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金融機関(銀行)のノルマ廃止は成るか

数年前より、一部金融機関ではノルマを廃止したことがニュースになっています。

 

売り手都合から顧客視点への変化を求めるため、でもそんなことしたら金融機関の収益はどうなる?とか若い人材にノルマを強要しても拒否反応されるだけ、とかノルマはなくなったが、代わりに「自主目標」や「貢献度(所属する銀行に対しての)」が生まれた、とか色々な反応がありますが、どうも議論はノルマの可否そのものに終始しているようです。

 

結論としては、「現状と同じ要求であるならば、ノルマは廃止しなくては未来はない」のです。この点を確認したいと思います。

ノルマは何故悪いのか

銀行員にとってのノルマは、昔ながらのものは

 

  • 預金残高、融資残高
  • 新規口座数(預金、ローン、融資)

 

が多く、今世紀になると

 

  • 利ざや
  • 粗利、収益(銀行にとっての)
  • 受取手数料

 

が増えました。かつては銀行同士が規模を競っていたこと最近では収益を競っていたことが伺えます。

 

規模の競争が加熱し、バブル経済がはじけると自らの身を守るために収益をとりにいく、銀行だって株式会社ですから、収益がマイナスでよいはずがないことは理解できるのですが本部が現場に対して「欲しい業績」を要請するのがどれだけ無理があるのかは、皆様想像に難くないでしょう。

銀行員も、顧客企業も不幸にする

ノルマの何が悪いのか。それは、これまで存在してきたノルマが、融資先企業や日本経済の動向を省みることなく自らが金融庁に指導されないように、とか合併・統合されないように、とか自分の地位を守るため、とかいう自らの都合から生まれた要請によるものだから、です。

 

自戒を込めて率直に申し上げれば銀行員が自らのノルマを100%達成しようとするならばお客さんに無理を押し付けないと不可能なことがあまりにも多すぎます。

 

銀行員の無茶な営業の多くの部分が、ノルマから発生していることには疑いの余地はないのです。今日企業と銀行の信頼関係が崩れている主要因はこれ、と私は考えています。

紆余曲折はあっても、ノルマは廃止になっていく

信頼関係を再構築するためには、失った原因を除去する必要があるのですから、原因であるノルマを廃止しない理由はありません。

 

では、銀行の収益は苦しくなるのでしょうか?いえ、そうとは限りません。

 

若干金利を上げる代わりに、これまで無理だった融資の実行を行い、プロパーの貸し増しをすればいいのです。その支援先企業を選定、審査する時間をつくるためにメインバンク制に回帰し、メイン先以外からは融資を引いて企業を知る時間をつくればよいのです。メイン先に手厚い支援をすることで、問題は解決します。

 

実のところ、銀行のノルマは1980年程まではあってもかなり緩いものでした。バブル経済以降の過当競争状態の方が、正しくないことを認識するところから始めるべきです。

 

皆様のお取引銀行は、どのようなノルマを担当者に課していますか?比較してみるのも、銀行の姿勢を知る材料になるでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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