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取引銀行数は、今までの常識より減らす

現状は事業規模の拡大に合わせて、最大で8くらい?

きちんとした統計をとった訳ではないのですが私自身の経験上では中小企業の取引銀行数は企業の歴史の長さや総借入金額に応じて増えていき、多い企業では8くらいになっていることが多いように思います。

 

典型的なイメージとしてはメガバンク、地方銀行、信金信組、政府系金融機関でそれぞれ1から2、時々メガバンク取引がなかったり地方銀行が3以上に増えたりする、という感じです。

 

それ以上多い場合は、個別のご事情があるとはいえあまりポジティブではなく、メインバンクが前向きに取り組んでくれないから、近隣の金融機関に声をかえるだけかけて、少しずつ借りた結果、ということが大半なので、別の心配が発生してしまうのですが、、、

 

細かいことを言えば切りがありませんが、今回は銀行、信金信組などの区分は置いておいて、単純に金融機関数の多い・少ないで考えます。

銀行数が多いことのデメリットが増えている

これまでは、

 

  • 融資を得るのは厳しい、と思うと選択肢を広げるために取引銀行数を増やしたい
  • 一度融資取引を行った金融機関との関係をわざわざ断絶することは、資金調達の可能性を狭めてしまう
  • 複数の金融機関で取引することで競合が発生し、取引条件が有利になる

 

という考え方から、取引銀行数は増えてもなかなか減らない、という考え方が一般的でした。一方、

 

  • 口座数が増えることから、事務的に煩雑になる
  • 一つの金融機関からの融資が減りがちであり、明確なメインバンクが生まれにくい
  • 取引金融機関が多すぎるというのは、それ自体銀行が企業に融資をしない理由になる(メインバンクが融資をしていないのは何故、という疑いを持たれる)

 

等のデメリットもあります。そして今日では、デメリットが大きくなっているのです。

 

大きな要因としては、メインバンク制の復活が挙げられます。

 

リーマンショック以降、メインバンク制は崩壊していましたが銀行には金融庁より「メインバンクが主導的な立場となって中小企業の育成や再生に向かうように、そのために金融庁は金融検査マニュアルを廃止し、監視するより支援する」指導が入っている一方で、銀行自身にとっても「見どころのある企業は積極的に支援しないと、融資先がなくなる。また、囲い込みをかけないと、他金融機関にとられてしまう」判断から、メイン、として認識した企業にはより積極的な取組みをする方向にあります。

新常識:取引銀行数はあまり増やさず、メインバンクの選択と深い関係性の構築を重視

融資窓口を増やすよりも、メインバンクと深い取引をした方が調達力を強くできることになるわけです。

 

となれば、多すぎる金融機関との取引はデメリットが大きくなります。考え直してみれば、総数で3から、多くて5もあれば大抵の中小企業の場合は十分ではないでしょうか(中には、政府系金融機関も含みますが、政府系金融機関は原則「メインバンクにはならない・なれない」のです)。

 

4月15日に運用開始となった「事業再生ガイドライン」においても事業再生計画作成や計画案の合意形成においては「主要債権者=金融債権額のシェア上位から順番に、シェア合計が50%以上に達する迄積上げた際の単独または複数の債権者の意向を踏まえる」とされており、メインバンクがより主導権を発揮しやすい形になったことも、メインバンク制復活の表れなのでしょう。

 

今、中小企業にとって大事なことはメインバンクの選択であり、またメインバンクとの関係をどのようにして深くしていくかということになります。場合によってはメインバンクの交替、ということもあり得るわけですがその辺りは、また順次お伝えさせていただければと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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