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戦略 strategy

2021.09.24

事業は「ビジネスの型」と「事業立地」で立て直す!【高収益化・生産性向上対策No.2】

今回のレポートは、高収益化生産性向上対策ということで、事業の予定はビジネスの型と事業立地という内容の話を記述します。ビジネスの型は次の4つに分けることができます。1.受注型、2.プロダクト型、3.ストア型、4.プラットフォーム型の4つです。

受注型

1つ目の「受注型」はお客様ごとのニーズに応えて商品を作るビジネスモデルです。お客様の要望を聞いて個別に住宅を設計する工務店のようなイメージです。

プロダクト型

2つ目の「プロダクト型」は受注型の逆でこちらから提案するビジネスモデルです。過去のお客様のニーズを総括して作った商品やサービスからお客様に選んで買っていただきます。積水ハウスさんやヘーベルハウスさんなどのハウスメーカーがこれに当たり、標準的な住宅を先に建てて提供するスタイルをとっています。

ストア型

個別の要望に応える受注型は拡張性がありません。したがって、現在受注型でビジネスをされているなら、量産できるプロダクト型に移行したほうが収益性を高めることができます。さらにプロダクトを何種類も作り、展開していくと「ストア型」になります。

商品のラインナップが広がっていくと当然売り上げが伸びます。しかし気をつけたいのは、規模が拡大することにより利益率が下がる分散型(第一講座参照)になることで売上が低迷していくことです。10のプロダクトを作ったからといって単純に利益が10倍にはならないのです。

一度「ストア型」に広がってしまったなら、原点回帰でもう一度「プロダクト型」に戻っていただきたい。これが前回でもお伝えした単純化です。10あるものを1にしろとは言いませんが、9や8にすることはできるでしょう。シンプル化することでまた収益性が良くなります。

プラットフォーム型

そして4つ目の型として、「プラットフォーム型」のビジネスを提案します。この型に移行することが、今の事業経営者にとっての最大のテーマだと思います。

プラットフォーム型とは、自社が取引をする場を作ることです。ストア型が自社でお客様のニーズをすべて賄おうとする考え方なら、縮小するにあたってそれらのニーズを切ったとき、代わりに、自社の作った場で他社に取引してもらう。プラットフォーム全体で顧客のニーズを満たすということですね。自社が強いものはストア型でまかない、あまり強くないプロダクトは世の中の他者を巻き込みそちらに任せることでうまくいきます。皆さん方の周りを見ていただいても、名だたる企業はほぼプラットフォームです。メルカリ、楽天、Amazon……すべてそうです。

大雑把ではありますが、1990年代の世界中の時価総額の大手企業のほとんどはメーカーであり、プロダクト型でした。それが近年、世界の時価総額の上位企業のほとんどがプラットフォーム企業になりました。もう10年もすればさらに増えているでしょう。中小企業も自社の規模に合わせ、小さなプラットフォームを作っていくべきです。

さらに重要なことは、プラットフォーム企業は金融に携わるという点です。Amazonもメルカリも独自の金融事業を展開しています。プラットフォームができれば金融は比較的リスクの少ない高収益事業になります。つまり高収益安定事業は、プラットフォーム+金融ということなのです。

事業立地

このレポートではもうひとつ、事業立地つまり事業のポジションについてお伝えしましょう。高収益企業研究の第一人者と言われる神戸大学大学院教授の三品和広教授の言葉より引用します。

  • 高収益企業の研究を通じて成功例で共通してる点は一目瞭然だった。事業立地、ポジショニングが良いということだ。仕事の仕方の工夫や製品開発ではなく、そもそも何屋さんをやるかの選び方が優れている

 

さらに、事業計画を見直すにしても「その事業計画の中で事業立地を変えていこう、攻めていこうという考えを折り混まなければ、実はその成果は限られてる」と言っています。

著名な投資家であるリチャードコッチもこのように言っています。

  • 覚えておきたいのは一にも二にも三にも人ではない。一貫してうまくいく有効な解答は一にも二にも三にも事業のポジショニングだ

 

優秀な経営者と社員が揃っても、どんなに頑張っても事業の立地、つまり「何屋さん」をやるのかの選択が間違っていると意味がないということなのです。

お客様の事業立地は適正でしょうか。事業計画を作る際、どういう風にマーケティングをして、どういう風に商品開発をして……と考える前に、今やろうとしてる事業立地が正しいのかを問うことが重要になります。

当然、中小企業にとって今と全く違うことをやるということは難しいと思います。少し違うことをやるのです。今ある技術、今できることとの掛け合いを考えて、できたら価格帯が上のアッパーの隙間に徹底的に集中していく。いわゆる「アッパーニッチ」、つまりより高級な隙間を目指すのです。

例えば、これから食パンを販売したいとして、アッパーニッチを狙い800円の食パン専門店を作ることは正しいのです。「マーケット調査をすると世間では一斤150円から200円ぐらいの食パンにニーズが一番あるから、私も150円以下の食パンをつくるメーカーを作る」とすれば大手と戦うことになります。これは違うということです。

世の中に多くのニーズはないかもしれないが、一部の人に買ってもらうことで十分中小企業の売上として成り立つだろう、という仮説を持って取り組む。この仮設を立てることが事業立地を考えるということなのです。

商圏、分野、価格帯、専門性、事業の種類など、色々なものを限定していくことで、自分が立てる、勝てそうな事業立地が必ず見つかります。インターネットで徐々に検索ワードを絞っていくようなものです。「パン」と検索すると広すぎるので、「食パン」と限定する。

さらに中小企業で商圏が関係ある事業であればエリアを入れて絞る。ただし、「安い」というキーワード入れてはいけない。安い世界に入るほど、どんどん厳しくなっていきますから。

マーケティング用語でレッドオーシャン・ブルーオーシャンというものがあります。レッドオーシャンはたくさんの魚がいるんです。しかし釣りをする人もたくさんいる。その中に埋もれて魚を奪い合うのか?いや、少し離れて、魚も少ないけれど荒らされてない、釣り人が少ないので悠々と楽に釣れる、こういう領域に行きましょう。これがブルーオーシャンです。事業立地に独自性を持たなければ、世の中に過度な競争を生み出すだけです。

既にあるものと似たような店を出すことは、世の中のためになりません。もちろん一部消費者にとって利益になるかもしれませんが、過当競争が起きて結果的にお互いの首を絞めることになります。改めてレポートをしますが、日本の生産性が低すぎるのはこの過当競争のせいだと思っています。新しく始めるなら事業領域を変えることで、より進みやすいブルーオーシャンに行くことで経営が全く変わります。

 

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