 

成長期(4〜7年目):

事業の基盤ができ、さらなる成長のための資金が必要な時期です。この段階では、メインバンクとの関係構築に注力し、信用力を高めていきましょう。設備投資には日本政策金融公庫の各種融資制度や、銀行との協調融資なども有効です。成長資金としては、ベンチャーキャピタルからの出資や、中小企業向けの私募債発行なども選択肢となります。

 

安定期(8年目以降):

事業が安定し、信用力も高まってくる時期です。長期的な視点で、複数の金融機関との良好な関係を構築し、金利や条件面でより有利な融資を獲得していきましょう。自己資本比率の向上にも注力し、財務基盤の強化を図ります。場合によっては、株式上場(IPO)や事業承継(M&A)なども視野に入れた資金調達戦略を検討します。

 

本業の収益力強化が最大の資金調達戦略

どんな資金調達方法を選んでも、最終的には返済や配当の原資は本業からの収益です。本業の収益力強化こそが、最も確実な資金調達戦略と言えます。

 

収益力強化のポイント:

利益率の向上:売上を増やすだけでなく、原価管理の徹底や付加価値の向上により、利益率を高めることが重要です。売上高総利益率(粗利率)と営業利益率の改善に注力しましょう。

 

キャッシュフロー経営:利益とキャッシュは別物です。売掛金の早期回収や在庫の適正化など、キャッシュを生み出す経営を意識しましょう。特に「営業キャッシュフロー」を継続的にプラスにすることが、銀行からの信頼獲得にもつながります。

 

戦略的な経営計画と実行

闇雲に資金を調達するのではなく、明確な経営戦略に基づいた資金調達を行うことが重要です。

 

戦略的アプローチ:

経営計画の策定:3〜5年の中期経営計画を策定し、その実現のために必要な資金計画を立てましょう。「何のために」「いくら」「いつ」資金が必要かを明確にすることで、適切な調達方法を選択できます。

 

投資対効果の検証:調達した資金で行う投資について、常に投資対効果を検証する習慣をつけましょう。「この設備投資により、生産性が○○%向上し、年間△△円のコスト削減につながった」といった検証結果は、次の資金調達の際の強力な材料となります。

 

金融機関との関係構築

資金調達を円滑に行うためには、金融機関との良好な関係構築が欠かせません。

 

関係構築のポイント:

情報開示の徹底:良い情報も悪い情報も、定期的に金融機関に開示する姿勢が信頼関係構築の基本です。問題が発生した時こそ、早めに相談することが重要です。

 

経営者としての姿勢:融資は経営者自身への信頼にも大きく左右されます。誠実さ、問題解決能力、将来へのビジョンなど、経営者としての資質を日頃から示していくことが大切です。

 

最後に、融資を断られたとしても、それは一時的な挫折に過ぎません。むしろ、その経験を糧に自社の経営を見直し、改善していくきっかけとして前向きに捉えましょう。私がコンサルタントとして見てきた多くの成功企業は、融資を断られた経験から多くを学び、経営改革を行い、最終的には銀行が融資を申し出てくるような優良企業へと成長していきました。

 

融資獲得は目標ではなく、持続的な企業成長のための一つの手段に過ぎません。本業の収益力を高め、健全な財務体質を築き、社会に価値を提供し続ける企業であれば、必要な資金は自ずと集まってくるものです。皆さんの企業が銀行融資の壁を乗り越え、さらなる成長を遂げられることを心から願っています。

 

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